子犬の頃は素直に言うことを聞いていたのに、だんだん生意気になってきた。反抗期のように見えるが、実は自立への成長過程。コドモからオトナへの変化を見守れる飼い主になろう。
1.ほ乳類のコドモは依存的でオトナは自立的
2.コーギーは獰猛さと服従性が求められた
3.コーギーの反抗期に見える行動の理由を知る
4.犬をオトナとして扱い利害を一致させる
5.反抗期の見守り方その1
6.反抗期の見守り方その2
7.反抗期の見守り方その3
8.犬の成長を見守られる飼い主になろう
ほ乳類のコドモは依存的でオトナは自立的
愛犬が成長するにしたがって言うことを聞かなくなった、無理強いすると怒るということはよくある。
ほ乳類の子育てをする動物は、コドモの頃は自分だけで生活する能力を持たず、親などの保護者に頼る必要がある。
一方、成熟してオトナになれば、今度は自分自身の力で生きていかなければならない。そのため、コドモは依存的でオトナは自立的、というのが共通した性質。
人の子供が反抗期を迎え、やがて大人になるように、犬も依存から自立へと成長する時期がある。それが反抗期のように見えるのかもしれない。
コーギーは獰猛さと服従性が求められた
依存的なコドモから自立的な大人への成長過程は、ほ乳類に共通したもの。犬の成長も本来は同様のはずだが、人為的に作出された犬種の中には異なる過程をたどるものもいる。
人のそばで作業する目的で作られた犬種の中には、コドモの依存性を保持し続けるものもいる。常に人に意識を向けてくれる方が仕事上有利だからだ。例えば、ラブラドール・レトリーバーなど。
一方、人から離れて作業する犬種は、野生動物同様に成長に伴って自立性が高くなる。代表的な犬種は柴犬などの日本犬だ。
コーギーはラブラドール・レトリーバーと柴犬の中間くらい。広い牧場での牛追い作業の為に作られた犬種。自分の何十倍も大きな牛に吠え立てて、時には噛み付いて移動させるという一種の獰猛さと飼い主の指示に従って作業する服従性が求められた。
それに由来して、成犬は自立的で気が強い面と、飼い主の気を引きたい依存性の面が混合しているようだ。
成犬になった後の自立性が高い犬ほど、コドモからオトナへの変化が大きい。飼い主にとっては反抗期と感じることも多くなりそうだ。
コーギーの反抗期に見える行動の理由を知る
■無邪気な子犬が自我を持ち、状況判断するようになった
愛犬が素直ではなくなった。飼い主がそのように感じる理由のひとつは、成長過程の変化に関するもの。
依存性の高いコドモの時期は、保護者である飼い主の関心を獲得すること。自分を認めてもらうことが最大のモチベーションになる。呼べばすぐに来る、教えた号令には喜んで従う、という状態。飼い主に声をかけられるだけでハッピー!この無邪気な子犬の時期がコドモの時期にあたる。
ところが、少し成長して自我がはっきりしてくると、好きなことをやっている時期や興味あるものに意識を向けているときには、呼ばれてもなかなか来ないようになる。また、オスワリなどの号令を言われても、自分がやりたくならなければやらない、といったことも増える。
このような行動を順位付けで解釈され、上下関係の逆転が……といわれることもあるが、それは誤り。自分自身で状況判断ができるようになってくる時期のごく正常な変化。
加えて体も成長してパワフルになっていくので、小さい頃はあまり問題にならなかった破壊行動が、放置できないレベルになってしまうこともある。
犬として、正常な成長過程をたどっていても、飼い主から見ると「良い子だったのに困ったことばかりをするようになった」という印象を持ちやすい。
ただし、大人になっても自立性より依存性のほうが強いタイプもいるので、反抗期に見えるような行動がない犬もいる。反抗期のような時期がなくても、それが将来的に問題につながることはない。
犬の性質や成長過程に個体差があることは知っておこう。
■ほめなければ号令を無視する
反抗期のような行動のもう一つの理由は、犬ではなく飼い主の問題。
オスワリなど号令を教え始めたころ、言うことを聞いたときには本心からほめて、ごほうびも十分に与えていたのでは?犬が号令を覚えた後は、「言うことを聞くのがあたりまえ」とばかりにほめなくなり、ごほうびの頻度もめっきり減ってしまう傾向がある。
すると飼い主にかまってほしい時だけはいうことを聞くものの、他にやりたいことがある時は、自分にとってなんのメリットもない号令など聞かない、ということになる。
加えて、飼い主の都合で出す号令というのは、犬にとって損になることが多い。
これらの飼い主側の理由と、上で説明した自立性が高まる成長過程の時期が重なることが多いため、「最近言うことを聞かなくなってきた。もしかして反抗期?」と飼い主が思いやすくなる。
ただし、飼い主の対応が上手で「言うことを聞くメリット」をきちんと与え続けている場合など、特に大きな変化なく育つこともある。
生活環境によって差がでることも知っておきたい。
犬をオトナとして扱い利害を一致させる
犬の反抗期に見える行動は、子供の反抗期のように成長するようにしたがって自然に収まるのだろうか。
犬の自立期は年齢と共に過ぎ、オトナになっていく。しかし、成長特有の行動もそれ以外の行動も、不適切な対応を続けたままでは収まらない。日々の生活が結果的に困った行動の訓練になっているからだ。
言うことを聞かなくなった場合、犬の立場になって考え、いかにして人と犬の利害を一致させるか。あるいは一致しているように思ってもらうか。
その工夫の演出こそが犬のしつけのすべてといっても過言ではない。
これは犬の生涯にわたって共通だが、判断力がついて、精神的に自立しつつあるオトナに変化する時期は、特に強く意識する必要がある。
犬が従わないことを問題視するのではなく、オトナとの接し方や日頃の暮らしぶりを見直すことが大切だ。
反抗期の見守り方その1
■号令の押しつけが反発を生むので適切に対応する
第一に正面対決をしないこと。何かを無理強いしたり、しかって言うことを聞かせたりしないように注意する。
犬にも自由意志がある。言うことを聞くと不利になるような号令を押し付けていると、自我の強い犬であれば反発してうなったり、威嚇したりすることもある。
それに対して、飼い主が強い対応に出ると、犬もさらに強く反発する、という悪循環に。その結果、攻撃性の強い犬に育ててしまうことがある。
特に飼い主が体罰を加えたり、逆に怖がりながら叱ったりしている家庭に目立つ。
『犬が逆らうのは飼い主より上だから』と誤った順位付けの解釈はそのような対応になりやすい。
専門家に相談して、適切な対応をしよう。
反抗期の見守り方その2
■安易な指示は出さないこと
第二は犬への無理な要求と、それを無視されたときに放置しないこと。犬に何か指示して従わなかった時に、「まぁいいか」は避けたほうがよい。
犬だって言うことを聞きたくない時もある。飼い主の都合で出す指示は、その場面で犬が一番やりたくないものが多いもの。
犬も我慢を強いられてばかりでは無視もしたくなる。とはいえ、放置すれば『飼い主は理不尽な要求ばかりするけれど実は無視しても良い』よいう二重の意味でネガティブな認識を犬が持ってしまう。
指示を出した場合は犬が実行してくれるまで根気よく待ち、従ったらほめておわること。
プラス、指示に喜んで従ってくれるように、日頃からほめてごほうびをあたえよう。
反抗期の見守り方その3
■ごほうびは指示に従ってから与える習慣にしよう
第三は賄賂を使わない。言うことを聞かない時に、食べ物を見せびらかして指示を出し直すこともあるはず。しかし、実は避けた方がよい行為だろう。
いつどんな状況でも食べ物を見せれば100%集中する犬であれば、ごほうびを見せびらかして言うことを聞かせても困ることはないかもしれない。
しかし、そうではない犬には『言うことを聞いて食べ物を取るか、食べ物を捨てて好きなことをやるのか、自由に選びなさい』と教えているようなもの。あるいは、『最初の支持は無視をした方が得をする』と学習させることになってしまう。
今後の長い生活を考えるなら、十分理解している指示は、実行してからごほうびを与えることを徹底しよう。
犬の成長を見守られる飼い主になろう
若い時期に起こった困りごとでも成長過程とは関係のない問題もあり、年齢によって対処を区別する必要はない。
一方、反抗期のような時期がなかった場合でも犬はオトナになっても保護者(飼い主)と暮らしているので、コドモ特有の依存的な暮らしのままでも困ることはない。
また、反抗期のような時期がなかった犬は、飼い主が自立の時期に上手に対応したことや『反抗期』と意識しなかったこと考えられる。
犬の成長過程の変化を適切に見守られるようになりたい。
愛犬のその態度、反抗期かも!? 起こりやすい時期、反抗された時の接し方
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コーギースタイル Vol.34『コドモからオトナへ、自立への成長過程を考える。可愛い顔して ただ今反抗期!?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。