「うちの犬、眉毛がある……」と、驚いたりしたことはないだろか?けっこう、多いみたいだ。M模様の眉毛犬。今回はそんなM眉の不思議を探ってみた。
M眉って何?
日本犬の体毛は、毛先と毛根では毛色が違う。例えば、毛先のほうでは濃い赤色なのだが、そこから少しずつ薄くなり、毛根近くは薄い灰色っぽくなる。グラデーションみたいになっているのだ。このパターンはかなり多い。
また、毛先は同じく赤色だが、中心部に黒色の部分を持つ毛もあり、こちらは「中黒」と呼ばれている。
そして、M眉が発生するのも、この中黒が原因だ。換毛期で毛が抜け始めると、体毛は全体的に薄くなる。この時に、体毛の奥の方に隠れていた中黒の部分が表面に出てくる。眉の部分に中黒の体毛が集中してあれば、それがM眉となって現れるというわけ。
また、他の毛と中黒の換毛にタイムラグがあり、中黒の方だけ抜けずに残っていたりすると、それが余計目立つことに。
つまり、『巨人の星』の一徹とーちゃんみたいに、濃く太く存在感のある眉毛になったりする。それが人類の眉毛と同種のものかどうかは、よくわからないのだが。
しかし、中黒の毛というのは犬の体のあらゆる部分に存在している。よーく自分の犬を観察してみよう。M眉はなくとも、他の部分に面白い模様を発見できるかもしれない。おしりのところにハートマークがあったりすると、かなりいい感じ。
ちなみに、額のM眉のほかにも、背中の部分や巻尾の裏側のあたりに、中黒の毛色が比較的残りやすいという。
同じ赤毛の柴犬でも、全く中黒の毛がない犬もいる。また、ゴマ毛の犬の遺伝子を持つ犬が、中黒の毛が出やすいともいう。一説には山陽系の柴犬には中黒の毛が多いとも言われている。
野生動物の体毛には中黒があるといわれ、野生に近い犬であることが魅力とされる日本犬であれば、中黒はあったほうがいいのかも。
実際、赤色の毛色を追求していくブリーディングを繰り返せば中黒が出にくくなるのだとか。一見すれば可愛く見えるM眉。しかしそれが、人間の作為がくわえられてはいない、野生の証明なのだ。たかがM眉。されどM眉だな。これは。
また、M眉が出てくる犬の場合も、どんな模様が現れるかはその年の気候や犬の体調、犬の換毛の状況でも違ってくる。
さらに若い頃にはM眉があったけど、成犬になると消えてしまったという例も。毎年同じ模様が見られるとは限らない。ある意味、一期一会の状況にも似て、その年のM眉はこの先二度と見ることはできないかもってな心境で、真剣に鑑賞して愛着を注いでもらいたいものだ。
二度見必須のM眉百景
眉毛は口ほどにモノを言う。額にM眉があるだけで、犬達の表情もかなり豊かな感じになってくる。
闘うM眉
激しく怒っていても、M眉のせいでいまいち迫力不足。がんばれ。
寄り過ぎM眉
寄り過ぎなM眉は、Mというよりも「V」な感じ。勝利のVか。
M眉の居眠り
寝た振りしていても、ピクピク動くM眉でモロにばれたりする。
無気力M眉
「はぁ~」と弛緩した感じが、やっぱM眉には一番よく似合う。
セクシーM眉
バブル期は、ワンレンで眉毛の太いお化粧が流行ったよね。
M眉の下に隠れた柴犬の本心って……
柴犬にもM眉があると、とっても表情豊かになった感じがする。でも、そこで勘違いしてはいけない。
M眉はただの模様であって、決して人間の眉毛と同じものであってはいけない。
M眉があるだけで、とっても和んでぼけ~っとしているように見えたりもするけれど、それと犬の感情は別物。
実は結構イラついていたり、世界征服とかご近所侵略とか邪悪な妄想に浸っているのかも。
人間が柴犬のM眉に抱く印象。それを眺めていると、ついつい和んでしまう人間の性。それを、柴犬に感づかれてしまったりするとそれってけっこうマズイのではないか?
ただでさえ、飼い主の目を欺いて脱走しようとか、盗み食いしようとか、よからぬことを考えている犬って多いからね。
単純な飼い主をダマすには都合のいいツールだと思う。このM眉っていうのは。
愛犬のM眉ってのは、確かに和める眺めではある。が、勝ってカブトの緒を締めよ、注意一秒怪我一生。M眉で演出された表情と犬の思考は別物。
そこのところ把握して、M眉は適度に楽しんでください、くれぐれも。
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Shi‐Ba vol.70『額に現れたナゾのM字模様、その真実。嗚呼、麗しのM眉』より抜粋
※掲載されている写真のはすべてイメージです。