飼い主をギュッと踏みつける犬。とっても失礼なはずなのに、なぜか踏まれたい♡ 危険な願望を抱く方のために、本特集は犬に踏まれる理由をまじめに考えます!
犬はなぜ踏むの?
素朴で基本的な疑問から。どうして犬は人を踏みつけるのか?
ギュッと踏むということは、それなりに接近している状態。フレンドリーな犬、他者との接触が嫌ではない犬、踏んだ時に叱られるなどの経験をしていない犬がよく踏むと考えられる。
これは、日本犬でも最近増えているタイプ。昔ながらの柴犬は人と一定の距離を保つので、踏む機会は少ないかもしれない。
1.踏もうと思っているわけではなく通り道に人がいた
2.人に甘えたくて近づいた結果、踏まざるを得ない
3.乗ったり座ったりするのにぴったりな位置に人がいた
4.アイコンタクトなどトレーニングに集中しすぎた
5.人の気を引くためのアピールの手段にしている
6.人に触れていることで安心感や味方を得たい
人を踏む代表的な理由は上に挙げたとおり。1~4は主に無意識的、5~6は主に意識的な行動だ。
無意識的な踏みはどんな犬でもあり得る。人が木の枝を気にせず踏んで歩くようなもの。
意識的な踏みは人に自ら接触しているので、良い関係ができている証拠。逆に、関係ができていないから無遠慮に踏みつける可能性も捨て切れない。
飼い主と愛犬の関係も踏むことに大きく影響するのだ。続きは下へ!
犬に踏まれやすい人とは?
次の疑問は、犬に踏まれやすい人がいること。なぜだろう?それは、その人との関係、犬の性格、今までの学習によるもの。踏むほど接近できるわけだから、心を許せる関係、フレンドリーな性格、踏むことで良い経験を積んだ、ということ。
また、成長して遠慮を身につけた犬は、『踏んでもよろしいでしょうか』と丁寧に踏む気がする。若い犬は特に遊びの時、激しく乗ってくる。いずれの場合も、良い関係ができていれば問題ない。
しかし、関係ができていなければ、止めてもドカドカと無遠慮に踏んだり、攻撃的にうなったりすることも。専門家に相談しよう。
逆に、犬に踏まれにくい人は犬が『踏むなんて恐れ多い』と思う人。主人と忠犬のようなピシッとした関係といえるかも。
犬によく踏まれるという方、喜んでいる場合ではないかも。それは良い関係だから? それとも関係ができていないから? 見極めよう。
パーツ別 犬が踏む理由
■あごで踏む
人の太ももにあごを乗せて、遠慮がちに甘えるポーズ。控えめだが要求は強いことも。人がイスに座って暮らす家庭が増え、犬は太ももがあごを乗せやすいのだろう。
■後ろ足で踏む
意識的に踏む場合は、「土足でドカドカ」感がある。遊びやアピールとしても失礼な踏み方。犬は後ろ足がおろそかになりがちなので、意図せず踏むこともある。
■前足で踏む
動かしやすいので、無意識的&意識的どちらの場合もよく使われる。丁寧な「そーっと」感があり、無礼な「ドカドカ」感は少なめ。踏むだけでなく、「ねえねえ」とつつくアピールも。
■全身で踏む
全体重を乗せて人をプレスする大技。人を枕やベッド代わりにする時に見られる。マッサージなどをねだって体重をかけてくることも。
■しっぽで踏む
ほどけた巻尾がファサッ。これはおそらく偶然。乗せるにはシッポの長さを計算して距離を計る必要があり、犬には少々難題か。柴犬は人から距離を置くので、少し離れてオスワリした結果、シッポが乗ることはある。
■尻で踏む
「失礼します、どっこいしょ」的なアピール。絶対にわざと踏んでいる。安心感を得たい、腰かけて休憩、人のツッコミ待ち、などが理由。飼い主と関係が良く、友好的な犬に見られる。
踏む場所に意味はあるの?
人体のどこを踏めば最も効果があるのかを、犬はよく研究している。
最初は前足で踏んだりあごを乗せたりする静かなアプローチから始めて、望む効果が得られなければ、尻や全身でドカッと激しいアプローチに変わる。人が大きいリアクションをするほど、その行動は強化されていく。
愛犬が前足やあごでそっと踏むタイプであれば、静かなアプローチでも飼い主が良いリアクションを返したのだろう。
愛犬が激しいアプローチをするタイプなら、静かなアプローチをした時に飼い主がスルーした可能性大。
子犬の頃は激しい動作が目立つが、大人への階段を上るごとに、狙い澄ました静かなアピール方法も身につけていくはずだ。
前足は触られたくないが……
特に日本犬は他の犬種と比べて、ドカドカと激しく踏むより、さりげなくギュッと踏むことが多い気がする。しかも踏んだ後にジワ~ッと圧力をかけてくる。
プードルやラブラドール・レトリーバーは、飛びついたり体当たりをしたりするキャピキャピしたアプローチが多め。
ところで、足を触られることが苦手な犬は多い(散歩後の足拭きに苦労している飼い主の皆さん、お疲れさまです)。
でも前足や後ろ足で人を踏みつけるのはいいようだ。自主的に人に触れるのはOKということだろう。
人の手に前足を乗せると握られたりするから、自主的でもオテは嫌。『その手は何かするよね?』と、疑惑の念を抱いている犬は本当に多い。
だが、人の手以外のところなら乗せても握られないので、油断や安心して踏みつけるのかもしれない。
尾や尻を触られるのが苦手な犬も、自主的ならOKのようだ。踏まれた時に「今がチャンス」と触りたくなっても、ぐっと我慢しておこう。
犬の踏み 対処
踏まれてみたい時……
犬に踏んでもらいたいパーツを選び、ごほうびで誘導して踏むことを教えよう。前足であれば、誘導→「踏んで」などの号令→ほめる→「降りて」などの号令→オスワリ(けじめをつけるため)、を繰り返す。
踏まれたくない場合……
犬が踏もうとしたら「ダメ」など禁止の号令を言って、踏ませないように制御する。踏ませる体験をさせないことが第一。犬はウケると繰り返すので、人も過度なリアクションを避け、淡々と対応しよう。
踏ませてはいけない場合
犬にもっと踏まれたい。むしろ誰でもいいから踏んでほしい。そんな危険な願望を抱きつつある方、ちょっと待って。犬に踏ませてはいけない場合もあるそう。
良い関係ができていない段階で、勝手に踏ませてはダメ! 犬が調子に乗って失礼な踏み方をしたり、攻撃的な行動をしたりする場合も同じ。
しつけをがんばろうという時に、勝手に踏むことを許していたら、中途半端な対応になってしまう。犬にとっても良し悪しがわかりづらくなる。まずは関係を作ってから、存分に踏まれよう。
踏まれたくて仕方がない方、まずは日常生活を見直して。良い関係ができてから愛犬に踏まれまくろう!
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Shi‐Ba vol.87『足で 尻で あごで 全身で 柴犬が踏む理由』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。