犬びより

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日本犬の象徴、それは巻き尾!くるりと巻いた尻尾の魅力に迫る!

2018/07/26

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くるくる巻いたシッポは、柴犬のチャームポイントだが。その魅力を語れるか? と……問われても、語れねっす。すんません、勉強不足でした。そこで、巻き尾の魅力についてこの機会だから徹底的に検証してみよう。

 

巻き尾は世界遺産級の珍品!?

日本犬のシッポ。その歴史を紐解いてみれば、もともとはピンと立った太刀尾だったという。縄文時代あたりの犬は、ほとんどがそうだったと考えられている。それが人に飼われて楽している間に、筋力が低下して巻き尾になってしまったのだとか。そういえば、猟師には太刀尾の猟犬が好まれるという。シッポの形状からして、古代の森で獲物狩ってた頃の血が濃いだけに、猟犬に必要な狩猟本能が旺盛ってことなのだろうか?

動物ってのは環境に適応して、無理しなくてもいい部分はテキトーにさぼることで、生き長らえ種を保存してきた。日本人と一緒に暮らすうち、「なーんだ、ここの部分。そんな気合入れる必要ないのだな」と、シッポに気合入れるのやめて、巻いて収納することにした。日本犬が日本人と長く暮らすうちに、その生活に適応した変化のひとつ。そう言えなくもない。

ちなみに、日本犬の保存活動が始まった昭和9年には日本犬のシッポについても「巻き尾」がイメージとして定着していたようだ。保存活動が始まるのとほぼ当時に、日本犬のスタンダードを定めた「日本犬標準」にも「差し尾または巻尾」と明記されている。それ以前は、日本犬とか外国の犬を区別することなく、人々は「犬は犬なんじゃね?」と、テキトーに考えていたんだろうけど。いざ、日本の犬と外国の犬を区別する必要に迫られた時、その最も顕著な違いをシッポに見てとったということ。つまり、巻き尾は柴犬を含むすべての日本犬にとって、自己を主張するアイディアンティティの現れってことなのだろう。きっと。

 

シッポは口ほどにモノを言ったりする!?

猟師さんが猟犬として使う犬は、巻き尾よりも差し尾を好む傾向にある。犬が獲物を発見して藪に飛び込むまでの時間は短く、その間に猟師は獲物の動きを予測して射点を定めて撃つ準備をする。犬との阿吽の呼吸が必要となるのだけど、相手は喋れない。犬の様子を見て「獲物をみつけた」「いま飛び込むぞ」ってな犬の心理や状態を判断するしかない。この場合、巻き尾よりもよく動く差尾のほうが分かりやすい。それが猟師に差し尾が好まれる理由だとか。差し尾は外国人のようにオーバーアクションだが、巻き尾は動作が小さくて分かりにくいってこと。犬がどう思っているのかは知らないが、人間からすれば、シッポは犬の考えを知るコミュニケーション・ツールのひとつということだ。猟師でない普通の人だって、犬がシッポをぶんぶん振れば「こいつ喜んでいるなぁ」とか判断できるし。シッポは口ほどにモノを言う。

また、犬が全力疾走する時には、シッポはとっても重要な機能をはたす。本気で走ってる犬を見れば、差し尾だろうが巻き尾だろうが、まっすぐ伸びきっている。もう、こうなったら差し尾も巻き尾もないよな……伸びきったシッポは犬の動きに合わせて、微妙に左右に移動する。つまり、舵の役割をしてるいのだ。左右に急な方向転換ができるのも、シッポという舵があればこそ。

しかし、シッポをこんな状態にするのは、それなりにスピードがでている時だけ。リードに繋がれて飼主と一緒に走る程度なら、犬にはまだ余裕。舵を使う必要もない。不覚を取って飼主に負けたりした時も、シッポが伸びてない状態であれば、「俺はまだ本気出してないだけ……」ってな言い訳の手段に使えたりもするのだが。シッポの使い道、いろいろあっていいな。

さらに、シッポは暖房器具としても利用される。寒い日、外飼いの犬をよく観察すると、シッポを体に巻きつけるようにして寝てる姿をよく見かけたりする。純毛だし、毛皮と一緒。さらに、その温度は犬の体温と同じ38℃程度には保たれているだろう。たぶん。毛布なんぞより、よっぽど温かそうだ。湯たんぽみたいなものか。

 

巻き尾をかっこよくする

モテ柴になるには、シッポの先までケアを忘れずに。
展覧会に出場する犬の飼い主は、シッポのケアにも熱心。丁寧にブラッシングするのは基本中の基本。毛並みが綺麗になるだけじゃない。ブラッシングすることによって血行がよくなり、艶が出てくるという。尻尾はデリケートな部分なので、ブラッシングは優しく。犬も飼い主もお互いリラックスした気分で楽しみたいもの。また、ブラッシング以上に清潔を心がけることも肝心。汚れチェックも忘れずに。

 

毛並みのバリエーション

シッポはその毛並みによって「平尾」「丸尾」「バラ尾」「拝み尾」など様々な形状に分類される。展覧会などで評価が高くなる傾向にある「丸尾」は、毛の長さが均等で形状も丸くまとまっている。シッポの毛が均等にバランス良く生え、毛質の堅すぎず柔らかすぎず程よい状態だと、こういった丸尾の形状になりやすいという。また、柴犬は体の裏側は白色の毛に覆われた「裏白」が基本。シッポも裏側は白い毛が生えていなくてはならない。


これが典型的な「丸尾」。シッポの太さも全体的に均等ですっきりとまとまった感じがある。


こちらは「バラ尾」。巻き尾の外側の毛が長すぎるので、全体的にばらけてすっきりしない。

 

巻き尾鑑賞法

テキトーに見てるかぎりは、みんな同じように見える巻き尾にも、それぞれの個性や魅力がある。見る人が見ればわかる……が、鑑賞法を知らなきゃ盆栽の良し悪しが判断できないように、巻き尾を見て楽しむにもその基準になるポイントや鑑賞法を知ってなきゃ。

巻き尾を鑑賞する上で、まずアタマにしっかり刻み込んでおくべきこと。それは先ほども書いたように、シッポは飾り物ではなく、犬が生きてゆくために大切な器官だということ。シッポを鑑賞するには、形状とともにその動きにも注目したい。日本犬保存会の審査も、形の違いだけで優劣は判断しない。審査員は必ずその動きも入念にチェックするという。犬に気合いが入ってくると、シッポは小刻みに震える。また、動きにあわせてシッポの巻きを弛めたり強めたり、じっくり観察してみると変幻自在な動きをしている。これを犬の表情や筋肉の動きと一緒に見れば、シッポはそれにみごとに連動しているようにも見える。ある意味、シッポの動きには機能美があふれてる。そんな感じ。

また、展覧会における形状についての審査ポイントは「適度な太さで力強く」ということ。これも、感情表現が豊かで、よく運動する犬はシッポを動かすために、自然と筋力がついて力強くもなる。シッポを見れば、その犬の性格や生活ぶりも分かるってこと。健全な体には健全な精神が宿るってのと同じで、心身が健全な犬は健全なシッポの形状になるのか? さらに、シッポは毛の多い部分なだけに、毛質や毛色のバランスもここを見れば分かりやすいとか。こうしてみると、なんか犬の個人情報がいっぱい集まった部分のような。頭隠してもシッポ隠してなきゃ、すべてモロバレ。用心しろよ、柴犬くん。

 

巻き尾の種類

・並巻き尾
ゆるやかな巻きの状態で、シッポの間に隙間ができる。最も好ましい状況とされる。

・二重巻き尾
渦巻状であり、巻き方も硬い。そのため、尻尾の動きが鈍くなる傾向がある。

・太鼓巻き尾
背骨の真上に硬く巻き込まれた状態の尻尾。展覧会では評価が低くなる。

・半巻(半差巻)
巻き尾と差し尾の中間のタイプの尾。「叩き尾」の別名で呼ばれることもある。

 

巻き尾活用法

祭りを盛り上げる


踊る阿呆に見る阿呆…って祭りにはやっぱ参加することに意義がある。神輿を担いだり、踊ったりはできないけれど、尻尾を使って賑やかし役くらいはできるのです。

花を愛でる


プロポーズにはバランスの花を添えて。でも、意中のメス犬さんは、花なんぞ眼中になし。「肉持ってこんか、ごらぁ」って叱られそうな。なかなか難しいな、恋の道は。

おつかいへ行く


犬用おやつとか大人買いしそうだな。ゲームセンターで無駄に使われるよりは有意義なんだろうけど、やっぱこいつは信用できない。

 

巻き尾は日本犬の象徴

今回は、あらためて思い知らされたのだが……尻尾って、犬的にはお役立ちなモノだったのだな。だが、ここで問いたい。もしも、尻尾が何にも使えない役立たずなモノだったりしたのなら、不要なのかと。捨てちゃってもいいのか? と、小一時間ほど問い詰めてみたい。

不要だとしても、柴犬にとっての巻尾は他の犬種と差別化するために個性を際立たせる大切なアイテム。また、同じ柴犬の巻尾でも形状は様々。顔以上に個々の犬の個性やキャラクターを決定したりするんです。いってみれば、柴犬が柴犬であるための象徴みたいなもの。必要があるとかないとか、そんな尺度で価値を決めてはいかんと思うのですよ。はい。

Shi‐Ba vol.79『~くるりと巻いたシッポの魅力に迫る~巻尾自称日本一選手権』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。