太るのは簡単でスピーディー。でも、痩せるのは難しくてスローペース。愛犬のダイエットが頭の片隅にずっと引っかかっていた飼い主さん、この記事を読めば必ず結果にコミットするはず!
愛犬の肥満度チェック
□肋骨の数が手で触って数えられる?
脇腹あたりを触ってみよう。脂肪が厚くて肋骨が触れないようなら太りすぎ。理想としては、皮下脂肪の下になんとか肋骨がわかるような手応えがある感じ。
□真上から見た時腰にくびれはある?
愛犬を立たせた状態で、真上から見てみよう。ウエストにくびれがない場合は太りすぎ。
□腹部ひだ(腹部のシワの部分)が触れる?
腹部ひだが浅くて触れない、またはほとんどない場合は太りすぎ。太っていると皮が張るので、腹部のシワが無くなってしまうのだ。
□背骨の数が手で触って数えられる?
背中を触ってみて、手に背骨が感じられないようなら太りすぎ。理想はやはり、皮下脂肪の下に背骨を感じられる手応えがあること。
犬のダイエットに関するQ&A
人間界でオススメのあのダイエット方法はどうなの?ダイエット時の危険サインは?などお役立ち情報満載!
Q.理想的な体重の落とし方を教えて
犬によって大柄、小柄、骨太タイプなどさまざまなので、愛犬の理想体重はかかりつけの獣医師に確認するのが一番。目標体重がわかったら、何キロ落とすのかも相談し無理のないダイエットを行おう。ここでいくつかのポイントを挙げておく。ぜひ実践してみてほしい。
1.運動でダイエットするのではなく、食事療法で減量することを念頭に置く
2.食事療法は基本的にフードで行い、ダイエット用のフードに変える場合は獣医師と相談する
3.1日のフード量も獣医師と相談し、表示量通りではなく、本当にそのコに合った量を与える
4.2~3ヶ月かけてゆっくりと体重を落とすことを目標にする
5.無理のない適度な運動を毎日行う
6.犬がストレスをためないように、決められた量の中であげる回数を増やしたり、ゴハンの時間が楽しくなるような工夫をしてみる
7.1週間に1回は体重を測り、しっかり記録する
8.家族でルールを決めて必ずやり抜く
Q.犬にもオカラをあげると痩せる?
犬と人間では、体が必要とする栄養素が違う。人間のダイエットに有効と言われている食材を、犬のダイエットの食事療法に用いるのは、オススメしない。
Q.肉と魚、あげたらどっちが太りやすい?
基本的にはどちらを食べても同じ。肉でもササミや皮と脂を取り除いた鶏胸肉はカロリーが低いが、ブリやマグロのトロなど脂が乗った魚はカロリーが高い。
また、焼いたり茹でて脂を落とすなどの調理方法によってもカロリー量は異なる。手作り食を実践する場合は、そういったことも十分考慮しよう。
Q.ダイエットの間、野菜で空腹感を満たすのはあり?
野菜というとヘルシーなイメージだが……。中にはトマトなど、糖分が高いものがあるので、あげすぎは肥満の原因になる。ダイエットは栄養バランスのとれたドッグフードで行うのが望ましい。
関連記事:【柴犬ベジタリアン】正しい野菜の食し方&美味しさ倍増トッピングレシピ!
Q.手作り食のダイエットの注意点は?
手作り食はカロリー計算をはじめ、ダイエットに適した食材や量、愛犬の嗜好を合致させていくのも、なかなか難しい。カロリー計算がきちんとできていないと、例えば炭水化物が多すぎて動物性タンパク質が不足するなど、栄養に偏りが出ることも。
また、ゴハンの量が足りずにかえって犬の体調が悪くなるケースや、「痩せていく方が太っているよりなんだか怖い」という飼い主さんの心理が働き、特に手作り食の場合、痩せさせすぎないよう気をつけるあまり、多めにゴハンをあげてしまうこともある。
そう考えると、犬の体のことを考えて作られた総合栄養食のドッグフードでダイエットするのが一番安心なのかもしれない。
しかし、どうしても手作りゴハンでダイエットに挑戦したい場合は、獣医師に相談しながら慎重に行うのがいいだろう。
Q.ズバリ、果物をあげるとやっぱり太る?
果物は果糖を含むので食べすぎは当然太る。どうしてもあげたい場合は、糖質の少ない果物を選び、あげる時も小指の先ほどの量にとどめよう。
【糖質が高い果物】リンゴ、バナナ、ナシなど。
【糖質が低い果物】ベリー類やスイカ、柑橘類など
Q.ドライフード、ウェットフード、どっちが太る?
どちらも適量を犬にあげていれば、太ることはない。
ただ、犬によってはウェットタイプが好きで、あっという間に食べてしまうケースも。それを飼い主さんが『足りていないのかも』と思い、多めにあげてしまって太ることはある。
Q.同居動物が増えたら先住犬が太った
同居動物増えると、食べるのが早い方が、もう一匹のゴハンを食べて太ってしまうことがよくある。
それぞれがどのくらい食べているのか飼い主さんが気づかず、動物病院に来て体重を測って初めて気がつく、というケースも。
食べる時にはケージや部屋を分けるなどして、1匹ずつが決められた分だけを食べるように考慮しよう。
Q.給餌量通りだと明らかに少ない気がする
人と同じく、犬にも太りやすいなどの体質があり、必要エネルギーもそれぞれ。パッケージに書かれている給餌量はあくまでも目安と考えよう。
愛犬の適正体重とそのフードの1日の給餌量については、かかりつけの獣医師と相談するのが一番安心だ。
Q.いくらあげても満腹にならないのはなぜ?
「次にいつ食べられるのかわからない」という野生の頃の名残があるので、満腹でも食べてしまうのが犬。
もっと食べたそうな顔をする、かわいそうだから、とあげてしまう人が多いが、くれぐれもだまされないようにしよう。
Q.オヤツにはどんな食材がオススメ?
ダイエット中にどうしてもオヤツをあげたい場合は1日に与えるドライフードの10%以内と決め、白米やジャガイモをあげるのがオススメ。
これらはアレルギーも比較的出にくい。犬と飼い主さんの楽しみも考慮しながら、ダイエットは気長に頑張ろう。
Q.どんな体のサインが出たらダイエットをやめるべき?
ドライフードだけを使い正しいダイエットをしている場合、危険な状態に陥った犬は当院ではほとんどいない。
しかし、自己流の手作り食でダイエットを行い、亜鉛欠乏性皮膚炎になり、足先が赤黒く変色したり、低血糖に陥ってしまったケースはある。被毛がパサパサになる、肉球が冷たくなる、爪が割れやすくなる、などは栄養が足りていない状態とのこと。
この他、動きが鈍い、目に輝きがない、体が冷たい、だるくて起き上がれない、などの症状が見られたらとても危険な状態。すぐに動物病院を受診するようにしよう。
Q.太っている犬がよく食べているものってどんなもの?
パンや焼きいもなど、飼い主さんが食べているものをもらったり、ドッグフードを食べないからとおいしいものをトッピングして、そればかりを食べるケース。
ほんの一口だからいいだろう、という気持ちで家族のみんなが犬にあげていたり、オヤツをあげたからゴハンはこのくらい減らせばいいや、というアバウトなあげ方が一番太ることを肝に銘じておこう。
Q.犬にも太りやすい時期ってある?
体重が変化しやすい時期は大きく分けて4段階ある。
第一段階は避妊去勢手術後。ホルモンバランスが崩れるので、今までと同じフードや量をあげていると、あっという間に太ることがある。一般的には生後7ヶ月以降から手術をすることが多いので、成長期の体重増加なのか、手術後のホルモンバランスの影響による肥満なのか、気がつかない飼い主さんも多い。成長もするが、肥満にも十分注意をしたい時期。
第二段階はシニア期に入る7~8歳頃。代謝が落ちる時期なので、犬も中年太りしやすくなる。獣医師と相談してフードをライトタイプやシニア用に変えることも検討したい。
そして第三段階が11~12歳の老年期。甲状腺機能低下症などで体がむくむこともあるので、愛犬の体型の変化には十分注意したい。
最後の第四段階は晩年期で、認知症などにより、食べても体重が減ることがある。それぞれの段階を特に意識しつつ、愛犬の体重変化には常に気を配るようにしよう。
太らない&痩せる 暮らしのアイデア
■食べ方
一度に「飲むように食べる」より、小分けにしてゴハンの時間を楽しんだり、しつけのごほうびとしてフードを使うと効果的。
・床にまいたり、隠したり
ドライフードなら、ケージの中の床にまいたりするのもオススメ。
・知育玩具を利用する
フードを詰めて犬が遊びながら食べられる知育玩具を利用しよう。少ない量でも、犬が夢中になって長い時間楽しむことができる。ただし、簡単にクリアできるものは避けて。
・手から一粒ずつあげてみる
この方法だと一粒ずつしっかり噛んで食べてくれる場合も。1日6~8回くらいに分けてこの方法で与えた。
・早食い防止用の食器を使う
一般的な器に比べ、食べ終わるまでにかかる時間は約1.5~2倍。最近はさまざまな「食べにくい」タイプも登場しているのでぜひ活用してみて。
・カットして粒を増やす!
ドライフードをペンチなどで半分にカット。ゴハンの時間を始め、しつけのごほうびにも使える。
■運動
犬のダイエットは食事で体重を落とすのが基本。急に運動量を増やすと、心臓や足腰に大きな負担がかかる。
しかし、適度な運動は大切。犬が嫌がるなら無理に散歩を続けず、例えば外に出かけてすぐに帰ってくるのでもよし。また、庭があるなら、そこで犬のペースで遊ばせるだけでもいい。
太っていても、シニアになっても、『運動は大事だし 散歩させなきゃ』と愛犬を散歩させる飼い主さんは意外に多いが、今まで元気だった犬がトボトボ歩く時は、足などに相当な痛みを感じている可能性もある。
トボトボ歩きに気がついた時は「太っているから、年だから仕方がない」と思い込まず、一度かかりつけの獣医師に診てもらうようにしよう。
■ダイエットフードをおいしく!
ダイエット用のフードにしたら食べなくなった、ということもある。さて、こんな時は?
・ふやかす場合、熱湯はNG
熱湯をかけて風味を出したフードをあげる人もいるが、温めすぎはフード本来のタンパク質やビタミンなどの栄養素を変成させてしまう。お湯でふやかすなら、50度くらいのぬるま湯で。
・風味増しにはドライヤー
ドライヤーを使ったフードの風味増し。5~10秒くらいでも、かなりおいしそうな香りが立ってくるのでオススメ。
・レンチン5~10秒も○
電子レンジで5~10秒フードを温めたり、フライパンを使ってフードを弱火で1~2分から炒りするのも、風味が出て犬の食欲をそそる。フードはとにかくにおいが大事なのだ。
■測る
フードの量を測るのはもちろんだけど、体重もg単位まで数値が出るタイプで測るのが基本。1週間に一度は計測し、必ず記録をつけていこう。
・1日に与える量を決める
1日にあげるゴハンの量は、「なんとなく大体」ではなく、必ず測っておこう。家族の誰かにゴハン係を頼む場合は、測ったゴハンを1回分ずつ袋詰めにしておくのも手。
・トッピングは小指の先
どうしてもフードにトッピングしたい場合のオススメの目安量は「小指の先」くらい。もしくはフードの10%未満。それをフードに混ぜてあげるようにしよう。
肥満にまつわる病気
■体重が増える病気
【甲状腺機能低下症】
喉のやや下あたりにある甲状腺から分泌されるホルモンが、何らかの原因で異常をきたし減少する病気。甲状腺ホルモンは代謝を促進させるなどの働きがあるので、この機能が低下すると、無気力になったり脱毛したり、むくみにより肥満したように見えるのが大きな特徴。シニアになるとかかりやすくなると言われており、柴犬にとても多く見られる病気。
【クッシング症候群】
人間でいう「ビール腹」のように、腹部が肥大するのが特徴。また体に左右対称の脱毛が見られる。「副腎皮質機能亢進症」ともいい、副腎から出る副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気。自然発生のものと、アレルギー疾患などで副腎皮質ホルモンを長期にわたり投与していたことによる医原性のものがある。
関連記事:知っているようで意外と知らない。犬のホルモン 30の質問【初級編】
【腫瘍】
「最近体の一部分がなんか太ってきたかな~」と思ったら要注意。特に、肩や首、腹部周辺など、「太りやすい部分」に腫瘍ができていると、飼い主さんが肥満と間違えやすく、動物病院に連れて行かずに発見が遅れることもある。食べる量は変わらないのに太ったように感じた場合は、すぐに動物病院を受診しよう。
■肥満が引き起こす病気
【膵炎】
脂肪分が多い偏ったゴハンを食べていたり、肥満犬に見られることが多い。重症になると激しい腹痛を伴う。高熱、食欲の低下、嘔吐や下痢などの症状が特徴。
【心不全】
心臓の老化現象により起きることが多い心不全。シニアになるとかかりやすくなるが、肥満しているとより心臓に負担をかけ、心不全の症状を悪化させてしまう。呼吸不全、動悸や息切れ、咳をするなどが主な症状。
【関節疾患】
重すぎる体重を支えきれなくなった関節や骨に大きな負担がかかる。足を引きずったり、散歩の途中に立ち止まるなどの異変が見られたら、すぐに動物病院へ。
【糖尿病】
犬の糖尿病はいくつかの要因が重なって起こると言われているが、その中の一つの要因に肥満が挙げられる。合併症も深刻で、急激に白内障が進行したり、肝疾患や細菌感染症にかかることも。
関連記事:【犬の糖尿病】検査や正しい治療方法は?病気との上手なつき合い方
【その他】
肥満がすぐガンに結びつくわけではないが、診察をしていると肥満犬がガンを発症する確率は多い。ガンの他にも、靭帯を痛めたり、太って首の気道が圧迫され呼吸がつらそうになるなど、さまざまな弊害が出る。
意識と意志と管理と記録が大切!
愛犬ダイエットで一番重要なのは、「食生活を見直し、正しく改善する」「運動だけで体重を落とそうとしない」「時間をかけて体重を落とす」こと。
愛犬を痩せさせたい、という飼い主の強い意識と意志、徹底した管理、こまめな体重計測も大切だ。
今太っていても焦らず、愛犬の体に負担をかけない形で健康的なダイエットを試みてほしい。
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
Shi‐Ba vol.95『食生活を見直して今日からできることを始めよう! デブっている場合じゃない!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。