車酔いするのは体質のせいもあるけれど、酔った経験が乗車に対する苦手意識を引き起こして酔うケースも。車酔いを改善して、楽しくドライブする方法はないのだろうか。
1. 個体差が大きい犬の車酔い
2.よく見られる酔いのサイン
3.犬が酔うしくみ
4.車に対するマイナスイメージで酔う
5.ドライブ前にできる車酔い対策
6.犬の酔いQ&A
7.車内環境や運転を見直そう
8.犬の酔い止め まとめ
個体差が大きい犬の車酔い
車酔いを経験している犬は少なくない。もちろん、時間がたてば治るものだが、乗車のたび吐いて止まらないなどの場合は、対策を考えてあげると犬も楽になるはず。
また、酔いやすさは個体差が大きい。ビール1本で酔っぱらう人もいれば、何本飲んでも酔わない人がいるのと同じ。体格も関係ない。ただ酔った経験から車が苦手になり、その後も酔うケースが多いようだ。
よく見られる酔いのサイン
・酔いの初期段階では生あくびをすることが多い。
・同じく初期段階で口をくちゃくちゃ鳴らす。
・緊張すると、心細げに鳴く、そわそわするなど。
・同じく緊張すると、よだれを流すことも。
・気持ちが悪くなると、よだれがねばねばする。
・上の症状を経て嘔吐する。急に吐く場合もある。
犬が酔うしくみ
通常、乗り物などの揺れに関して体は無意識に反応している。たとえば体が右に傾けば脳や姿勢筋が自然と対処してくれるため、多少の揺れを感じても気分が悪くなることはない。
そのため、電車など安定した揺れはあまり気持悪さを誘発しない。しかし船に乗っている時のように不定期で大きい揺れを感じたり、車で山道を走る時に急ブレーキ&急加速の刺激を感じたり、横揺れ、前後、上下の揺れを感じたりする場合には非常に酔いやすくなる。
なぜ車酔いをするかというと、揺れや傾斜などの刺激に対して三半規管が反応し、脳に異常なシグナルとして伝えられ、自律神経が乱れてしまうため。すると上であげたような症状が出てくるの。
なお、乗車時間の長短も車酔いのしやすさを左右する。動物病院など近所までの短時間の乗車なら車酔いしない犬でも、旅行先までなどの長時間のドライブになると酔う犬も多い。
車に対するマイナスイメージで酔う
車酔いをしやすい犬の中には、過去に車酔いで吐くなど辛い経験を持ち、車に乗ることにマイナスイメージを持っているケースが少なくない。
人間の子どもでも、一回バス遠足で気持悪くなったりすると、バスに乗ると考えるだけで気持悪くなってしまうことがある。その時のにおいとかいやな記憶がよみがえり、ネガティブになって酔いやすさを引き起こすのだが、犬も同じことがいえる。
また心細いと酔いやすい状態になるなど、車酔いには精神面も大きく影響する。このため、性格的にはおっとりした犬が酔いにくく、過敏な犬が酔いやすい傾向にある。
車酔いのトラウマがしみついている犬は、なるべく車に乗せないか、乗せたいなら徐々に慣らしていくことが必要だ。
以下の方法で段階を踏んでトレーニングすることで、犬自身に車に乗っても大丈夫だと思わせることができれば、トラウマからの車酔いは改善できるかもしれない。
ドライブ前にできる車酔い対策
1.ドアを開け、エンジンをかけずに車内で遊ばせる
2.問題なければドアを締めて車内で遊ばせる
3.問題なければドアを開けエンジンをかけ遊ばせる
4.問題なければドアを閉めてエンジンをかけ遊ばせる
5.車をゆっくりと一定のスピードで動かしてみる
6.降りた後は公園に行くなど必ず楽しいことをする
※乗車することによく慣れてから日常的に車で10分くらいのドライブを繰り返して移動に慣らしていく。
犬の酔いQ&A
Q.ドライブの前にできる車酔い対策は?
A.前日の夜は睡眠をしっかりとらせ、疲れていない状態にしておくこと。
出発前の飲食は2~3時間前までに終わらせておく。
乗ると吐いてしまうことがわかっている犬の場合は、あらかじめ動物病院で車酔いの薬をもらっておき、飲ませておくと安心。薬については下で詳しく解説。
Q.ドライブ中の上手な休憩の入れ方は?
A.長時間のドライブの場合は、30分ごとに休憩を入れてあげるのが理想的。
それ以外でも、生あくび、口をくちゃくちゃいうなど車酔いの兆候が見られたタイミングで休憩を入れよう。
ただし前ぶれなく吐いてしまう犬もいるので、よく様子を見ること。
休憩時は軽く散歩をしながら気分転換&排便排尿をさせてあげること。
Q.車内環境や運転方法で車酔いを改善できる?
A.犬の嗅覚は人より鋭いので、タバコなど車内のいやなにおいを消すこと。
山道やストップ&ゴーが多い道では酔いやすいのでとくに運転に注意し平坦な道でも急ブレーキ、急発進を避ける。
犬の体は自由にさせると揺れやすく、酔いを助長してしまうので、クレートなどを使ってある程度固定を。
人間なら車内で歌ったり会話して楽しむことで酔わなくなることもあるが、犬はどうかは分からない。犬用ヒーリングCDなどを使ってみてもいいが、効果は不明だ。
またオモチャで遊ばせることで気分転換になるかもしれないが、人が車内で本を読むと気分が悪くなるように、犬もオモチャに視線を集中することで逆に気持悪くなることも考えられる。
Q.子犬や老犬は車酔いしやすい?
A.子犬のうちは多くの犬が酔うものだが、大人になると酔わなくなるケースも多いもの。
老犬の場合は刺激に対して三半規管の反応が鈍くなるため、揺れが脳に異常なシグナルとして伝わることが少なく、車に酔いにくくなることが多い。
車内環境や運転を見直そう
犬の車酔いは、その性格や過去の経験、車内環境、道路状況、飼い主さんのドライブテクニックに至るまで、さまざまな要因によって引き起こされる。
車酔いは病気ではないし、一時的なものだから……と見過ごす飼い主さんも多いようだが、手軽にできる改善策はたくさんある。愛犬がまだ子犬なら、小さいうちから車内で過ごすことに徐々に慣らしておくと、車酔いのトラウマに陥ることを予防できて安心。
酔い止めも制吐剤やサプリメントを選べば旅先でボーッとするようなこともないので、酔いやすい犬は処方を検討しても良いだろう。
少しの配慮で、ドライブ中の犬はぐんと楽になり、もっと楽しめるようになるはずだ。
犬の酔い止め まとめ
・一番ポピュラーなのは制嘔剤
中枢神経の嘔吐反射中枢に作用し、伝達を遮断し、嘔吐を防止。体重あたりの量を投与する。生後4ヶ月以降の犬が飲める。
・トラウマ犬にはサプリメント
不安、緊張が取れ、リラックスができる。種類も豊富だが、効果には個体差がある。食品由来成分のものなので子犬でも安心して使える。
・クレートの活用
揺れをもろに感じると酔いやすいので、クレートである程度体を固定してあげよう。車内でも比較的揺れにくい車輪の上などの場所に置く。あらかじめ犬をクレートに慣らしておくことも大切。
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Shi‐Ba vol.71『過去の吐いた記憶が柴犬の酔いを助長していた 車に酔う犬 酔わない犬』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。