「ストレスは減らすべき」と思いがちだが、実は良い刺激として与えれば生きがいにもつながる。活動性や能力の高いチワワに適した刺激とは?子犬から老犬までの年代別に、良いストレスの与え方や注意などを紹介しよう。
1.適度な刺激が生活を豊かにする
2.良いストレスの効果
3.犬のストレスの見分け方
4.子犬への良いストレスの与え方
4-1 社会化期
4-2 少年期
4-3 青年期
4-4 落ち着いて社会化を進める
適度な刺激が生活を豊かにする
ストレスは「刺激」とも言い換えられる。悪いものと思いがちだが、減らしてゼロにすると、物事に触れず変化のない日常になってしまう。すると、今度は退屈によるストレスが生まれてしまう。
チワワをかわいがるあまり、つい過保護にしていないだろうか? 屋外に出たりいろいろな物事に触れたりして、チワワに良好な刺激を与える機会を持ちたい。
過度なストレスは禁物だが、受け止められる変化は良い刺激になる。愛犬が充実した時間を過ごせるように工夫してあげよう。
そのためには五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を使わせるように意識するといい。
しかし、室内だけでは変化に乏しく、同じ風景を見て、同じテレビの音を聞いて、同じオモチャで遊んで、同じゴハンを食べて……帰宅した飼い主のにおいを嗅ぐのが唯一の変化になりがち。これで1日が終わってしまうのはちょっと切ない。人間と同じように良い刺激に触れる機会を作ってあげよう。
チワワは能力や活動性が高い犬種なので、子犬から老犬までそれぞれの年代に適した刺激を与えれば、生き生きと輝く表情を見せてくれるはずだ。
良いストレスの効果
■成長の促進や機能の維持ができる
見知らぬ物事に触れることは良い経験を積む機会になる。ストレスにならないように配慮を。刺激の強さを調整すれば脳の成長を促進する。老犬になっても機能を維持するために大切な要素。社会化は子犬から老犬まで生涯にわたって積み立て続けていくことが大切だ。
■克服により犬に自信がつく
苦手なことや不安なことを乗り越えた時は、大きな自信につながる。克服できそうなストレスの強さ(対象との距離など)の調整を。新しいことへのチャレンジが難しい場合も、できることをやってほめられるだけでも自信を維持できる。
■飼い主への信頼につながる
急に大きな物音がするなど、思いがけない出来事でストレスの調節が間に合わない時も必ずある。単に恐怖の経験で終わらせず、犬が助けを求めたら適切なフォローを。飼い主が必ず助けてくれるという経験は信頼につながる。
■五感を使って犬らしく過ごす
さまざまな刺激を五感で感じることで、犬らしく生きられる。室内では得られない刺激も多いので、老犬になっても屋外の環境に触れる機会を作ろう。過保護にするとかえって老けこませてしまうことも。脳トレにもなって認知症予防につながるはずだ。
犬のストレスの見分け方
良いストレス
・寛容に受け止められる刺激
・単純に楽しい刺激
・体験してみたら楽しい刺激
・「大丈夫だった」と乗り越えられる刺激
悪いストレス
・受け止められない強い刺激
・何度も繰り返される苦手な刺激
・恐怖や不安が強い刺激
・対応方法がわからない状況や刺激
子犬への良いストレスの与え方
一生でもっともストレスにさらされるが、柔軟に受け止められる時期でもある。将来に備えて社会化を進めよう。
3週齢~12週齢
社会化期
犬の一生でもっとも刺激や変化を受け入れやすい時期。いろいろな物事に慣れて対処法を身につける「社会化」を進めるのに最適。楽しい経験を積ませよう。
※現在は動物の愛護及び管理に関する法律の改正により、子犬の販売は56日以降と定められた。飼い主のもとへくるのは生後8週齢以降になる。
・さまざまな物音を聞く
子犬の時期は聞き慣れない物音に驚いてもすぐに慣れやすい。散歩デビュー前でも少しずつ大きい物音がするところに抱っこで連れて行こう。消防車などのサイレンの音、踏切や電車の音などを刺激として聞かせておく。
・散歩の練習
室内で首輪やリードをつけて慣らしておく。ワクチン接種が終わるまでは、抱っこしたりスリングに入れたりして外に出かけよう。これらの準備をしておくと、散歩デビューの時に過剰に怖がることが少ない。
・来客に慣れる
チャイム(来客の合図)で過剰に吠えたり怖がったりしないように、子犬のうちから慣らしておく。最初は刺激が強すぎないように小さな音を聞かせてごほうびを。実際に来客を迎え、多くの人にさわられる練習もしておこう。
・トイレトレーニング
この時期はトイレトレーニングが大切! 寝起き、食後、遊んだ後、寝る前などが排泄のタイミング。「ワンツー」などの言葉をかけると、最初はわからなくても、すぐに「この言葉は排泄の合図だ」と理解する。
・接近&接触する
犬が自分から人に近づく練習をしよう。ごほうびで誘導し、ひざの上に乗せたりひざの下をくぐらせたりしてもOK。犬は体の先端(口もと、足先、尾)を触られるのが苦手なので、足拭きや歯みがきなどのケアに備えて触る練習を。
4ヶ月頃~性成熟頃
少年期
社会化期は12週齢でピタリと終わるわけではなく、ストレスを受けてもまだ寛容に受け止められる時期。見知らぬ物事への警戒心が芽生え、思春期も始まる。
・歯の生え変わり
乳歯から永久歯に生え変わる時期。口内を気にしてものを噛むことが増える。この時期に家具を噛んだりする経験を積ませないように、知育オモチャや子犬用のガムを与える。噛む動作は脳にも良い刺激になる。
・トレーニング
オスワリやフセのトレーニングを少しずつ始める。「この動作をすると良いことがある」としっかり学習させよう。自信を持ってできることを増やせば、将来のやりがいにもつながる。コミュニケーションツールを増やすことにもなる。
・ケアの練習
社会化期の「接近&接触する」から進み、歯みがきや身体のケアの練習を行う。歯みがきは唇をめくって歯を触るところからはじめ、少しずつ慣れさせる。嫌がる場合は刺激が強すぎるので、早めに「接近&接触する」からやり直そう。
性成熟頃~社会成熟頃
青年期
良好な刺激を受けて学んでいた行動が大きくなり、本能的な動作も増えて活発になる。恐怖や興奮が高まりがちなので、適切なストレスで物事を経験させる。
・本能を満たす
犬らしい行動が増え、さまざまな刺激に触れたい気持ちがあふれる。散歩の時間を増やして歩く、走る、嗅ぐなどの本能的な行動を発現する機会を増やしていこう。何かに怖がる様子があれば早めにフォローする。
・主張と張り合い
環境の影響で、できることを急にやらなくなることも。強引にやらせようとすると悪いストレスになるだけでなく、築き始めた関係にヒビが。無理強いではなくごほうびで誘導するなど、折り合いをつける。人が「できるはず」と思い込んでいる可能性もある。場合によってはきちんと教えなおそう。
▼落ち着いて社会化を進める
約1歳半頃までを「子犬」として区切り、ストレスと成長について紹介しよう。
まずは「社会化期」から。
母犬やきょうだい犬と過ごして犬らしくなった後、飼い主が引き継ぎ、社会化を通して人間社会で生活する方法を教えていく時期。適切な育て方をすれば、一生の礎になる。難しいと思ったら愛犬と一緒にパピークラスに通い、方法を教えてもらうといいだろう。
ブリーダーなどのところで育った子犬は、人間社会にあるものすべてが新鮮に映る。最初はニュートラルな気持ちだが、ふとしたきっかけで恐怖の対象になってしまうことも。強すぎるストレスにならないように、子犬の様子を見ながら刺激を調節しよう。
社会化は小さい物事から大きい物事へ進めて行くのが基本。例えばいろいろな足場に慣らす場合、アスファルトから始めて次に砂利道にする。人に慣らす場合は家族に撫でられた後に見知らぬ来客に触ってもらう、というように進めよう。
生後4ヶ月頃から次の「少年期」に入り、やがて性成熟が始まる。
メスは生理が始まりオスは交配が可能になる。この時期は性成熟に向けてホルモンのバランスが変わり、人の思春期のように気持ちが揺れ動く頃。反抗的に見える行動も始まる。
また、過度なストレスがかかった時に、『少し嫌だな』と思っていた物事に対して『すごく嫌だ!』と強く反応することも。無理強いすると関係にひびが入る。一拍置くだけで受け入れることもあるので、落ち着いて対処しよう。
少年期は環境に左右されやすい傾向が見られる時期。子犬の時期に比べて飼い主の管理も甘くなるので注意。
社会成熟を迎える「青年期」は、安定した暮らしを人も犬も不自由なく送れて、互いの関係もできた頃だ。
遊びやトレーニングだけでなく、本能を満たすことも意識して。刺激を求めて遊びなどが激しくなることもあるので、引き続きしっかり安全管理をしよう。
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チワワスタイル vol.27『年代別 良いストレスの与え方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。