人類は見慣れない足跡にはまず警戒したものだけど、犬の足跡を見ると長年のつき合いから、癒しや安心感を感じるもの。犬の足跡は=肉球の跡。この肉球、愛犬家からすればとにかくかわいいものだ。人間にはないし、プニプニしてザラザラ、そしてしっとり……。そのアンバランス感がとにかくたまらんのです! 今回はそんな肉球にまつわる話を紹介!
1.まずは知って役立つ肉球雑学
1-1 動物の歩き方は3パターンに分かれる
1-2 肉球で足音を消して忍者歩き
1-3 歩く刺激によって肉球も強く育つ
1-4 犬の体で唯一汗をかく肉球の役割とは?
1-5 裸足で暮らしたら人にも肉球ができる?
2.肉球の病気・ケガ
2-1 基本的に肉球の病気がほとんどない柴犬
2-2 肉球から指間まで日常的に気を配ろう
2-3 肉球の弾力がなくなると病気のサイン?
2-4 一番心配な肉球のケガ対策
まずは知って役立つ肉球雑学
■動物の歩き方は3パターンに分かれる
動物の歩き方には大きく分けて3パターンある。人間や猿、熊などの蹠行性(せきこうせい)と呼ばれるかかとまでべったり着く歩き方、次に狐や狸、犬や猫などの肉球のある指先で歩く歩き方の指行性(しこうせい)の指跡(しせき)型、もうひとつは馬、猪、鹿などひづめで歩く指行性のひづめ型。
いずれもそれぞれの生活様式や行動に合わせた進化をしてきたものだ。
肉球があるのは、この中の指行性の指跡型。蹠行性だと走るスピードが遅くなるし、指行性のひづめ型だと足音が大きくなってしまう。より速く、より静かにを追求した結果が、あの肉球に結実しているのである。
■肉球で足音を消して忍者歩き
もともと肉球は、歩くときのクッションの役割をもち、それによって足音を消すためのもの。犬の体重を支えつつ、その足音を限りなく小さくする。
そのために、骨や筋肉と地面の間に脂肪組織をくるんだ角質層を置いて、肉球が発達してきた。
さらに、覆っている皮膚は他のものより頑丈で、すり減りにくい構造のため、デコボコ道でも靴を履かずに歩くことができる。
■歩く刺激によって肉球も強く育つ
犬によっては、子犬の頃は肉球がピンク色でプニプニしている。このかわいらしさは何ものにも代えがたい。
しかし、成長するにしたがって、黒く、固くなっていくことが多い。これは、地面との摩擦によって肉球の色が沈着していくため。世の中の荒波を乗り越えるため、肉球は丈夫に育っていかなくてはならない。
歩いたり、走ったりして、だんだん固く丈夫になっていくのが肉球。たくましい肉球に育てるためには、運動が大切なのだ。
■犬の体で唯一汗をかく肉球の役割とは?
「肉球のニオイがたまらん!」というマニアな飼い主は多いもの。その肉球のニオイの正体、実は汗。
犬には汗腺という汗を出す器官がある。汗腺には、アポクリン腺とエクリン汗腺の2種類があって、肉球にはエクリン汗腺がある。
これは、人間と同じ水のような汗を出す。
と、いうことは肉球のニオイは人間でいう「汗臭い」ということか?
ちなみにこの肉球の汗、犬は呼吸で体温調整をするため、人間のように汗をかいて体温調節する……という役割はあまりないそうだ。
■裸足で暮らしたら人にも肉球ができる?
残念ながら、裸足でいても人間の足はただ皮が厚く固くなるだけ。肉球のようにクッションとなる脂肪組織は形成されない。
ちなみに人間の足に肉球がついた場合、5本指の先、指の付け根の足に大きな肉球ができる。そしてかかとを上げた状態で歩くのだ。
肉球の病気・ケガ
■基本的に肉球の病気がほとんどない柴犬
肉球に関係する病気がほとんどないのが柴犬のいいところ。シベリアン・ハスキーとか、シェットランド・シープドッグの場合だと、肉球の病気にかかる割合が多くなる。
赤ん坊の柴犬のプニプニの肉球は、成長するにつれてだんだんと色素が沈着し、表面が固くなり、ザラザラしてくる。とはいうものの、一般的な柴犬の肉球は歳を重ねても比較的綺麗なままで、それは老犬になったとしてもあまり変わりがないようだ。
肉球の表面がケバ立ってくるのは、老年期に差しかかったときの症状が、ホルモンバランスが崩れたり、機能低下を起こした時くらいだ。
■肉球から指間まで日常的に気を配ろう
肉球のケアについてもそんなに神経質になることもない。泥んこにまみれたり、海で遊んだ時などは、まずは水で洗ってやればいいのだ。
柴犬の場合は、肉球よりむしろ指間をキレイにするよう心がけるのが大切。また何かの薬物が道ばたにこぼれているのを踏んで、その薬が肉球についてきたのを舐めて中毒を起こしたり、どこからか寄生虫の卵をくっつけてきて、それを舐めて寄生虫持ちになった場合もある。
固くなってきたら、人間用の角質取りクリームでケア、それがもっと固くなってしまったら、ニッパーや爪切り、またはやすりで削る。ただしこれは、愛犬が大人しくしている場合に限る。
■肉球の弾力がなくなると病気のサイン?
肉球にあらわれる病気で、最も顕著なのが高熱を発する、致死率の高いジステンパーだ。これにかかると、肉球が固くなってしまう。
他にも、ビタミンAの欠乏や、亜鉛の欠乏した場合にも、肉球の弾力が失われてしまう。これはシベリアン・ハスキーに多く見られる病気。
それ以外にも、肝臓皮膚疾患症候群、自己免疫性疾患などで、肉球に異変が起きる場合があるが、肉球の感じが普段と違ってきたら、こういった病気を疑ってみたほうがいい。そしてすぐに動物病院へ駆け込むのだ。
■一番心配な肉球のケガ対策
人間でいうなら靴の役目を果たしている肉球。それもクッション入りのハイテク・ランニングシューズといった機能を持っているのが、犬の肉球だ。
肉球は筋肉や骨に余計な負担がかからないように、天然の脂肪組織による機能をもった優れもの。
そんなデリケートな機能を持つ肉球なのだが、往々にして肉球を無視した行動を取ってしまうのが、身勝手な飼い主。
散歩中などに、コンクリートの上で歩きたがらない愛犬を無理に引っ張り、引きずる。ドライブ中、開いた窓から愛犬が飛び出して引きずられる。ガラスや缶の蓋などが地面に埋まっていて、運悪くざっくり切ったり、肉球にささったりすることも多い。
また、雪の中を何時間歩いてもシモヤケになることのない寒さに強い肉球だが、夏の暑さにはめっぽう弱い。
熱で溶けかけたアスファルトの上や、熱く焼けた海岸の砂の上などを歩かせると、その熱でヤケドしてしまう。
肉球には多くの血管が分布していて、常に栄養を運ぶようにできている。そのため、ケガをした場合の出血がびっくりするほど多い。
ただし、神経の分布はそんなに多くないので、痛みを感じることは少ないようだ。
応急処置として、ヤケドの場合は、まず冷水で冷やす。
切ったり、裂けたり、取れそうになった肉球の場合は、動脈性にかなり多量に出血することが多いので、元のところに被せるようにしてハンカチやシャツ、ソックスなどを利用して圧迫止血を行う。
出血が少ない場合や洗う場所がない時は、流水でサッと汚れを落としてからテーピングを巻き、後で消毒をする。
そして、どちらの場合も出来るだけ早く動物病院へと運ぶことが重要だ。
どれくらい早く肉球の血行を確保できるかによって、回復の度合いも変わる。肉球や血行が残っていればいるほど、回復する可能性が大きくなる。
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Shi‐Ba vol.21『ちょっと臭い? でもプニプニ具合にハマル! 肉球マニア』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。