飼い主がよかれと思ってやっている、あんなお世話、こんなお世話、犬は喜んでいる?何を考えているのか把握しておきたいけど、柴犬はクールでポーカーフェイスだから、真意が見えないことも。飼い主は犬にどう思われているか、行動から探ってみよう。
scene1 触れ合い
抱っこなどの触れあいを飼い主は求めるが日本犬はベタベタされるのが苦手。嫌われない方法とは?
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下記はどれも緊張状態にある時に出る行動。喜んでいるように見えても内心は違うのだ。
□緊張し、体が固まっている
□あくびをしている
□抱っこしようとすると愛想笑いで逃げる
□撫でられ横倒しになっても力が抜けない
▼病院嫌いにならないためには?
スキンシップの「触れ合い」と意味が異なるが、健康のために行いたい触れ合いに「定期検診」がある。持病があり頻繁に通う必要がなくても、病院を苦手とさせたくない。どうしたらいいのだろうか?まずは、動物病院へ行くと楽しいことがあるという学習をさせる。具体的には、散歩コースに動物病院を入れ、受付や待合室まで行ったら、そこでごほうびを与えて帰ってくることを繰り返す。“定期検診に慣れさせたい”と事情を話せば、理解ある動物病院なら協力してくれるだろう。
scene2 散歩
飼い主と密な時間が過ごせ、外気に触れる散歩は犬が大好きな行為。スムーズに歩くよう工夫しよう。
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フセして散歩拒否は服従の意味もあるようだ。
□家路に向かおうとする
□足を踏ん張り動こうとしない
□リードを自分の方へ引っ張る
□ばったりと途中で歩かなくなる
▼よい人と思われるためには?
もし途中で歩かなくなったら、散歩中で遭遇した過去の嫌な経験を思い出しているのかもしれない。歩かなくなる原因の追究は難しく、思い当たる事柄をつぶさに精査する必要も。もし犬が立ち止まったら横に立って様子を見て、先に進むよう促す。飼い主は1~2歩進み、立ち止まって待ち、犬が少しでも同じ方向に歩いたらほめる。それ以前に立ち止まったり、犬の側に寄って話しかけたり、なだめたりするとより動かなくなる。
scene3 お手入れ
犬の気持ちに反してやらねばならないお手入れ。全身全霊で嫌がっている場合はやり方に工夫が必要かも?
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お手入れ時の嫌がり方は分かりやすい。1番目以外は完全拒否の状態。対策を考えたい。
□ウーと唸って威嚇する
□暴れてその場から逃げようと必死
□近づいてきた道具や手を注視する
□拘束している手に歯を当ててくる
▼嫌われないためには?
信頼関係を築けていれば、苦手なお手入れだけで関係の全てが崩れることはない。ただし苦手なことを無理矢理続けていれば、“側にいたくない人”になっていく可能性も。これは信頼関係が崩れる第一歩。しかし大体のお手入れは“その行為をするといいことがある”と学習させれば、それなりにこなせるようになる。飼い主も徐々に慣れるよう工夫を凝らしながら、粘り強く慣れさせよう。ただし爪切りなど難易度が高いお手入れは、プロにまかせるのも手。
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scene4 ゴハン
食欲は健康のバロメーター。オヤツは過多でなければ基本、ゴハンは食べてくれる。食欲がないなら注意が必要だ。
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安心して食べられないと思うとこんな行動に。健康に問題がなくても食いつきにムラが。
□チラチラ周囲を見て落ち着きがない
□人が器に近づくと食べる速度が速まる
□食べているのをやめ、器を注視
□食べながら上目遣い(緊張している)
▼よい人を思われるためには?
ゴハンやオヤツをくれる人=好きな人となるので、つい与えすぎてしまうこともあるだろう。しかし、肥満になっては問題。でもダイエットのためにも急にゴハンを減らすと、犬はストレスを感じるので、与え方には工夫が必要だ。ウエイトコントロール用のゴハンにし、1回に与える量を減らす代わりに回数を増やし、空腹になる時間をできるだけ短くする。オヤツは回数を減らし、ゴハンはキチンと食べさせよう。
scene5 遊び
散歩と並んで犬が好む遊び。追いかけっこやかくれんぼ、オモチャなど。ちゃんと喜んでもらっている?
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こんな様子なら犬がノッてない可能性が。遊び方やタイミングに問題があるのかも?
□遊びに誘ってもノッてこない
□オモチャやそれを持つ飼い主に反応しない
□しぶしぶ遊びに参加している
□呼んでいるのに無視し続けている
▼楽しい人と思われるためには?
遊びに誘ってもノッてこないのは、飼い主の誘い方に原因がある。オモチャを口のまわりに押しつける人がいるが、犬にとってはただウザったいだけ。オモチャを予想外に動かしたり、犬に背中を向けチラ見せで焦らしたりして、犬の興味を引こう。そして犬が“もうちょっと遊びたい!”とノッている時、飼い主主導でストップし、見えないところにオモチャを片付ける。こうするとオモチャへの反応もノリもよくなる。
愛犬の気持ちを汲む達人になろう
▼犬の気持ちを無視し続けるのは問題!
犬が遊びに誘っているのに知らんぷり……。でも無視をし続けると心を閉ざしてしまう場合もある。
ネグレスト気味の犬に多いが、長いこと無視されると人間への期待を諦めることも。関係性が希薄であれば相手と親密になろうとしない。
家政婦のように犬の要求を何でも受け入れては問題だし、遊べない時は飼い主主導で断るべきだが、時には犬の気持ちに応える余裕を持とう。
▼怒りの無視は悲劇を生む!?
上述とは反対に、犬の怒りを無視し続けるとどうなるのだろうか?面白半分で犬の怒りを買うことをやる人もいるが、犬が本気で嫌がっているのにしつこく続ければ、犬も本気で怒る。
その場から逃げられない場合は唸る、噛むの反撃にでることも。あるいは逃亡し、その後飼い主を警戒し、近寄らなくなる。犬の“ウー”は最終警告。犬の怒りに気がつかないと、結果的に飼い主が悲惨な目に合うので注意しよう。
▼飼い主が厳しいと犬は萎縮する!?
しつけのためと怒鳴る、叩く人も少なくない。怒鳴っても叩いても、犬がその行動を止めないのは通じていないということ。
叱る強度が弱いのではなく、犬に伝わるように解説していないと考える方が賢明。どうしたらよいことが起きるのか? 逆に何をしたらよいことが失われるのか? を教える必要がある。
恐怖を感じた犬はこれ以上、怖い目に遭わないようにと、飼い主と距離を置きたがるようになるだろう。怒鳴る、叩くが過ぎればそれはしつけでなく虐待につながることも忘れないでほしい。
▼飼い主が喜んでいる行動が犬には恐怖……!?
飼い主の喜ぶ行動に犬がビビってしまうこともある。家庭内のシチュエーションで比較的多いのがスポーツ観戦での盛り上がり。
手を叩いたり、大声で応援したり、普段とは違う態度や音に、変化に弱い日本犬は戸惑ってしまう。日常とは違う刺激に驚いて逃げ出すことも。
事前に騒ぐことがわかっていたら、犬を他の部屋に移動させるなどし、安心できる場所を作ろう。飼い主の突然の行動が、犬の心を大きく揺さぶることを忘れずに。
▼怒っているのに喜んでいると伝わってしまうこともある
犬の行動を叱っているのに、逆に犬が「喜んでいる!」と勘違いし、学習してしてしまうことがある。代表的なのが甘噛みやトイレの失敗。
特にトイレの失敗は、掃除用具を取りに行くなど、その場にいた人が一斉に動き出すことが多く、それが犬の目には楽しく映る。犬は飼い主の気を引くために、同じ行動を繰り返すこともある。
いずれの行動に遭遇した時も、飼い主は騒がないこと。排泄物は粛々と片づけよう。
コミュニケーションと本気の愛が脳内理解に
飼い主の思いと犬の思いに違いがないかを探った企画だが、犬の気持ちを正確に把握することは難しい。人間だって、今隣にいる人間が何を考えているかわからないのだから、言葉を介さない犬ならなおさらだ。
犬の気持ちを読めている飼い主さんもいれば、読み違いをしている人もいる。できるだけ気持ちを正確に読むには、飼い主も勉強する必要があるだろう。
犬の気持ちばかり考えて神経質になるのは考えものだが(神経質さが犬に伝播することもある)、飼い主が犬のサインを見逃すKY(空気が読めない)になるのは避けたい。
犬には冗談は通じない。冗談で嫌がることばかりしていれば犬に嫌われるばかりだが、例えば日本犬が苦手とされる洋服も冗談ではなく、着せる可能性のある老後に備えて「今からどうしたらいいか」を「本気」で具体的な方法を考えた方がよいのかもしれない。本気の愛情や思いやりは犬に伝わる。
だからこそ大きな思い違いやKYにならないように気をつけたい。その感覚を磨くためには日頃のコミュニケーションが大切になってくるだろう。だから毎日本気でかわいがったり、イチャイチャしちゃってください!
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Shi‐Ba vol.88『脳内徹底スキャン 飼い主は犬にどう思われている?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。