愛犬にちょこんと手をかけられたり、じっとかわいい目で見つめられると「ほんとにお前は甘えん坊だね~」なんて、ついついメロメロになってしまう。が、しかし、それは犬にしてみれば甘える姿で飼い主を利用しているのかも!?はたして実際はどうなのかを検証してみよう!
1.甘えのサイン
2.オヤツ・ゴハンが欲しい時に甘える
3.家族が帰宅した時に甘える
4.かまって欲しい時に甘える
5.強い依存関係になっている場合もある
6.愛犬が甘える、甘えないのは育て方次第?
7.エスカレートする前に行動を抑える工夫を
甘えのサイン
甘え方というのは犬によって違いがある。表現方法は違っていても飼い主の関心をひこうとした、次のような行動というのが主な甘えのサイン。
1.トイレの場所ではないのに、目の前でわざとおしっこする。
2.食べてはいけないもの(うんちなど)をわざと食べる。
3.病気ではないのに、よだれをすごくたらしている。
4.病気やケガではないのに、片足をひきずって歩いている。
5.病気ではないのにぐったりしていて元気がない。
6.クゥ~ンと鳴いたり何もないのにワンワン吠える。
7.飼い主が見ている前で、モノを噛んだりなど、破壊行動をする。
8.手をかけてくる。
9.飼い主の目をじっと見つめたり、かわいい目つきをする。
10.飼い主の目の前でオスワリしてずっと待っている。
11.飼い主のひざの上にのってくる。
飼い主さんが可愛がっていればいるほど、飼い主さんの関心を引くために愛犬がこれらの行動をするということが多い。
いつもかわいがられている犬というのは自分に関心をもってもらえない状態が不安になってしまうのである。
いけないとわかっていて、おしっこしたり、うんちを食べれば、飼い主さんが怒ってでも自分に関心を向けてくれるのでわざとやるのだ。
まずは動物病院に行って、体に問題がないのにやっている時には無視すること。
関心を引きたい犬というのはほめられることが大好きなので、モノを噛むなら別の噛んでもよいものに置き換えてほめる、吠えてもよい時間をつくって、その時ほめるようにする。
8~11の行動にしても、必ずオスワリなどの命令をして、それができたらごほうびとして撫でたりひざに乗せてあげよう。
オヤツ・ゴハンが欲しい時に甘える
■甘えというより命令!?
オヤツやゴハンが欲しいとき、飼い主さんに手をかけたり、かわいい目つきでじっと見つめたりするのは、そういう行動をすれば飼い主さんがオヤツやゴハンをくれたことがあると、犬は学習しているから。そんな甘えるような仕草がたまたま犬にとって有効な手段だったからだ。
もし、吠えればもらえると学習していれば吠えるようになる。犬から要求されたときには、オヤツやゴハンをあげないほうがいい。
でもせっかく甘えてきてくれたのにと思うなら、必ず一旦オスワリやオテなど飼い主さんからのコマンドに従わせること。それだけでも違ってくる。
犬にオヤツやゴハンなど、何かを得るためには必ず仕事をしなければいけないと覚えさせることが大切だ。
■与える時間は決めないこと
オヤツやゴハンが欲しい時だけしか「オイデ」と呼んでもこない犬の場合、飼い主さんはどのようにしたらよいのだろうか。
1日のフードを取り分けておき「オイデ」と言ってコチラへ来たら1粒あげる。来なかったらあげないようにしてみよう。
犬はお腹が空いている状態だから来る確立が上がる。そうすれば、飼い主さんに呼ばれたら行くべきだ、行けば何かがもらえる、と学習していく。
徐々にフードがなくても進んでやるようになる。時間をかけて少しずつトレーニングしてみよう。
家族が帰宅した時に甘える
■犬が落ち着くまで待つ
なかなか犬が従わないからとオスワリと何度もいうと、コマンドの価値が下がってしまう。そうなるといざという時に困ってしまうだろう。
オスワリと言ったら必ずオスワリをさせるためにも、犬が落ち着いている時に指示を出さなくてはいけない。
なので、帰宅して犬が興奮している時には、興奮がおさまるまで待つようにしよう。犬が落ち着いたらオスワリなどの指示に従わせ、その後にごほうびをあげよう。
■留守番が不安な時も
家族が帰宅した時に犬が甘えるのには、帰ってくるとごほうびがもらえるから嬉しい、というのと、ひとりで留守番してストレスを感じている犬だと、その不安から解放されたことを喜んでいる場合がある。
愛犬が留守番にストレスを感じているのかどうかはどのように見分けたらいいのだろうか。
家族が出かけるときに嫌がっているようなら、分離不安の可能性があるかもしれない。
出かける準備をしていると、ウロウロして落ち着かない。元気や食欲がなくなるなど家族が出かけてしまうことに不安を抱くというのは、分離不安の症状のひとつ。
でも最初はウロウロしていても、諦めて留守番の間は寝ているようならそんなに心配はない。帰宅した時に、単に喜んでいるだけなのかどうか、飼い主さんが理解してあげることも大切だ。
かまって欲しい時に甘える
■遊びは長時間続けない
愛犬と遊ぶときに飼い主さんが気をつけなければいけないことは、遊びを始める時以外にも、終わらせるタイミングも重要。
犬が飽きてしまうまで遊びを続けないことが大切だ。柴犬はそんなに長い時間を遊ばない子が多い。ボール投げをしていても、愛犬が持ってこなくなるまで続けないこと。
どのくらい遊ぶと飽きてしまうのかは犬によって違う。犬がもう少し遊びたいと思っているところで、飼い主さんは遊びを終わらせるようにする。
そうすればボールの価値もいつまでも高いままで、飼い主さんが遊びの主導権をきちんともっていることになる。これはどんな遊びでも同じだ。
■布団に入れる時も指示を
飼い主さんの布団に入ってくるという犬もよくいるが、飼い主さんが足を動かしたり、犬を動かそうとした時に、唸るようなら一緒に寝るのは避けた方がいい。
そうでなければ布団に入れるのはかまわないが、犬が自分勝手に布団が快適だからと入ってくるようにはしないこと。布団に入りたがった時も、まずはオスワリをさせるなどしてからにしよう。
柴犬は体を触られるのを嫌がる犬もいる。飼い主さんと一緒に犬が気持ち良さそうに寝ている時に、体のいろんな部分を撫でて、触られるのに慣れさせる。
嫌だったら布団から出てしまうかもしれないが、我慢しているならばその時を利用してみては。
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強い依存関係になっている場合もある
柴犬は普段がそっけないだけに、甘えてこられると、つい飼い主さんはかわいがってしまいがち。犬の機嫌をうかがったり、犬に合わせようとしてしまう。
愛犬がいつも甘えてくるわけではないので、お互い依存しあっていないように見えるが、実は強い依存関係になっている場合が多い。
犬は自分が何か要求して、すぐにそれが通らないと不安を感じる。飼い主さんのほうもいつも要求されるわけではないので、おねだりされた時には必ず叶えてあげたいと思ってしまうのだ。
普段は依存しあっていてもとくに問題はないかもしれないが、例えば入院など、いざという時に必要以上にお互いがストレスを感じてしまうことになりかねない。
お互いが多少は気楽でいられるような関係を心がけていくことが大切だ。
愛犬が甘える、甘えないのは育て方次第?
愛犬が甘える、甘えないというのはもともと人間が好きだったり、または関心がないなど生まれつきの性格とそのあとの経験によって違ってくる。
甘える素質を持っていても、社会化が不足していたり、コマンドに従わせるという習慣がなければ、飼い主さんとのコミュニケーションが上手に取れない。要求するだけで、心は許さない。
例えば子犬の時に1度もボールで遊んでいなければ、成犬になって急にボールを出されても、何をするべきものなのかわからない。小さい頃からボールで遊んでいて楽しさを知っていれば、ボールを見て喜ぶ。
それと同じで、飼い主さんとたくさんいい経験をしている犬は、飼い主さんの姿を見ただけで喜ぶ。素質があっても、そういう楽しい経験をしていないと、飼い主さんの価値は下がる。
椅子の上にフードがあれば、椅子に近づくけれど、なければ近づかない。飼い主さんもフードを持っていれば近づくけれど、持っていなければ近づかない。目の前に椅子を出されたのと同じ価値になってしまう。
飼い主さんの育て方次第でこんなにも違いがあるというのを認識しておく必要がある。
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エスカレートする前に行動を抑える工夫を
例えば手をかけてくるなど、愛犬が甘える行動をひとつしていれば、それが吠えることに変わってもおかしくはない。
飼い主さんの関心をひくためにどの方法が得策かと犬は考えているもの。
昨日までは手をかけていたけど、それを無視するようになったら、今度は吠えるようになってしまったとか。いつ、そういう別の問題の行動にうつるかはわからない。
うちの犬は吠えるわけではないし、手をかけてくるだけだからいいやと思っていても、エスカレートする可能性はある。
カーテンを破ったら、飼い主の関心をすごくひいたと思えば次からはカーテンを破るようになりかねない。
犬にしてみれば、その行動の区別はわかっていない。悪いことなのか良いことなのかの判断ではなく、どの行動が飼い主さんの関心が引けるかということで判断している。
飼い主さんは日頃から、愛犬の良い行動はほめ、甘える行動をなるべく抑えていくようにする工夫が必要だ。
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Shi‐Ba vol.22『かわいく見える愛犬の甘える姿。でも実は飼い主を利用しているだけ!? 柴犬・甘えん坊番長!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。