犬は食事の方法や消化の仕方が理由で、体に問題がなくても吐くことがある。しかし、重要なのは犬にとって吐くという行為の裏には、病気の可能性が隠れているということだ。本特集を読んで愛犬が吐いた時、最善の行動をとれるようにしておこう。
危険な吐き方の見極め方
チェックポイント
□1日に2回異常吐いていないか?
□食べた直後に吐いていないか?
□嘔吐物に異物が混じっていないか?
□その後、食事や水を飲んで吐かないか?
□嘔吐物の全体に血が混じっていないか?
□異臭はないか?
1日に2回以上は明らかな異常
犬が吐く頻度は、人よりも多い。しかし、だからと言って安心してはいけない。ここでは、放っておくと危険な吐き方を紹介していこう。
吐くという行為には2つの種類がある。1つは『嘔吐』もうひとつは『吐出』。
『嘔吐』は食べたものが胃までいって、何かしらの原因で吐くことで、食べてから吐くまでにタイムラグがある。タイムラグは病気の症状や、飲み込むものによって変わってくる。
一方、『吐出』とは食べたものが胃までいかず、食道の段階で吐く、即ち食べてすぐに吐くということ。原因は食道のトラブル、食道炎や食道拡張症などがあげられる。吐出は100%病気。
嘔吐の場合も病気の可能性は高いが、ただ食べ過ぎただけ、など他の理由も考えられる。嘔吐の場合は判断が難しいが、吐いた後の食欲、飲む水の量などで総合的に危険かを判断する。
特に確認しなければいけないことは、1日に何回吐いたか。1日に2回以上吐いた場合は危険。最悪の場合は、次の日に死んでしまうこともある。吐きすぎるとエネルギーを使うし、脱水症状も起こすので、症状が悪化する可能性があることも理由のひとつ。
さらに、水を飲むたび、ゴハンを食べるたびに吐く場合はあきらかに異常がある。
また、嘔吐物を箸などでかきわけて何を吐いているかを確認することで危険かどうかわかる時もある。確認するポイントは異物が入っていないか? 消化状態はどうか?(朝食べたものをそのまま吐いているとおかしい)。また、血がついている場合も胃潰瘍などの病気の可能性がある。この場合、一部に血がついている時は、吐く際に食道が切れただけの可能性もあるが、全体に血がにじんでいると危険だ。
他にも色がおかしい(黄色っぽい、食べさせたものと違う色など)、明らかな異臭がする場合は危険な嘔吐と言えるだろう。
一方、様子を見ても良い「吐く」も紹介しておく。1日に1回しか吐いておらず、その後も元気で、ゴハンも食べる。そして、その後、食事しても水を飲んでも吐かないのなら、特に心配する必要はない。ただ、体調は変化するもの。今日は1回しか吐かなくても次の日に何度も吐いてしまうことがないとは言えない。明日、かかりつけの動物病院が休診日ではないか? 自分は仕事か? など生活環境から判断して、もし次の日に何かの理由で動物病院に行けないのなら受診しておいた方がよい。よく考えて最善の行動をとってあげよう。
吐くからわかる病気 受診の目安
チェックポイント
□上のチェックリストにあてはまる症状がある
□吐いた後、ぐったりとして元気がなさそうだ
□吐いた後、食事もしないし、水も飲もうとしない
□嘔吐だけではなくて、下痢もともなっている
□目がおかしな動きをしていたり、泳いでいる
□口の粘膜の色がいつもと違っている
吐くからわかる病気
愛犬が吐いてしまう病気にはどんなものがあげられるのか?
吐くことが考えられる病気としては、脳腫瘍、内耳炎によるめまい、胃腸障害膵臓障害、肝臓障害、子宮蓄膿症など、色々な病気に吐き気がみられ、あげたらきりがない。また、日本犬だからこの病気が多いというのはなく、どの病気でもかかる可能性がある。少しでも心配なことがあれば診察を受けよう。
ただ、吐く様子や頻度、嘔吐物をぱっと見ただけで診断を下すのは獣医師でも難しい。吐いたという症状だけで、どこに原因があるかを見分けるのは難しい。何を吐いたか、後の行動や様子、全身の状態、起こっている症状、検査などから総合的に判断しなければいけない。吐き気は病気のひとつの症状にすぎないのだ。
診察方法としては、まず問診、触診(異物がないか? お腹にしこりがないか? 腹痛がないか? 熱がないか?など)そしてしこりがあればレントゲンやエコー検査を受ける。問診、触診で理由がわからない場合は血液検査や超音波検査、バリウム検査などを行うこともあるが、診察の順序などはその先生によって違う。もし、その場で原因がわからなくても吐き気をとめる注射や薬は処方されるだろう。
動物病院で受診しなければいけない愛犬の状態の目安は、最初に述べた危険な嘔吐に加え、吐いた後元気がない、食欲がない、下痢をともなっているなどがあげられる。
診察を受けるか迷った場合は、動物病院に行く前に電話して相談するのもおすすめだ。その時、口の粘膜の色は? 動けている? 目が泳いでいないか? など簡単な症状を伝えるとよい。
受診する時は、いつごろから吐きだしたか? だんだん体調が悪くなって吐いたのか、急に吐いたのか?時々吐くのであれば何時頃が多いのか? 食べてから吐くまでの時間は? また、色やにおいはどうなのか? などを正確に伝えられるようにしておこう。特に飼い主が仕事などの理由で、代理人がつれてくるのであれば、しっかりと症状を代理人に伝えておくか、事前に動物病院に電話して伝えよう。また、嘔吐物の一部を診察の時に一緒に持って行くと、吐いた原因がわかるきっかけになることもある。
まとめ
愛犬が吐いた時、少しでも異変を感じたら様子を見るということはできるだけ避け、動物病院へ行って診察を受けることをおすすめする。特に、1日に2回以上吐いている場合は非常に危ないので、できるだけはやく診察を受けよう。場合によっては命にも関わることもある。
もし、事情があって診察に行けない場合、吐いた後、水やゴハンをだすと食べるけどまた吐くという場合は絶食、絶水をしよう。吐くことが続くと脱水症状や疲れがでるので病気を悪化させることもある。
一口に吐くと言ってもその裏には、色々な原因がある。一番大切なのは、犬の吐き気を甘く見ないこと。大切な命を守るために、吐いた後は愛犬の様子と嘔吐物を観察して適切な判断をとってあげよう。
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Shi‐Ba vol.64『様子を見る?どれとも受診?どう診断すればいい?柴犬が吐く理由を探る!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。