冷えは体調を崩す元となり、病気の原因になることもある。とくに気温が低くなる時期は、人間のみならず、犬も体を積極的に温めたいもの。身近な道具で簡単にできる温活の方法を探っていこう。
くつろぎタイムに取り入れてみよう
温度管理の行き届いた室内で飼われている現代では、寒さに弱くなっている犬も増えている。シニア犬になって運動量が減っている場合はなおさらだ。
体が冷えると、血流が悪くなったり、免疫力が落ちてしまい、風邪や下痢などの原因になることも。
そこで遊びやスキンシップの延長上で行えて、なおかつ身近な道具で気軽にできる、温活をおすすめしたい。1日数分だけでも、心地よい温かさのものにふれることで、血流がよくなり、体調もアップするはず。
すると犬は活動的になり、さらに血流がアップして、元気になり……という好循環が生まれるようになる。温活中は飼い主も温かくなるので一石二鳥だ!
温活は、食後を避けて、犬がリラックスしている時に行うこと。冬の習慣にして、冷え知らずの体を目指そう!
あずきボール
あずきの乾燥豆を布で包み、こぼれないようにひもで縛るだけで出来上がり。縛るのが大変なら輪ゴムなどで固定してもOK。電子レンジで30秒ほど温めて、まずは人が触ってみて、心地よい温度になったと感じたら、犬に当てよう。2つ用意すると背中などの広い範囲にも当てやすい。当てる時間は一箇所10~20秒程度。じんわりとした温かさで、さまざまな箇所を温灸のように心地よく刺激できる。熱い温度で長時間同じ箇所に当てっぱなしにすると、低温やけどになるおそれがあるので注意!
■作り方
(1)あずき1カップを布の中央に載せて包む。
(2)1.5mのひもで一巻きして固結び。ひもは長く伸ばしておく。
(3)布を整え、先端が重なるようにする。
(4)両脇を中央に向けて谷折り。
(5)さらにもう一回、両脇を中央に向けて谷折り。
(6)先端を下に向けて折る。
(7)あまった紐で先端と根元をぐるぐる巻きにする。
(8)ひもの途中で輪を作り、左手で固定する。
(9)先端をもう一回転させてから輪の中に入れて引っ張る。最後に固結びする。
顔 神経系に効くツボが集中
頬の周りを温める。耳の真下にある翳風、翳風と頬の真ん中にある上関、頬にある下関、の3つのツボは、顔面神経麻痺や知覚障害に効くといわれている。
お腹 ヘソを中心に周辺を温めよう
お腹の周りには、消化不良や胃腸炎などに効く中院のツボや、便秘、子宮トラブルに効く天枢のツボなどがある。ヘソを中心に、周辺をじっくり温めて。
頭 てっぺんに乗せてツボ刺激
頭頂部に乗せるだけで、百会のツボを刺激できる。百会は自律神経を整え、目の疲れや肌トラブルも解消してくれるツボだ。
背中 背骨上を両脇に当てよう
背骨上には胃痛などに効く身柱、霊台、中枢、消化不良などに効く脊中、懸枢などのツボが。背骨両脇にも心臓トラブルに効く心兪、督兪などのツボがある。2つのあずきボールを使って、広範囲にわたり温めてあげよう。
腰 周辺にあててじっくりと温める
腰にも頭と同じ名称の百会のツボがあり、座骨神経痛や子宮内膜炎などに効果があるといわれる。周辺に当てじっくりと温めてあげよう。
タオルカイロ
タオルをお湯でしぼり、ジップ付き袋に入れてジップを閉め、温度を確認して10~20秒程度あてる。犬の体を濡らさず、ホットタオル温浴できる。背中やお腹など広い範囲を温める時は中サイズ、足先など細かい部分を温める時は小サイズと使い分けるとやりやすい。
背中 肩から腰まで包み込むように
あずきボールでも紹介したツボのほか、気管支炎や咳に効く肺兪、心臓病や嘔吐などに効く厥隠兪などのツボがある。包むように当てて。
足 足先をくるむように当ててあげよう
前足先にはストレスを解消する液門、免疫力を強める労宮、後足先には捻挫などに効く太渓、崑崙などのツボが。
頭 かぶせるように優しく温めて
発熱などに効果のある四神聡のツボや、自律神経を整えて目の疲れや肌トラブルなどに効く頭の百会のツボを刺激。
お腹 全体的に当ててあげよう
お腹全体に当てるようにして温めることで、消化不良や胃腸炎などに効く中脘のツボや、便秘、子宮トラブルに効く天枢のツボなどがある。ヘソを中心に、周辺をじっくり温めて。
足湯
湯船で入浴できる犬ならお風呂に入れても温活になるが、毎日は難しい。そこで手軽に入浴効果が得られる足湯がおすすめ。人肌くらいの温度で、足のみ10~15分つけて温める。犬用バスソルトを入れてもよい。
前足 股関節の痛みや風邪予防に
前足先には歯痛や腹痛に効果のある合谷や、リラックス効果のある神門などのツボがある。犬が怖がらない湯量にして、10~15分じっくり温めてあげよう。
後足 便秘や風邪予防に効くツボが
後足裏には、免疫力を強化したり水太りに効果のある湧泉や、ホルモン疾患などに効果のある三陰交などのツボがある。ゆっくり温めてあげよう。
温活 Q&A
Q.温活をする上で、注意すべきことは?
44~50℃くらいの、体温より少し高い温度のものに長時間触れていると、低温やけどになる危険がある。症状はわかりにくいが、皮膚の深部にまで達し、治りにくくなる場合も。温活を行う場合は必ず犬に当てる前に人が触って温度を確認。人肌程度であることを確かめてから行い、長時間当てすぎないように注意しよう。
Q.犬の冷えを防げる食養生の方法とは?
冷えは東洋医学的にいうと「陽虚」の状態。陽虚を緩和するのに効果的なのは、米などの穀類や、サツマイモ、ジャガイモといった芋類、かぼちゃ、羊肉、あずきなど。ふだんのドッグフードに、これらの食材を加熱し、食べやすい大きさに切ったものをトッピングしてあげるといいだろう。なお、氷や生野菜は冷えのもとになるので摂りすぎないように。
Q.激しい運動ができない犬の筋肉量アップには?
高齢の犬や、肥満の状態にある犬などは、普通に生活しているだけでも足腰に負担がかかる。このため散歩やボール遊びは無理せず、バランスディスクの上で食事をさせたり、生活スペースにウレタンマットを敷いて歩かせたりなどのスロー運動をすると、無理なく筋力アップを目指せる。ケガや持病がある場合は動物病院で相談を。
Q.カイロや湯たんぽ、ヒーターなどでも温活できる?
使い捨てカイロの場合、温度が上がりすぎる可能性があるので避けた方が無難。布などでくるんでも、犬がかじったりすれば、温度は高くなり、中身が出て誤飲につながる場合も。湯たんぽはプラスチックやゴム製だとかじってお湯がこぼれる危険が。ヒーターは犬が近づきすぎず、長く当たりすぎないようにして低温やけどを予防しよう。
内側から温めることも大切
冷えは、東洋医学的にみて「陽虚」という状態に該当し、体内の熱の発生源が、何らかの原因により働かなくなっている状態。気温の低い冬には、どんな犬でもこの状態になりやすい。
陽虚になると、頻尿、虚弱体質、寒がりでいつも暖房器具の前にいる、などの様子がみられるようになる。今回ご紹介した温活を実践するとともに、体の内側から温める工夫もしてあげたい。
例えば運動。体の熱は筋肉から生み出される割合が多く、運動不足などで筋肉量が減少すると、熱を生み出せなくなってしまう。筋肉量をキープできるよう、適度な運動を心がけたい。ただしシニア犬やケガ、病気の場合は無理しないように。
体の熱を生み出すには栄養バランスのとれた食生活も大切だ。急激なダイエットや、偏った食生活が続ければ代謝が低下し、低体温になる危険がある。上のQ&Aでもおすすめの食材について触れているので、参考にしてみては。
寒がりな愛犬、防寒のススメ。冬に起こりやすいトラブルと対策
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コーギースタイル vol.40『体を温めて血流UP! 冬でも冷え知らずの体に LET'S 温活!!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。