犬びより

日本犬ならではのしつけ方法。子犬の頃からすべきこと・成長後のトラブル対策

2018/12/27

飼い主がするべきことをせず、してはいけないことをしてきた場合、改善することは可能なのだろうか。飼い主と日本犬がより良い暮らし送るためのしつけ・習慣を考えていこう。

 

子犬の頃から生涯に渡ってすべきこと

子犬の時期の中でも、およそ生後1ヶ月~3ヶ月の期間を社会化期という。この限られた時期は警戒心よりも好奇心が勝るため、いろいろなものや刺激に慣らすために最適だ。習慣も身につけやすいこの時期は、将来に大きく影響するので逃さないこと。日本犬はラブラドール・レトリーバーなどのおおらかなタイプの犬種に比べ、社会化期が短い可能性が指摘されている。子犬を迎えたらすぐに下記の1~6を意識して始めよう。

1.社会化・刺激馴致
野生動物の性質を残す日本犬は、ひとり立ちができるように早期から警戒心を身につける。子犬を迎えたら早めにいろいろなものや刺激に慣れるための練習を行おう。子犬の成長はとても早いので、「そのうちにやろう」と延ばして機会を逃さないように注意して。子犬を迎えたら意識して社会化を図り、いろいろな刺激に慣らしていこう。子犬の時期は熱心に行っても、成長後はおろそかになることが多いもの。生涯継続が大切だ。

 
2.食習慣
日本犬は成長につれて食習慣が固定していく。食べ物をごほうびとして活用するために、いつでもどこでも食べられる幼犬期から、時間、場所、食べ物の種類を変えて慣らそう。食事前に長時間オスワリをさせる飼い主は多いが、実は意味がない習慣のひとつ。ひたすらオスワリするようになりかねないので避け、食事時ではなくトレーニング時に教えよう。食事の回数を一日二食にしているご家庭は多いが、食べ物は全てごほうびとして手から与えた方がよい。
 

 
3.独占欲の抑制
野生動物の素質を残す日本犬は、食べている時に「誰かに奪われるのではないか」という警戒心が働く。飼い主は食べ物を奪い合う相手ではないことを理解してもらうことが必要になる。オモチャを飼い主に渡す時のごほうびなど、食べ物はすべて飼い主の手からごほうびとして与えるように。
 
4.トイレの習慣
日本犬は寝床の近くでは排泄しない性質が強いので、屋外で排泄させるのであれば特に教える必要はない。成犬になっても室内トイレを使わせたいのであれば、子犬のうちから室内トイレの習慣を維持すること。散歩に行くようになると室内で排泄したがらなくなるので、継続して教える。

 
5.リードでの誘導
屋外飼育で係留用リードにつないでいる時や、散歩時にリードをつけている時などは、犬に指示を伝える時にリードを強く引っ張りがち。このような扱いをしていると、犬はリードに対して嫌な印象が強くなってしまう。リードを誘導に使う時には下のやり方を参考に慎重に教えていこう。

1.リードで首輪に力を加えたらすぐにごほうびを与える

2.リードを一瞬だけ軽く引き、1歩引き寄せてごほうび

3.リードを軽く引き寄せ、5~6歩近づいたらごほうび

 
6.興奮する遊び
野生動物はおとなになれば必要なことにエネルギーを集中させる。日本犬も決まった時間に食事と散歩をする単調な生活を続けると、食事と散歩以外はゴロゴロ寝ているだけ、ということになりがち。若いうちに楽しく興奮するスイッチをつくっておこう。

 

気づいたときから努力すれば改善は可能かもしれない

ここで紹介している必要なことが全てできていればよいが、そうはいかないのが実情だ。飼い主がするべきことをせず、してはいけないことをしてきた場合、今から改善は可能だろうか。

立て直せる程度はケースによるが、気づいたなら前向きに努力あるのみ。生後4ヶ月未満の子犬であれば、上記で紹介していることを始めればスムーズに進む

では、それ以降の犬はするべきなのだろうか。社会化適期を大きく過ぎてしまった場合、子犬と同じような形での社会化トレーニングは難しいので、犬の反応を見ながら無理なく進めることになる。成長してもおおらかなタイプもいれば、臆病で神経質なタイプもいるので、愛犬に合わせて少しずつ試せばよい。

特に注意が必要なケースにはどのような例があるのだろうか。社会性のない成犬をいきなりドッグランに放したり、警戒心の強い犬を知らない人に撫でさせたりしてはいけない。段階を踏むことが大変重要。もし飼い主に対して攻撃的、あるいはひどく怯える様子が見られる場合は、関係がこじれている可能性が高いので無理は禁物だ。犬種や個体の性格に合わせて、学習理論に基づいて指導してくれる専門家に依頼することをお勧めしたい

現在何か問題があり、自力で解決することが難しいと感じたら、専門家に相談して適切な対処を行おう。

 

成長後に現れるトラブルを防ぐ

子犬の頃は問題なくてもやがて困った行動が現れるが、その多くは健全な成長によるもの。この時に「上下関係が崩れている」などの誤った考えでしつけを行うとさらに悪化する。ロールオーバー(犬をひっくり返す)やホールドスチール(犬を背後から抱える)など、服従心が身につくといわれる姿勢を強要しても直らない。そのような魔法はない。関係は長い時間をかけて育むもの。改善は適切な方法でゆっくり行おう。

 
1.他犬への攻撃を自制
早期から社会化を図っていても、おとなになれば相性の良し悪しが現れる。昨今は「社会性を身につけさせること」を「社交的な犬にすること」とする誤った風潮もあるが、社交的ではない犬を無理に挨拶させようとするとかえってトラブルに。他犬を無視して通りすぎることもマナーとして教えたい。未去勢のオスは同性に対して積極的にケンカを売ることもあるが、野生動物の繁殖期にはごく一般的な行動。しかし、現代社会では認められないので、自制できるようにトレーニングを。

 
2.意外性の演出
賢い日本犬は、人以上に的確に状況判断をしている。一般的な生活を送って成犬になれば、飼い主が次に何をするのか見抜いているもの。散歩やごほうびなどの必要なことやうれしいことをスケジュール通りにこなすだけでは、寝て起きて予定をこなす単調な生活になってしまう。意外性を演出するために、良い意味でのサプライズを考えよう。小さいことなら、ごほうびがいつもと違うところから出てきた、など。とっておきのことなら、大好きな車で旅行、など。楽しみながら考えよう。

 
3.接触への継続的馴致
子犬の頃はどこを触っても何をしても全く平気だった、動物病院でワクチンを接種する時もシッポを振りながらやらせていた、という場合、飼い主は「うちの犬はおおらかなんだ」「動物病院が好きなんだ」と安心しがち。しかし、しばらく経ってから動物病院に行くと、犬が変わったように歯をむいて暴れてどうしようもなかった、という日本犬(特に柴犬)の話をよくある。体を触らせるトレーニングは、間を空けずに継続して行うことが重要だ。

 

まとめ

ヒトとイヌは互いに気持ちが通じるものの、全く別種の動物。犬は小さな人ではなく、犬は犬だからこそ一緒に暮らして楽しい。

「犬のしつけ」というと、犬を人の都合に合わせる方向にばかり考えがちだが、それだけではあまりにもったいない。一緒に暮らす場合はまず相手に共感すること

そして、人のルールに合わせてもらう際にも、犬の世界観を尊重しながらうまく折り合いをつけること。それによって犬は、特に野性味の強い日本犬は、私たちの世界を二倍に広げてくれるのだ。

 
 
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Shi‐Ba vol.85『日本犬ならではのしつけ法、はじめました。飼い主がすべきこと してはいけないこと』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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