大切な愛犬だからこそ、少しでもストレスのかからない生活を送らせてあげたい。そのためには日常の中でストレスになりがちな原因と、その対策方法を知っておくのが一番だ。
感じるストレスには固体差がある
人間は日常生活でさまざまなストレスを感じているといわれる。人間社会で暮らす犬たちも、何かしらのストレスを感じていておかしくないだろう。
ストレスとは一体どういうものなのか。
外部からの何らかの刺激をストレッサーという。そのストレッサーに体が順応できなくなった状態がストレス。
本来、人も犬もストレッサーに体を順応させる力を持っているが、その順応させる力には個人差・個体差がある。同じストレッサーを受けても、それをストレスとして感じるか、人や犬によって違いがあるのだ。
外部からのストレッサー(外部因子)とそのストレッサーに対して体を順応させようとする働き(内部因子)。この2つのバランスが崩れ、外部因子が強くなってしまうと、さまざまな病気を引き起こす原因になる。
まったくストレスフリーの生活を送るのは、現代社会では人も犬も難しい。
また、犬の場合は、ストレスの原因がわかりにくいもの。原因が明らかなのであれば、ごほうびを与えたりほめたりして、そのストレス原因に少しずつ慣れさせてあげよう。ストレスに対して強い体を作ってあげることも大切だ。
そこで、散歩、留守番、生活環境、歯磨きとチワワがストレスを感じがちな項目をいくつか挙げてみた。それぞれに対しての具体的な対処法を紹介していこう。
散歩にまつわるストレス
散歩にまつわるストレスは、チワワに意外と多い。どんなことを怖がっているのかなど愛犬の様子をよく見ておいてあげよう。
■チワワの散歩の効能
・外気に触れる
日光を浴びることで骨が丈夫になる。外気浴として外に連れ出してあげることは大切。
・運動
もちろん愛犬が楽しく歩いてくれれば、散歩で適度に歩かせることは運動のひとつに。
・マーキング(排泄)
自分の存在を他犬に知らしめたり、テリトリーを主張するために行う。大事な本能のひとつ
・におい嗅ぎ
他の犬のことなど、いろいろな情報をにおいから得ている。におい嗅ぎが好きな犬は多い。
■考えられる散歩中のストレス
・外の騒音などが聞こえるのが怖い
・知らない人や犬と出会うのが怖い
・アスファルトの感触が苦手
・車や自転車が通るのが怖い
・知らない場所を歩くのは不安
・初めて見るものがとにかく怖い
■ストレスのない散歩をするには
散歩だからといって、ずっと歩き続けていなければいけないわけではない。もちろん歩くことが好きなチワワならいいが、そうでないなら、例えば散歩で30分外に出たら、歩くのは10分程でも構わない。無理せず、個体にあった適度な散歩がチワワにとって大切なのだ。
・歩ける場所を歩く
アスファルトの上は嫌がって歩いてくれない、でも土の上なら歩いてくれるなど、愛犬が喜んで歩いてくれる場所を探して、歩かせてあげよう。
・日向ぼっこ
チワワにとって外気浴することは散歩の目的のひとつ。少し歩いたら、公園などで愛犬と一緒にゆっくりと座って日向ぼっこするのもいい。
・抱っこ散歩
抱っこして外を歩くだけでも、チワワにとっては大きな気分転換になる。やさしく声を掛けながら、外に出ることは楽しいと教えてあげよう。
▼無理することなく適度な散歩を
散歩に行きたがらない、外に出ると歩かなくなってしまうなど、散歩に関して悩みを抱える飼い主さんも少なくない。
散歩に行きたがらない理由は、大きく分けると2つある。ひとつは社会化不足。外の環境が怖くて散歩を嫌がる場合。
もうひとつは、心臓が悪くて散歩に行くと息が苦しくなる、足や腰が痛くて歩くのが嫌など、体の不具合が原因の場合。
特にチワワは膝蓋骨内方脱臼が多く、過度な運動は足腰に負担をかけることもあるそう。長時間歩かせる必要はない犬種だ。
運動よりも気分転換、外の空気を吸うといったことを散歩のメインに据えるといいだろう。
無理に歩かせなくてもよいが極度に外を怖がるようなら社会化不足。チワワの生活の質を狭めてしまう。少しずつでも慣らしてあげた方がいいだろう。
今まで散歩に行っていた犬が行きたがらなくなったら不具合を疑ってみて。
留守番にまつわるストレス
愛犬に留守番をさせる機会はどうしても出てくる。少しでも愛犬にストレスがかからない留守番について考えてみよう。
■こんな様子はストレスを感じているかも
・ケージに入れようとすると逃げ回る
・ ケージに入れると吠えている
・ケージ内のものをグチャグチャにする
・ ケージ内でくつろいだ体勢にならない
・誰かが家にいる時はしないのに留守番するといたずらをする
■ケージに慣らすために……
・小さい頃から慣らす
・ごほうびをあげる
いたずらしたからケージに入れる、吠えたからケージに入れるなど、何かの懲罰としてケージを使っていると、ケージ嫌いになる要因に。ケージ=中に入るといいことがある場所、自分が落ち着ける場所だと、ポジティブなイメージをつけさせよう。
■ケージに入れないなら……
家具などにいたずらしない、トイレも失敗しない、いざという時にケージに入れるという子なら、フリーで留守番させる場合もある。
大事なのは、立ち入り禁止の場所は物理的にガードしておくこと。整理整頓して危険なものを遠ざけておくこと。
また、愛犬のくつろげる場所を作っておくと◎。
いくらフリーだからといって、連日長時間の留守番をさせてしまうのは、ストレスの原因にもなる。
▼ケージが落ち着ける場所だと教えてあげよう
留守番させる時に愛犬をケージに入れるという飼い主は多いだろう。しかし、ケージに入れようとすると嫌がって逃げ回る、入っている間中、鳴き叫ぶ。中でくつろいだ様子がない……。
そういった様子が見られるならケージを苦手にしていると考えられる。ケージに入らなければならない留守番もストレスになっているはず。
ストレスのない留守番には、やはり少しずつ慣らしていくことが重要。ケージで留守番してもらうなら、まずは愛犬にケージを好きになってもらうこと。
本来、犬は狭くて暗い巣穴のような場所を好む。ケージは落ち着く場所なんだと愛犬に認識させることで、ケージ内での留守番のストレスも軽減できるはずだ。
またケージに入ることに慣れておけば、もし動物病院に入院しなければならない時やどこかへ預ける時も安心。
留守番時だけでなく、普段からケージの中でゴハンを食べさせる、就寝はケージの中で行うなどして、慣れさせておこう。愛犬が自分から喜んでケージに入ってくれることを目指したい。
生活環境にまつわるストレス
急激な生活環境の変化も、チワワにストレスを与えやすい。どのようなことに気をつければいいのだろうか。
■考えられる生活環境のストレス
・引っ越しで環境が変わった
・家族が増えた、減った
・同居動物が増えた、減った
・家に人の出入りが増えた
・ケージやベッドを買い替えた
・近所で工事の騒音がする
・トイレの位置が急に変わった
・ 季節の温度変化が激しい
・住む階層が変わり、音の反響が変わった
■対処方法
・思い当たる原因をできるだけ取り除く
どんなことが愛犬のストレスになっているのか、思い当たるものが見つかれば、ごほうびをあげながら少しずつそのことに慣らしていってあげよう。取り除くことができるのであれば、取り除いてあげること。
・心身を落ち着かせてあげる
東洋医学では肝の働きが弱くなるとストレスを受けやすいとのこと。肝を丈夫にするにはマッサージが効果的。また、ブロッコリーや春キャベツなどの青や緑の食材は肝を丈夫にする食べ物だそう。上手に活用してみよう。
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▼そばにいる飼い主が気づいてあげよう
人間でもあることだが、急激な生活環境の変化はチワワにもストレスになりやすい。
例えば、引っ越し、一緒に暮らす家族が増えた、いつもいてくれた家族がいなくなった、新しい犬が増えた、近所で工事が始まって騒音がする、などが挙げられる。
環境の変化が起こっても、今までと変わることもなく平気という犬もいれば、吠えるようになった、あまり眠らなくなった、食欲が落ちたなどの変化が見られる犬もいる。
愛犬に今までと違う行動が見られるようになったら、何らかのストレスを感じていると思っていいだろう。
人に比べると犬の方が環境の変化に対する順応性はあると思われるが、時間をかけて少しずつその環境に慣らしていくようにしよう。
また、東洋医学では春に「肝(カン)の乱れ」が起こりやすく、その影響でストレスを感じやすくなることもあるそう。ストレスに負けない体を作ってあげることも重要なのだ。
歯みがきにまつわるストレス
口も歯も小さいチワワ。できるだけストレスを与えないために、画期的な方法をご紹介!
■これはストレス!!
硬い毛先は、痛くて嫌がる犬が多い。みがく側も毛先がどこにあるのかが見えにいので、強くこすってしまいがち。
■ 口をさわるトレーニング
1.最初は口周りを軽くさわり、できたら「おりこう」とほめてごほうびを与える。
2.口周りがさわれるようになったら、唇をめくる。できたらほめてごほうびを。
3.次に歯茎を指でさわる。おとなしくさわらせてくれたら、ほめてごほうびを。
4.ブラシを歯にあてる。できたらほめてごほうび。少しずつあてる時間を長くしていく。
■歯みがきしてみよう
上の第四前臼歯より後ろが歯周病になりやすい部分。
犬歯は比較的汚れが見えやすいが、ここも忘れずみがこう。
忘れがちなのが前歯。歯周病で抜けてしまう犬も多いそう。
【ブラシの使い方】
愛犬が喜ぶ味の歯みがき粉をブラシにつけたら、歯と歯茎の間にブラシの毛先を入れてみがいていく。
【実際の歯磨き】
今回はブラシに水をつけただけ。水だけでも汚れは落ちる。まずは汚れがたまりやすい奥歯の方を。
【唾液の分泌をうながそう】
唾液は口の中にある食べ物の残りカスを洗い流すだけでなく、殺菌効果で歯周病に強い口腔内を作る働きがある。愛犬を歯のトラブルから守ってあげるためにも、歯みがきの後に唾液の分泌をうながすマッサージをやっておこう。
●出口を開いておく
唾液腺をマッサージする前に唾液腺の出口を開いておくことが欠かせない。唾液腺の出口は上の2ヶ所。それぞれの場所を指先でマッサージしておこう。
●分泌を促進する
・頬骨腺
マズルの付け根、上顎の出っ張っているあたりに頬骨腺がある。円を描くようにマッサージする。
・耳下腺
耳の付け根あたりに耳下腺がある。親指と人差し指でその部分をつまむように動かしマッサージする。
・下顎腺
写真のように下顎の付け根あたりに下顎腺がある。指で円を描くようにマッサージしていく。
・舌下腺
舌の付け根にあるのが舌下腺。写真のように下顎の部分を指でマッサージしていく。
・導管
最後に唾液腺と唾液腺の出口を結んでいる導管の部分を、出口の方に向かって押し出すようにマッサージ。
▼歯みがきにおいて欠かせないこと
歯みがきで重要なのが、歯と歯茎の間に、ブラシの先を入れて磨くこと。
人間の小鼻ブラシは毛先も柔らかく、犬の唇をめくることができれば、毛先が歯と歯茎の間に入っているか直接見ながら行える。
これらは1日2回、朝晩の食後20分以内に行うのが理想だが、嫌がってたら無理せず、少しずつ行うようにしていこう。
ついやりがちなケア方法。愛犬のお手入れには意外な落とし穴があった!?
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チワワスタイル vol.27『チワワが陥りやすい ストレスと対処法』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。