「他者と共感する」ということはかなり難しいイメージだが、よくよく考えると集団で暮らす動物はこの能力がないと生きていけない。多くの哺乳類が、持っている能力なのだという。犬も高い共感力を持っていそうだが果たして?
共感は犬の得意分野
「共感力」。辞書で意味を調べてみると、他人の感情を共有すること、と書いてある。共感力は犬が持つ、最大の武器の一つだ。
犬が人間と共存できるようになったのは、この能力が優れていたのも一つの理由だっただろう。共感力が優れているから、相手の要望にも気付きやすいので、狩りをしたり、協働できたりする関係になり得たのだ。
そんな犬についてまず知っておく必要があるのは、共感は大きく分けて2種類あると言われていること。
1つは感情的共感。これは、相手の感情と同じものを取り込み経験し、同調すること。例えば友人が泣いているとその感情につられて悲しい気分になり、逆に誰かが嬉しそうにしていると幸せな気分になる共感。
2つ目は認知的共感。これは同調せずとも、相手の立場に立ってあげ、気持ちを推し量るという共感。つまり、友達が女性に振られ悲しそうにしていたら「気にするな! 飲みに行こう!」という感じのもの。
犬はその2つの共感性のうち、特に「感情的共感」を強く持っているようだ。
愛犬の共感タイプ診断
人間の共感力を計るテストを犬に応用。ゲーム感覚で、犬の共感が感情的なのか、認知的なのか、測ってみよう。ちょっとした指標になるかも? ただ、どちらかの共感性が高ければ、優れているわけではない。
▼診断1
□飼い主が緊張していると、犬もこわばってしまう
□飼い主が楽しそうな表情をしていると、元気になる
□飼い主が落ち込んでいると、犬も悲しそうにする
□飼い主が怪しい人と思った相手に吠える
このチェックが多い犬→感情的共感
感情的共感性が高め?同じ気分になってくれる。多くの犬は、この能力が高いと思われる。
▼診断2
□犬見知りの犬には、無理に絡もうとしない
□飼い主に悲しいことがあると、慰めてくれる
□飼い主の元気がないと散歩に行こうと誘ってくる
□飼い主がイライラしていると、オモチャを持ってくる
このチェックが多い犬は→認知的共感
認知的共感性が高い傾向にあるかも。相手の立場に立ってものを考えられる。
感情のヒントはたくさん
犬は飼い主の感情を読み取る際、何をヒントにしているのだろうか?
まず、考えられるのが表情。経験則で飼い主の目尻が下がっているとき、つまり笑顔のときは嬉しがっている、などは把握している可能性が高い。怒っているとき、機嫌が悪いときなども、同様で表情に加え、仕草なども観察し、総合的に判断しているとも考えられる。
また、声からもヒントを得ている。多くの動物の中で、音声は共通点が多いはず。声が低ければ怒っている、高ければ機嫌が良い、甘えている、など、共通点が多いのでヒントにしやすいはず。
しかし、感情が分かっているからといって、推し量ってくれるとは限らず、自分の気持ちを優先して行動をとることはよくある。まぁ、その場合、たぶん気づいていないだけ……ってことにしておこう。
共感力をアップするには相手の思いやりが必要
共感性は動物が集団生活するうえで調和を守るために大切。でも、ダークサイドもある。共感力があるから、自分に近いもの、家族、属しているグループを守ろうとする。これは人間も同じ。味方とそうでない人に、ラインを引き、敵とみなせば攻撃をしてしまうこともある。これは犬にも言えること。犬は誰とでも共感出来るわけではないことは意識しておこう。
それにしても、犬の共感力ははんぱない。だって、違う種である人間と共感できるのだから。これは、チンパンジーなど知能が高いと言われている動物にも、なかなか見られないことらしい。
性質も、体のつくりも、習性も大きく違う我々人間と言葉以外で通じ合うことが出来る。それを可能にするのは、まずは観察力。まあ、みなさんすごく飼い主を観察している。相手の感情がわからないと共感しようがない。
ただ、飼い主と愛犬のやり取りを見ているともっと重要なことに気が付いた。犬は飼い主を観察するだけではなく、何をしたら喜ぶかも考えている気がする。要は思いやりってこと!思いは技術を超えるのだ。
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Shi‐Ba vol.98『あなたと愛犬、寄り添ってる!? 柴的共感の技術』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。