人にはヘルシーでも犬には??な食材。きのこ類・煮干し・豆腐は大丈夫?

豆腐や煮干し、きのこ……。これって全部体に優しいイメージの食材だが、犬に与えると、実は彼らの負担になることもあるそう。今回もためになる特集だ!
 

 

きのこ類

きのこ

■人にとってのきのこ類

きのこ類は豊富な食物繊維が特徴。この食物繊維は海藻類とは異なる便通を促進する、有毒な物質を取り込んで体外に排泄するという動きのもの。人ではコレステロール値や血糖値の改善があると認められている。また、きのこ類に含まれる食物繊維「β-グルカン」は、抗腫瘍作用がある。

 
■きのこ類の秘密

よく言われるきのこの抗腫瘍作用は、β-グルカンに絞った作用なので、きのこを食べたから癌にならない、あるいはできた腫瘍が小さくなるわけではない。ただし、ビタミンDを豊富に含むため、愛犬がなんらかの疾患でカルシウム摂取を制限している場合などは、その吸収を保護するため与えないようにしよう。

 
■犬にとってのきのこ類

健康面に与えられるネガティブな要素は少ないと考えられるきのこ類。犬はなぜか、きのこの匂いが好きなことが多いので少量を風味付けにして与えてみては。

 
■結論

抗癌作用や免疫力の向上などを目的とする場合は、それを目的にして作られたサプリメントでとる必要がある。食材としてのきのこでは、乾燥するとビタミンDの含有量が高くなるため、与える場合は生で軽く茹でてあげよう。

 

煮干し

煮干し

■人にとっての煮干し

煮干しは、小型のまいわしやかたくちいわしを塩水で煮てから乾燥させたもの。特徴的な栄養分としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム。そのため、人では健康な骨や歯を保つための食材として利用されている。

 
■煮干しの秘密

・ナトリウム
ナトリウムは生命にとって不可欠な栄養素だが、過剰摂取すると、人では高血圧や脳卒中などの循環器系への影響が優先される。

犬では、腎臓疾患や尿路疾患への影響がある。人では過剰なナトリウムは尿中の他、全身からの汗へも排泄可能だが、犬の過剰なナトリウム分の排泄は大半を腎臓が負う。

さらに、ナトリウムが過剰だと腎臓からカルシウムの排泄量も増え、その結果、シュウ酸カルシウム尿石症の原因となることもある。

・マグネシウム、リン
これらの栄養素も豊富に含まれている。ナトリウム同様に体に不可欠な栄養素だが、犬の過剰摂取はやはり尿石症(ストラバイト)の原因に。特に骨や内臓にリンが豊富に含まれる。

 
■犬にとっての煮干し
常に家にあり、保存しやすく「小魚=カルシウム」というイメージから、手軽にペットフードのトッピングとして使用することが多い煮干し。1本(≒2g)6~7ckalと低カロリーで、カルシウム豊富。犬のオヤツにはもってこい!と考える飼い主も多い。

しかし、実際にその他の濃縮したミネラル成分が身体に与える影響を考えると、高品質で栄養バランスがすでに十分であるペットフードを食べている愛犬に、毎日積極的に与えるおやつではなさそう。

 
■結論
犬がどうしても好きな場合は、時々2~3本与える、塩抜きをする、骨や内臓を取り除くなど人手間加えて。また、過去にストラバイトを経験した、あるいは現在そうである犬に与えないで。
 

 

豆腐

豆腐

■人にとっての豆腐

豆腐は大豆から出来ており「畑の肉」とも言われるようにタンパク質が豊富。その他にも動脈硬化、心臓病や糖尿病など生活習慣病を防ぐのに効果がある、リノール酸、ビタミンB1、ビタミンE、カルシウム、カリウムや亜鉛を含んでいる。その上、安価、調理をしなくても食べられる、水分を多く含むので量的に多く見えるなど健康面以外にも減量目的でも利用されることが多い。

 
■豆腐の秘密

健康に良いイメージばかりが取り上げられる豆腐だが、別の角度からみてみると……

・意外と高脂肪
豆腐100gのうち90gは水分だが、なんと100gに含まれるエネルギー量は木綿豆腐で72kcalあり、100g中の脂肪は3~4g。豆腐には意外と脂肪が多く含まれている。ちなみに鶏ササミ100gに含まれる脂肪は0.8g。

・摂取エネルギー量が増える
大豆は豆類の中でも特にタンパク質が豊富。タンパク質は体にとって重要な栄養素。これが不足しては健康な減量は不可能。これが人の減量で豆腐が利用される理由の1つでもある。

ちなみに脂付きサーロインステーキ100g中には11.7gのタンパク質が入っているのに対して、木綿豆腐100g中には6.6gのタンパク質が含まれるため、同量のタンパク質を得るには約2倍食べなければならない。当然エネルギーも2倍になる。

・塩化マグネシウムで下痢!?
豆乳を固めるために使用する「にがり」の主成分が、塩化マグネシウムだというのがポイント。マグネシウムはミネラル成分であり身体に必要だが、摂取過剰は逆効果。にがりの過剰摂取で下痢を生じるのもそのひとつ。

  
■犬にとっての豆腐

これらの理由から、豆腐は犬にとってケースバイケースだということが分かる。

特にペットフードに混ぜる場合、ほとんどのドライフードは総合栄養食であり、そのフードと水のみで健康が維持できるように作られていることを念頭に入れておくことが重要。ビタミンやミネラルは製造工程での損失を考慮し、必要以上に入っていることがある。

これが豆腐に含まれている「にがり」に注意が必要な理由。にがりの主な成分、塩化マグネシウムのマグネシウムストラバイト尿石症の原因となる栄養素。手作り食で豆腐を食べているのとは異なり、少しだと思っても過剰摂取になることも考えられる。

また、肥満もストラバイトのリスクを増加するため、太りやすい柴犬には与える量に気をつけたいもの。

 
■結論
犬にとっての豆腐は、それぞれの健康状態や使用しているペットフードの性質に合わせて時々、1日40g程度を目安に。

 

おから

柴犬

意外とカロリーが高いこと、便中に栄養素も排泄されてしまうこと、ペットフードにはもともと腸内環境を維持するために必要な食物繊維が十分加えられていることを考えると、人間が期待している効果は得られにくいことも。

特に肥満対策としてすでに減量用やライト、または高齢犬用などのフードをあげている場合は、食物繊維が通常の雑穀やフードより多く入っているものを選んでいる可能性が高いので、おからをあげる時には注意が必要。

加えるならば、フード全体の1/10を目安に、あとはウンチの状態と相談しながら少量に。ウンチの量が異常に多い、あるいはゆるいのは与えすぎ。

 
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Shi‐Ba vol.48『人にはヘルシーでも犬には??な食材もあるんです』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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