【犬の精神障害】PTSDの症状は?恐怖心とのつきあい方を徹底解明

犬にも恐怖心はあるのか?もちろんある。恐怖心をうまくコントロールできなかったり、過剰な恐怖を感じてしまうと、ストレスにつながり問題行動を起こすことも。犬の恐怖心について知っておこう。

 

 

トラウマとPTSDとは?

犬のPTSD

トラウマとPTSDという言葉は、よく耳にする。大きな地震の後、災害や凄惨な事件があった後、よくメディアで目にする言葉だ。人間だけにあるイメージだが、実は犬にも見られる症状だという。まず、この2つの言葉の意味をはっきりさせておこう。

辞書によると、トラウマ(心的外傷)とは、感情的な痛みを伴い、かつ対処能力を圧倒するような悲惨な出来事によって、心を打ちのめされ、恐怖や無力感が長期間にわたっても解消されず、その後の生活にも影響を与える心の傷のことをいうそうだ。

死にそうになったと感じるような出来事、犬であれば、例えば虐待、交通事故、火事や転落、地震や台風、雷など。その中でも、犬でもっとも多いのはしつけや訓練と称した虐待によるもの。

一方、PTSDとはどういうことだろうか?

PTSDと呼ばれる状態は、トラウマとなった時から1ヶ月以上が経過した後でも、そのトラウマをまざまざと思い出してしまうなどの症状が残ってしまう状態。または、数ヶ月後、数年後に突然そのような症状が戻ってきてしまう状態を指す

簡単にいうと、死ぬほど怖い思いをしてその恐怖が脳にこびりつき、一見普通に暮らしていても何かの拍子でその出来事がよみがえり、恐怖心まで思い出してしまうことだ。では、具体的にPTSDになると、どのような症状が出るのだろうか?

犬のPTSD

症状には次のようなものが挙げられる。物音や声に怯える。落ち着きがなくなる。いつもと違うところで排便や排尿をする。寝ていても些細な音に過敏に反応する。散歩に行きたがらない、など。

他にも、精神性皮膚炎がでたり、パンティング(速く浅い呼吸)が続くこともある。囲われた環境を嫌がる、食欲が落ちる、あるいは周囲を気にしながら慌てて食べる。嘔吐、下痢、便秘など胃腸系の不調が続くことも。

PTSDになった理由別では、次のような症状を挙げられる。

交通事故の場合、散歩に行きたがらない、車やバイクの音を聞くと震える、車に乗せると震えが止まらない。家族に抱かれている時に転落した場合、その人に抱かれることを嫌い、近づかなくなることもある。無理矢理抱くと暴れて異常に震える。ベランダなどの高い場所から転落した犬は、高いところが嫌いになり、震えたり、近づかないといった行動が見られる。

東日本大震災などの地震や津波を経験した犬は、余震のたびに震える、水を怖がるようになった、火を見ると怯えるなどの症状が見られるようになったという報告もある。

また、しつけと称しての虐待は、人間不信になり攻撃的になったり、無反応になることも。ひどい時には、その人が睨みつけただけでも失神する、あるいは失禁するようなケースも見られるようだ。

他にもたくさんの症状が見られる。愛犬に異変があったら、早い段階で動物病院や専門家に相談しよう。

 

PTSDの症状が出てしまったら?

犬のPTSD

PTSDを放置しておくと、上で示した症状がさらに悪化するのだが、もっとも困ることは人間不信に陥った場合や、日常の刺激に常に怯えて過敏に反応する場合だ。

人を必要以上に怖がるようになってしまい、突然人や犬にも見境なく噛みつくようになることも。最悪のケースでは、散歩中に近づいてきた人に襲いかかって大ケガを負わせてしまうことも考えられる。

そうなってくると精神面や体調面にも大きな影響を及ぼすことが多く、食欲不振、下痢、誤食、ついには、鬱っぽい症状など精神障害まで陥ることがあるので、注意が必要。

ここまでの状態になると、見ている側からすると本当に心が痛んでしまう。予防には人間不信になる理由を知っておくべきだろう。

犬が人間不信になる一番の理由は、しつけと称した虐待。また意外に多いのは、すでになんらかの理由でPTSDに陥っている犬への接し方を間違ってしまった場合

犬がPTSDにかかっていると気づいていない飼い主と生活していると、つい「この子はどうしてこんな些細なことを怖がるの? 人に慣れないの?」と考えられてしまいがち。

結果、人慣れした犬と比較されてしまい、愛情を注いでもらえなくなってしまうことがある。

それは心に傷を負った犬にとっては、更なる心の傷を増やすことにつながる。自分の意志ではどうにもならないので、犬はどんどん精神的に追い込まれ、ついには誰に対しても人間不信に陥る。最終的には、攻撃的になったり、あるいは無反応になるという症状になってしまうのだ。

もしPTSDの症状が出てしまった場合、どうしたらいいのだろうか?

通常の恐怖心より強いトラウマが原因なので、トレーニングでは改善ができない場合がある

改善方法や治療法はその犬の症状と原因によって異なってくるが、不安感を徐々に取り除くように接し方を変えることが大切。必要に応じて、精神安定剤などを併用していく。この場合、PTSDと他の疾患とを区別することも必要。症状に応じた治療法が必要であるため、行動学を得意とする獣医師や、インストラクターとともにじっくりと時間をかけて治していく。

また、PTSDを予防するために普段から気をつけておくといいことがある。

犬の嫌がる行為、苦手な行為をする時は、できるだけ無理矢理押さえつけず、ごほうびを与えたり、声をかけて愛犬の気分をよくしながら行うこと。また、子犬のかわいい時期だけではなく、何歳になっても家族のひとりとして愛情を注ぐこと。

 

PTSDを予防するために

犬のPTSD

 

1. 嫌がることは、できるだけ無理矢理しない

2.ごほうびを与えながら、声をかけながら

3.愛情のかけすぎは注意。丁度良い距離を

先ほど、「愛情をかけることがPTSDの予防になる」と述べた。しかし、これもさじ加減を間違えると、よくない結果に陥る。

愛情の注ぎすぎがトラウマになっていることもあるので注意が必要だ。寝ている時も起きている時も出かける時も「いつも一緒」と自由を奪われ続けられた犬。

その愛情の押し売りがトラウマになっている犬がいる。そういう時に出る症状は、何をされても逆らわない、無気力などだ。

人間でも、手をかけすぎると無気力な人間になってしまうことがある。それと同じだ。

このように恐怖心といっても、いろいろなケースがある。人間も怖いものは人それぞれだが、犬も同様だ。その点を理解してあげよう。

犬の立場になって考え、まずは恐怖を経験させないことが大切

その上で、怖いものに徐々に慣らしてあげたり、過度な症状が出ている場合は、動物病院に連れて行ってあげよう。

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チワワスタイル vol.27『PTSD、パニック吠え……etc.恐怖心とのつきあい方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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