犬びより

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犬の震えは寒さや高齢が原因?受診の前にやっておきたい3つのこと

2018/12/18

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愛犬が震えるその背景には、実に多くの原因が隠されている。気にしなくていいものから、すぐに手を打つべきものまで。また理由がはっきりしていない震えもある。一度きちんと整理して、震えに対する知識を備えておきたい。
 

犬の震えはどの程度解明されている?

震えはどのような時に起こるのか。まずは人間の場合で挙げてみることにする。寒い時、怖い時、高齢に伴うもの、病気に伴うもの、少し考えただけでこのくらいは出てくる。

大雑把に言えば、心が原因の震えと、体が原因の震えに分けることができるのだ。特に心が原因の震えに関しては、体験したことのある飼い主は多いと思う。また、愛犬が何かに怖がって震えている、という姿を目の当たりにした飼い主もかなりいるのでは。例えば、動物病院へ連れて行くと震え始める、など。そう、人間と犬の震えは似ている部分がかなりあるのである。

犬の震えに関する研究の現状について、人の方で解明されていることを犬にも当てはめられていて、哺乳類として、震えのメカニズムに関する基本は同じ。犬に限らず、他の脊髄動物も概ね同様なのでは、と考えられている。ただ、すべてがそれで解明されるわけではない。はっきりしないこともまだ多く、それぞれの生物で特有の原因もあるかもしれない

例えば、寒い時期に人間はオシッコをすると、体が震えることがある。それが犬でも同じかというと、断定はできないとのこと。それに犬には体毛が密に生えており、オシッコによる体温喪失は人間ほどではないかもしれない。わかっていること、わからないことも含めて、震えについての知識を深めていきたい。

 

健康な犬が震える3つの原因

これらはすべて、もともと動物に備わっている生理的な震えであり、人間もまた例外ではない。

■寒さ
体温が奪われることに対し、ほとんど本能的に起こる震え。犬の場合は寒い時期はそれに対処できる体毛を備えることによって、体温低下を防いでいる。そのため、理論的には人間ほどは震えない。

 
■恐怖
怖い時に震えるという生理現象は、人間には当てはまるが犬ではどうか。動物病院が近づくと震えて足を踏ん張る、という姿を見たことがある飼い主は少なくないだろう。これも恐れによる震えだ。

 
■痛み
相当に鋭利な痛みを伴う時、犬にもそれを原因とした震えが現れることがある。ただ、痛みの継続時間はおよそ24時間と言われているので、鋭い痛みが延々続くということはほとんどない。

 

日本犬は老齢性が多い。子犬の震えには要注意!

日本犬の場合は、震えは比較的少ないほうだ

時折遺伝による震えが見られる犬もいるが、大抵は老齢性によるものである。その症状は起立静止時に後肢に震えが出ることが多い。

若い頃は筋力によって伸ばす筋肉と曲げたものが、筋力の衰えによって伸屈のバランス調整が上手くいかなくなって震える。これは命に関わることのない震え。大概の場合は、立ち止まると震え、運動し始めると震えは止まる。

ただ、飼い主から見ても尋常ではない震えが出た時は、すぐに獣医師に診せたほうがいい。対処の遅れによって重篤な状態に陥ってしまうこともないとは言えない。

すぐに止まる震えだったり、何か特別な状況の時だけ出る震えなら、要観察。ずっと震えているようであれば危険な状態にある可能性もある。

また、とりわけ6ヶ月未満の子犬の震えには気をつけたい。先天的なものの他、感染症、低血糖など、早急に治療を行わないと命の危険も伴ってくる。

 

ウレションは震えに似ている?

嬉しくて興奮のあまりにオシッコが出てしまう、という犬も多い。これと震えとどう関係あるのだろうか?

この時の精神状態が交感神経を刺激されたことによると考えるならば、出所は一緒

その結果が震えかウレションかということだ。ちなみに、人は寒い時にオシッコすると震えるが、犬はそれはないようだ。

 

犬で見られる代表的な不随運動

不髄運動とは、意識とは無関係に体が動く状態のこと。大きく分けて次の3つに分けることができる。

■振戦(震え)
筋肉が緊張したり緩んだりを繰り返す運動。リズミカルであることが多い。これを引き起こす要因は多岐にわたり、何かの疾患によるものの他、老齢性、遺伝性、疲労による振戦もある。

 
■けいれん
脳の疾患によって引き起こされることが多い。単に震えているという状態とは明らかに異なることが多く、激しい不随意運動だけではなく、口から泡を吹いたり失禁脱糞を伴なうことも少なくない。

 
■ミオクローヌス
ピクンピクンという短く速い収縮を繰り返す不随意運動。ジステンバーの後遺症や椎間板ヘルニア発症時に起こることもあり、脳や脊髄が原因と考えられている。しゃっくりもミオクローヌスの一種。

 

飼い主には難しい原因の特定

上で挙げた「代表的な不随意運動」をお読みいただけたであろうか。このうち、激しいけいれん発作が現れた場合などは、飼い主にも愛犬に起こっている異常を察することができるだろうが、それ以外の場合はどう判断するだろう。多くの飼い主がそれらすべてを「震え」という言葉で獣医師に伝えるのではないだろうか。

そう、震えのことをよく知る専門家以外には、不随意運動に対してその症状を細かく見分けることはできないし、それで致し方ないとも言える。それくらい震えの背景にあるものを見極めるのは難しいのである。

この3つの不随意運動は全く違うものである。それだけに、震えが気になって動物病院を受診する飼い主の言う「震えている」という言葉だけでは、なかなかその原因にたどり着くことは難しいようだ。

そして問診から、必要と思われる検査を経て、震えの原因を絞り込んでいく。血液検査などで震えの原因がわかることもあり、その場合は内科的治療で症状を改善する。

また、遺伝的要素や免疫関係から震えを引き起こすこともある。

そして、早急に治療が必要な病気であることもあれば、そのまま放っておいても命の危険性はない病気もある。

様々な検査の結果、身体面で震えの原因が見つからない場合は、次に精神面の原因を探るため、行動学の専門医の診察を受けることになる。

 

受診の前にやっておきたいこと

その震えの原因は何なのか。専門家でない限りはまず断定できないのが震えの難しいところ。そのため、動物病院に診せる前に飼い主が状況を判断しておく必要がある。以下の点を押さえておくことで、正確な診察に繋がるのだ。

1.震えるタイミングを観察する
まず、震えが出るのがどのような時なのかを絞り込む必要がある。起きている時なのか、寝ている時なのか。立ち止まっている時なのか、動いている時なのか。もう少し細かく観察できるのであれば、それが歩き
出しの時のみに出るのかなど。震える時間帯や、動作の中でどのような時に出るのかがわかると、診察時に大いに役立つ。また、震えが続く時間なども計っておけると、さらに原因を絞り込める材料となる。
 
チェックポイント
□動いている時に震える
□立ち止まっている時に震える
□動き出したときに震える
□いつも震えている

 
2.震える状況を把握する
震えが自分以外の何かによって誘発されているということもある。それは場所であったり、人であったり、あるいは音であったりと、生活環境の中にあるほとんどのものが対象となる。ある人が来るといつも震える、ある音がすると震え始めるなど、震えとの因果関係がはっきりしている何かがあるかもしれないので、震えた時の状況を注意して観察することも大切なのだ。これは毎日共に生活している飼い主でなければなかなかわからないことだ。
 
チェックポイント
□特定の人がいる時に震える
□特定の音がした時に震える
□特定の場所で震える
□何かを食べた時に震える

 
3.ビデオを撮る
そうは言っても、震えが何に起因しているのかを見極めることはなかなか難しいというのが現状でもある。そのような時には、震えが始まった時にビデオ撮影しておくことが有効である。最近では動画機能の付属した携帯、スマホがほとんどなので、とっさの時でもすぐに撮影できると思う。その動画を獣医師に見せることで、飼い主が見落としている、あるいは知るべくもない震えの要因が判明する可能性は大きい。
 
撮影時のポイント
□震える前後の様子
□何もしていない時の反応
□呼びかけられた時の反応
□食べ物を見せた時の反応

 

飼い主が状況を正確に判断しておくこと

なかなか一筋縄ではいかない震えの現実。では、愛犬に震えが見え始めた時、飼い主にはどのような心得と行動が必要なのだろうか。それらについて上記に挙げてみた。

大事なことは、なるべく多くの情報を獣医師に伝えること。日常の観察だけでなく、ビデオ撮影ができればなお良し、というのは客観的な情報を獣医師に見てもらうことができるから。獣医師はそれらの情報から震えの原因の優先順位を立てて、それに必要な検査を始める。

身体的な部分に異常が見られなければ、次に神経系を疑ってみる。さらには行動科で心理的な要因を探っていくというように段階を踏んでいく。それでもわからない時には、MRI検査や脳脊髄液検査を行うことになる。

 
 
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Shi‐Ba vol.88『寒さや高齢の他にも理由がある!?震える犬』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。