動物は生きるために本能や学習で知恵を身につけている。しかし、結果的に健康法に繋がっていることもあるが過剰に続く場合は注意が必要らしい。小さなサインを見逃さないために、愛犬の不調を見分ける方法を知っておこう。
これも犬の健康法?
Q.自分のウンチを食べる。他の犬や猫のものも……。
かつて人の健康法で飲尿療法が話題になったことがあった。また、遭難した人が排泄物を食べて生き延びたというケースもあるが、これはむしろ不健康。犬が自分のウンチを食べるなら飼い主が困るくらいで済むが、他の犬や猫の排泄物は回虫などの内部寄生虫が含まれている可能性がある。
Q.食事の量を自分で調節して残すことがある。
食欲には個体差があるので量が多いのかもしれない。また、『腹八分目でやめよう』と意識すれば調節だが、犬はそのように考えない。途中で食事をやめることが続くなら、胃腸のトラブルも考えられるので動物病院へ相談しよう。
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Q.前足の親指の爪を自分で噛んで短くしている。
その犬が何かのきっかけで身につけた習性だろう。前足に加えて後ろ足の爪を噛む犬もいる。自分で噛んで短くして、快適に過ごしているなら問題はないが、過剰な場合は動物病院へ。
Q.愛犬が鼻を前足で覆って寝る。肉球のにおいを嗅いでいる?
鼻を覆うと落ち着くのだろう。その犬のクセだと思われる。寝る前に毛布を吸う犬もいる。
Q.散歩から帰るとすぐ寝るのは体力を回復している?
貧血や心臓の疾患の初期は疲れやすいので、すぐに体を休めようとする。もし歯ぐきが白っぽい場合は動物病院に行こう。十分な運動をした後、心地よく寝ているなら問題はない。
Q.散歩に持参する水筒より水飲み場から飲む方が好き。
蛇口から出てくる水を飲みたがる犬はよくいる。泡と一緒にジャーッと出るから、酸素がたくさん含まれていておいしいのかもしれない。冷たい、飲み心地がいい、などの理由も考えられる。
注意すべき不健康な行動は?
人の手の代わりに、犬は口を使う。傷を舐めたり気になるところを毛繕いしたり、器用にセルフケアをしている。これらは健康に役立っているのだろうか?
犬の舐める行動は本能的なもの。治癒能力といえるだろう。小さい傷であれば、舐めて表面の雑菌を取れる。また、皮膚の傷は湿っていた方が治りは早いので、唾液で湿潤性を保てることも有効。
しかし、軽傷であれば舐めた後に自然に治癒することもあるが、どんな傷でも放置してはいけない。舐め続けて逆に悪化していくことが多い。傷を舐めているうちに肉や筋肉が出てきて、最後は骨が露出してしまう場合も。感染症などが原因で亡くなる恐れもある。
手術をした犬にはエリザベスカラーをつけるのは舐めないようにするため。唾液で治る可能性があるケガは、人も犬もごく小さい傷だけ。また、特定の場所(主に前足)を舐め続ける場合は、ケガではなくストレスによる症状が考えられる。全ての足を舐めるなら皮膚炎の疑いも。犬任せにしないで動物病院に行こう。
健康法に役立つ行動も、過剰に続く場合は要注意。例えば、トイレシートなどの異物を少し口にしてやめるなら問題にはならないが、中には大量に食べてしまうケースもある。
また、草を食べることも犬の生きる知恵だが、急に大量に食べるようになった場合は、ストレスや胃腸のトラブル、内部寄生虫、食事不足などが考えられる。
愛犬にいつもと違う行動が見られたら、不調のサインと考えよう。加えて、周囲の健康な犬たちと比較しておくこと。他の犬と比べておとなしくて従順な犬は、病気が隠れている場合もある。
動物は生きるために知恵を絞って健康を保っているので、究極に自然なライフスタイル。しかし、現代の犬は身近に頼れる人がいる。飼い主の気配りで愛犬の健康を守ってあげたい。そして、共に健康で長生きしよう!
現代犬に足りない健康法
弱肉強食の自然界で暮らす野生動物は、激しい生存競争を繰り広げている。本能や学習をフル活用して生き抜く彼らに比べると、現代の犬はちょっと足りないものがありそう。
犬は野生動物に近い本能を備えているが、生活環境が全く違うので、本能では回避できない危険もある。家庭で暮らす犬は、自然界にないものに囲まれている。
例えば、犬が中毒を起こすテオブロミンを含むチョコレートやココア。毒ガエルや毒ヘビは本能で回避できても、自然界にない加工食品は口にしてしまう犬が多い。誤食の事故は増えているので、飼い主の注意が必要。本能で危険を避けられるはず! という無理な期待はやめよう。
野生動物は毎日食事ができるとは限らない。オオカミやライオンなどの捕食動物は、時間をかけて獲物を探して捕らえる。時には数日かけて捜索、追跡することもある。二食昼寝つきでのんびり暮らしている現代の犬は、運動量が全く足りていない。
柴犬は本来なら5~6時間は動ける体力を持っているが、飼い主に合わせて少なめの運動量で暮らしている。散歩のメニューを工夫して、なるべく多い運動量を確保してあげよう。走ったり山道などを通ったりして、メリハリをつけた散歩を心がけること。足腰を鍛えることに加えて、全身の筋力や臓器、脳にもよい刺激を与えられる。時にはドッグランなどで自由運動もおすすめ。犬の運動量は十分とはいえないが、一万歩を、とりあえず目標にするといいかもしれない。
日本には四季がある。特に暑い季節は運動にも注意が必要だ。動くことで熱が作られるので、夏には体温の上昇を防ぐために動かない犬もいる。逆に冬は体を暖めるために活発に動く。日本の四季は、メリハリをつけた生活を送ることに役立っている。
犬の健康法 まとめ
犬も生きるためにさまざまな知恵を実践している。人は体調不良を隠すことがあるけれど、犬はありのままの姿を見せる。つい我慢をしてしまう人は見習いたいところだ。それはさておき、犬の不調を見分ける方法を知っておきたい。
犬の不調は目の輝きや食欲の有無、毛艶など、ちょっとした変化として現れる。毎日、目つきや動作を観察するだけでも、不調の時に比較して判断基準になる。スキンシップも兼ねて触って、体温や皮膚の張りなども確認しておこう。
『今日はいつもと違う』と早期に気づくことは大切。明らかに具合が悪そうな時には、重症の場合が多いからだ。気がかりなことがあれば、すぐに動物病院に相談をしよう。
何気ない行動は生きるための知恵だった!柴犬に学ぶ、自然健康法
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Shi‐Ba vol.72『犬たちのなにげない行動は生きていくための知恵だった!? 柴犬に学ぶ 自然健康法』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。