シニア世代になると、老化や病気の可能性が増えてくる。しかし予防や対処を行うことで、犬の暮らしの快適さは大きく変わる。シニア犬の生活やケアのポイントを紹介。
甲状腺機能減退症チェック
□ 太り気味
□ 毛艶が悪い、毛が硬い
□ 被毛がはげている部分がある
□ 被毛が生え変わらない
□ 毛を剃った後、なかなか生えない
□ 日頃から活発さがない
□ 人や同居動物と遊びたがらない
□ 散歩に行きたがらない
□ 運動をしても息が荒くならない
□ 腹部の皮膚が黒ずんでいる
□ 呼びかけや物音への反応が鈍い
□ 前足の爪を擦って歩く
□ 後ろ足を突っ張って歩く
□ 寒がりである
「年だから仕方ない」は×
コーギーは8歳頃から毛色が白くなる、足腰が弱る、動きの機敏さが低下するなどの変化が出てくる。
こうした変化をすべて『年だから』で片付けるのは危険。覇気がないのは甲状腺の病気のせいだったり、足腰の動きが悪いのは腰の変形性脊椎症や神経性脊髄症のせいだったりする可能性もあるからだ。
甲状腺の病気は上のチェックシートで、腰の変形性脊椎症や神経性脊髄症については下のチェックで確認してみよう。気になるようなら動物病院へ。また変形性脊椎症や神経性脊髄症であっても、犬は頑張って動いてしまいがち。定期的に検診を受けたい。
老齢になると、他にも心臓疾患や腎臓疾患など内臓の病気になる可能性も増えてくる。
また性格的には、堪え性がなくなったり、怒りっぽくなるなどの変化がみられる犬もいる。
感覚的には、耳が遠くなり音に対して鈍感になるケースが少なくない。このため、若い頃はパニックを起こした花火や雷が平気になる例もある。白内障で目が見えなくなり恐怖心が強くなり、飼い主を頼るようになる犬も。
コーギーの平均寿命は14~15歳。そのため14歳からの1年1年はとても貴重。上手にケアして、元気で長生きさせてあげよう。
足腰が痛くても犬はつい上り下りしてしまうものなので、段差のある場所は出入り禁止にしてもいいだろう。
後ろ足の機能チェック
犬の足首を返し、甲が軽く地面につくようにしてみよう。0.5~2秒程度で戻るなら正常。戻りが悪いなら動物病院へ。4足それぞれチェックを。
足の下に紙を敷いて横にゆっくりと引っ張る。足をすぐに戻すなら正常。戻らない時は動物病院へ。爪の削れる長さが指によって違っている場合も注意。
抱っこして、前足の片方の甲をテーブルのきわに軽く押し付けつける。足をテーブルにすぐ置くなら正常。そのまま動かないなら動物病院へ。
シニア犬の生活&ケアのポイント
point1 住まいは段差や滑る床に注意!
足腰が弱ってくると、階段やソファで足を踏み外したり、上り下りを躊躇するようになる。
そんな様子に気づいたら、階段にガードをつける、抱っこで上り下りする、ソファにステップをつけるなどの対策を。足腰の負担を減らすために、滑り止めマットなども活用しよう。
やわらかいクッションなどを置いて、すごしやすい場所を作ってあげるのもいい。
視力が低下するので、照明は明るめに。模様替えは避けよう。
point2 食欲を促進させる工夫をしよう
食欲を減らさないよう、フード食ならササミ肉や、中医学的にエネルギーを増やすとされる、黒い食べ物(ゴマやのりなど)をトッピングしてもよい。
フードをレンジなどで温めるだけても香りが立って食欲増進になる。食器に台をつけて食べやすい高さにすると、首への負担がなくなる。
老い先短いから、好きなものを存分に……と、高カロリーのものを食べさせると肥満になり、臓器への負担が大きくなるので注意。
point3 夏場は熱中症と冷房冷えに注意!
コーギーは足が短いため、お腹から地面の熱をもろに受けてしまい熱中症になりやすい。散歩の時間は早朝や夜などアスファルトの熱が高くならない時間に。また屋内の冷房による冷えにも注意。
特に留守中ケージに入れる場合は、冷房の風が直撃しないように工夫しよう。
自由に動ける時も、冷房の風が当たらない場所にクッションを置くなどして、犬が快適な居場所を自分で選べるようにすると安心だ。
point4 スキンシップやボディケアを
マッサージは筋力低下を防ぐ効果があるので、スキンシップがてら、足腰や体全体をもんであげるといい。
また歯ブラシで軽く皮膚をこすると、親犬から舐められている感覚で犬が安心しやすい。
個体差もあるので、犬の好みに応じてリラックスできるスキンシップを。ただし嫌がるなら無理はしないこと。
日頃からよく触れ合うことで、病気やけがの早期発見につながり、早期治療でき、重い症状になることを防げる。
point5 運動は心臓に負担させすぎないこと
コーギーの飼い主は特に、老犬になっても散歩や運動をさせた方がよいという意識を持っている人が多い。
しかし基礎疾患のある犬はもちろん、健康な犬でも運動のしすぎには気をつけよう。老齢になったら、犬が動きたがっても飼い主が抑えるくらいがちょうどいい。
散歩は時間を決めて、その中で犬がマイペースでぷらぷら歩くくらいにとどめよう。犬が行きたがらない場合は無理に連れて行かないように。
point6 デンタルケアなどのお手入れも
元気よくいるためにはしっかり食べることが大切で、そのためには歯を大切にしたい。人用の歯ブラシでいいので、フサフサのものを選んで歯磨きしよう。
いきなり磨くと嫌がるので、慣れていない犬は唾液腺のある口角付近をマッサージし、慣れたら指を入れ、さらに慣れたらガーゼ、歯ブラシと進めていく。
歯がグラつく、口が臭い、歯茎が赤黒い、歯石がついたなどの場合は歯周病の可能性が。病院でケアしてもらおう。
point7 ペットロスの対策も忘れずに!
・後悔のないように看取る
ペットロス対策は犬が生きている間から行いたい。ペットは飼い主が看取る前提で飼うもの。日々の食事作りや散歩の延長に、犬の最期を看取ることがある。やれることをやって終わりを迎えれば、充実感が得られ、あの時こうしていればよかったという罪の意識も感じずにすむだろう。
・看取った自分をねぎらう
生き物には必ず命の終わりがある。犬より自分が先に死ぬことなく、きちんと看取れただけでも飼い主の責任を果たしたことになる。自分を責めたり、家族や獣医師に責任を押し付けたりしていると、余計に立ち直れなくなる。わざと治療を間違えたり、犬の寿命を縮めようとする獣医師はいない。あらかじめ動物病院と信頼関係を作っておくと、納得のいく最期を迎えやすくなるだろう。
・自分の感情を受け入れる
愛犬を亡くしたら、ショックで抑うつ状態になるのは自然なこと。食欲不振、頭痛、情緒不安定、外出したくない、犬を見ると落ち込む、人と話したくない、など精神的、肉体的に不安定な状態になる人は多いも。ただし家族や友達など周りの人から見て異常だと思ったら、治療する必要があるので専門の病院を受診しよう。本人は気づきにくいので周囲の注意が大切だ。
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コーギースタイル vol.39『犬生を楽しく生きる! キラキラシニアライフを目指す!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。