モノを食べたりするだけでなく、かんだり、確認したり、自分を守ったり攻撃する際の武器になったり……など、様々な役割をしている、犬の口について考えてみよう。
犬と人間の口の違いは?
犬は人のように手を使ってさまざまなことはできない。だが、そのかわり、犬は口を使って、モノをくわえたり、かんで確認したりする。
また、ある時には攻撃する際の武器になったりと、人のように手が使えなくても口が手にかわって重要な役割をしてくれる。
そして犬の口と人の口で大きく違うのが、モノを噛むときに使われる筋肉である「咬筋」が人よりもはるかに発達していること。
それは、かつて肉食獣として獲物を捕まえる際や、捕まえた獲物の肉を引きちぎるため、など、犬たちが生きていく上で大切なことであったため、発達したのだといわれている。
犬の口についての素朴な疑問
Q.マズルを触られて嫌がるのはなぜ?
口に生えているひげの毛根には血管があるため、敏感な部分である。犬にとって大切な部分を、つかまれたり触られれば、当然嫌がるものである。
Q.嬉しい時に口を開けるのはなぜ?
犬は嬉しい時に口を開けるという習慣はない。犬が口を開けた表情が、まるで喜んでいるような顔に見えると、飼い主がそう勝手に解釈しているだけ。
犬は自分の経験から学習する動物なので、たまたま口を開けた時に飼い主から「かわいいね~」とほめられたなど、犬にとっていいことがあったのがきっかけで学習した結果だと考えられる。
犬にしてみれば、自分がそういう表情をすることで飼い主にほめられたり、優しい言葉をかけてもらえたという学習の成果から行っているのだ。
Q.犬は口で呼吸しないの?
基本的に犬は鼻でしか呼吸しない。ただし、暑い時などには体温調整のため、ハアハァと口で呼吸することもある。
また人は酸素を取り入れる意味であくびをすることもある。犬もあくびをするが、不安や緊張を感じて、自分や相手を落ち着かせる意味で行うことが多く、犬があくびをしている様子をみても口を開けるだけで、大きく息を吸っている感じは見られない。
そういった意味では、暑くもないのに、犬が口を開けたままでいる場合には、鼻になにかしらの異常が起こっている可能性がある。必ず動物病院でみてもらおう。
口は災いの元?それとも超スグレモノ?
人間のようにしゃべったり、愚痴ったりはできないけれど、よ~く見てみると、犬の口は様々な機能を持っているし、実によく働く。
ものを食べるときはもちろん、自分を守ったり攻撃する際の武器にしたり、かゆいところをかく、というか噛んでみたり、暑いときには舌で温度調整してみたり……。
また、時には口を使って、意志や感情を伝えてくることもある。
苦手な洋服を着せられたときには「嫌だ!」という思いを伝えることもあるし、歯を見せてうなってみせることだってある。
「噛む」という行為ひとつとっても、そこには「甘え」の感情があったり「威嚇」する気持ちがあったり、「遊びへの誘い」であったり、と様々。
こうやって考えてみると、犬の口は人間のそれより、数倍も、いや数十倍も多くの役割を果たしているといってもいいだろう。
日々、けなげに口で何かを訴え、口で様々なお仕事をしている犬たち。この機会に、たまにはじっくり愛犬の口を眺めてみてはいかがだろうか。
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Shi‐Ba vol.43『人間の口より、多機能だったりもするのかも じつは、スゴイぞ!犬の口。』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。