わざわざ買ってあげたボールやオモチャには見向きもしない、知らんぷり。洋犬に比べれば淡白で、物事にあんまりこだわらなさそうな日本犬たちにも、果たして嫉妬心や執着心はあるのでしょうか。一見、嫉妬や執着とは縁遠そうな日本犬の本音を探ってみました!
日本犬にも嫉妬の感情はある?
「自分に比べてあの人はお金持ちでうらやましいな」というように、人間が他者と自分を比較して嫉妬するような感情は犬にはないでしょう。
ただ、例えば公園でよその犬がオヤツをもらっている場合「自分も欲しい!」という気持ちはあります。
また、多頭飼いのケースで、飼い主が1匹をかわいがると、もう1匹が割り込んでくることもよく見られます。
これは群れ社会で生きる犬にとって“群れから排除されたくない、自分を見てほしい”という気持ちの表れだと考えられ、いずれも人間が考える“嫉妬”という感情とは少し違う意味合いがあるように思います。
子犬の頃に執着心が強いかを見極める方法
執着心が強いかどうかを、子犬が1匹ずつ隔離されたショーケースの中で見極めることは、なかなか難しいでしょう。
しかし、ペットショップの中には子犬が何匹か一緒にサークルの中に入っていて展示されているお店もあります。
そのような場所で子犬の動きを見た時に、しつこく他の犬を追いつめてかみ付いていたり、オモチャを独り占めして他の犬が来るとウッとうなるなどの様子が見られる場合は、執着心が強いタイプと言えます。
また、他の犬に怯えて“そばに来ないで!”というそぶりを見せている場合は、将来自分のハウスを守るなどの行動が出てくる可能性もあります。
執着心が強いかどうかは、その犬の生まれ持った気質によることも大きいのですが、育っていく環境やしつけなどでその執着心を和らげていくことは充分可能です。
成犬になってから“守る行為”が気になる場合は専門家に相談することをオススメします。
嫉妬心と執着心Q&A
Q.オモチャやボールに執着がなく、遊んでくれない。
これは日本犬によくいるタイプです。こんな場合は、常に犬が見ている前で、まずオモチャを引き出しの中に隠したら、時々取り出して「わぁ~面白い!」などと言いながらわざと興味をひかせます。
犬が「ちょっとにおいを嗅がせて」と寄って来たら少しだけ嗅がせる、「ちょっと遊ばせて」と興味を示したら、少しだけ貸してすぐに引き出しの中にしまう、その引き出しはスペシャルな時にしか使わないなど、犬の興味と期待度をふくらませて、上手に執着心をつけてあげましょう。
Q.オスとメス、執着心が強いのはどっち?
縄張り意識という点で、自分のハウスやその周辺の場所への執着は、子育て中のメスを除いて、オスの方が強いでしょう。
よくメスの方が食いしん坊で食べ物への執着が強いのでは?と言われることもありますが、これは性別に関係なく個体差の問題だと思います。
ただ、未去勢のオスの場合は、イヤだと思ったら好物のオヤツでも気持ちを動かされない頑固な面を見せることもあります。
Q.飼い主を巡る犬同士の確執にどう対処する?
多頭飼いで1匹と遊んでいる時に、もう1匹が近づいてくると、先に飼い主と遊んでいた犬がウッとうなって寄せ付けないことがあります。
こんな場合は“先住犬だから”“まだ赤ちゃんだから”しょうがない、と事態をそのままにしないことが大切です。
具体的な対処法としては、ウッと言った方の犬を別の部屋に連れて行きケージに入れるなどして、飼い主の「あなたのその行為、私は認めないよ」という態度をしっかりと示すこと。ウッと言った犬は、飼い主を独占したい気持ちから威嚇したわけなので、“飼い主と一緒にいられるごほうび”を犬から取り上げる、というわけです。
ただし、この後もう1匹の犬をかわいがったりすると、別室に連れて行かれた犬の執着心がさらに強くなってしまうので、その時点で一度犬たちと遊ぶ時間を終了させましょう。
愛犬の嫉妬心はパーソナルスペースの問題?
愛犬との散歩時、出会った柴犬さんを思わずかわいがってしまった経験をお持ちの方も多いでしょう。散歩中に他の犬を触っていたら、生意気にも愛犬が「ウッ」とうなったりしてしまうことも……。
それは嫉妬ではなくパーソナルスペースの問題かもしれません。もともと日本犬は他者との距離を置きたがる犬種と言えます。飼い主さんへのヤキモチではなく、他の犬が自分に近づいてくることへの拒否の意味合いが強いです。
さらに、執着心という点では、場所、物、食べ物、飼い主の動作など、固執するものは犬によっていろいろ。飼い主さんの印象で“うちの犬はちょっと執着が強いかな”と思った場合、執着をそれ以上強くさせないことが大切です。
例えば自分のお皿を守る犬でも飼い主の手からフードが問題なく食べられる子なら、お皿では食事をさせず、散歩先の公園などで手からフードを与えるなど、固執する物を使わない生活を考えましょう。
甘えられれば愛しいし、ポーカーフェイスもたまらない。執着があれば犬らしくてなかなかいいぞ! と思ってみたり、無反応だと今度は逆についついかまってみたくなります。
結局、日本犬は何をしても愛すべきヤツらなのですな。
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Shi‐Ba vol.62『オスとメス。それぞれが絶対に譲れないモノとコト 男の嫉妬心vs女の執着心』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。