何でもお見通しの千里眼だった!?犬の眼力&視力大研究!

犬は嗅覚や聴覚に比べ、視力はあんまりよくないって言われているけれど、実際はどうなんだろう?ジーっと遠くを見つめていたり、暗闇でギラリと光っていたり、その瞳にはどんな力が隠されているのだろうか。
 

 

日本犬の目力

犬の視力

一般的に犬の視力はよくない、というのが定説。人間で言うと0.6か、0.7くらい。近くにいる飼い主の顔もはっきり見えないほど近眼で、色をはっきり見分ける力も弱いと言われている。とはいえ犬の目にどれだけの情報が入っているかを測定する方法はないので、実際のところはよく分からない。しかし、犬の目が一概に悪いとは思えない。猟犬は1km離れた人や物を判断できるとも言われ、動体視力もとてもいい。もし目が悪いなら遠くのものを見つけられないはず。人間でいうところの『視力のよさ』は、犬には当てはまらないかもしれない。

■色彩感覚
以前は犬の世界はモノクロ、と考えられていたが、近年の研究では青、紫、黄色は見えるのではないか、と言われている。人間が目にすることのできる色は可視光線で見える基本7色だけど、それはあくまでも人間にとっての色。もしかしたら人間には分からない色彩感覚が備わっているのかも?

人の目で見ると…
犬の視力
総天然色の世界。肉も赤々としておいしそう! でも「肉=赤=おいしい」というのも、経験による学習。不可視光線の中に、人間には見えない色が含まれている可能性も……。

犬の目には……
犬の視力
黄色とブルーの不思議な世界(あくまでも想像)。逆に赤は認識ができないとか。犬にとっては「肉=黄色=おいしい!」なのかも。

 
■光キャッチ力
夜行性の犬は、暗闇での活動が得意。網膜にあるタペタムという反射板のようなものが月明かりなどの光を拾い、カメラのナイトビジョンのように目の前の像を映し出す。わずかな光さえあれば、暗い中での行動が可能。でも光のない真っ暗なところでは、さすがの犬でも見えない。ちなみに暗闇で犬の目がギラッと光るのは、そのタペタムに光が反射するせい。

 
■動体視力
セミなどの昆虫をパッと捕える、恐るべし、犬の動体視力。遠くの獲物を素早くとらえる猟犬は、動体視力が優れており、動くものだったら1km先の物を見分けられる力があるとか。日本犬の中でも猟犬の歴史を持つ甲斐犬は動体視力がいいかもしれない。

 
■抜群のアピール力
犬の視力
 
目を合わせる、合わせないなど、目の動きには犬の気持ちが隠されている。病院に犬が来た時、医者は犬の目を必ず見る。目は大切な情報源なのだ。目は心の窓。しゃべれない犬だからこそ、目からの情報は見逃せないぞ。

シカトにはこんな意味が…
・関わりを避けたい
・怖い

ジーっと見つめている時は…
・何かを催促している
・ケンカや威嚇
・甘えている

 

こんな症状に注意!

犬の視力

犬の目がいつもと違うようだったら、ひょっとして病気かも。注意すべき症状を知っておこう。
 
■目に輝きがなくトローンとしている
病気の時は目に現れる。病院ではまず犬の顔を見て、目をチェック。具合が悪い犬は目がトローンとして輝きがない、結膜が充血しているなど異常が見られる。目は病気を発見する大切な器官。目は心の窓、というけれど病気を発見することにも役立ちそうだ。

 
■瞳の色がいつもと違う
白く濁っていれば、白内障の可能性が。白内障は年をとった犬だけに起こるものではなく、強い紫外線や病気などが引き金となり、5~6歳の犬でもかかることも。糖尿病が原因で起こる白内障は短期間にサーッと症状が進行することもある。また瞳の白濁は、白内障だけでなく、視力低下を引き起こすブドウ膜炎、さらに秋田犬では原田病の疑いも。伝染性の肝炎にかかると、瞳がブルーに見える。色の異常は目の異常と心得て。

 
■涙や目やにがたくさん出ている
いつもより多めの目ヤニや涙が出ている場合は要注意。涙がたくさんでる場合は、角膜に傷がついている可能性がある。猫を飼っている人は、猫パンチで犬の眼球が傷つけられてしまうこともあるので注意して。黒や白の目ヤニがたくさん出ている場合は、ドライアイの可能性が。ドライアイは免疫力が弱かったり、甲状腺の機能が低下したりするとなりやすく、治療が必要になる。また牛舎の近くに住んでいる犬は、蠅を媒介とし、東洋眼虫という寄生虫が住み着いてしまっていることも。この場合も、目ヤニが増える。放っておくと視力低下を引き起こすので注意。

 
■目をしょぼつかせる、充血している
犬の場合は、周囲の明るさに合わせてピントを調整する虹彩(カメラでいう絞りにあたるもの)が人間より優れており、光の順応が早いので、しょぼしょぼすることがない。それよりも疑いたいのが、目の病気。目をしょぼつかせていたり、充血していたりしたら、緑内障、結膜炎、角膜炎、ドライアイなど、さまざまな病気の可能性がある。異常を感じたら、できるだけ早めに動物病院へ。

 
■日本犬に多い緑内障
緑内障は眼圧が異常にあがることで視神経を圧迫し、やがて症状が進行すると失明してしまう怖い病気。これは眼圧を一定に保つための目の排水機構のバランスが乱れることで起こる。5~6歳をすぎた柴犬によく見られ、急性のものは痛みがあり、72時間以内で失明してしまうことも。目を痛がっていたら急いで病院にいこう。

 
■もしも目に異物が入ったら…
ゴミなどの異物が入ったら、水か、人間用のスーッとする成分が入っていないタイプの目薬で洗い流す。犬の状態がそのままであればまずは問題はなし。でも目をしょぼつかせていたり、痛がっていたりしたら、すぐ動物病院へ。痛いあまりに犬が眼球を地面にこすりつけてしまい、症状を悪化させることもある。誤って眼球を傷つけないようにエリザベスカラーで保護してから動物病院に連れて行くようにしよう。
 

ここで紹介した病気はほんの一部。まだまだ目にはたくさんの病気がある。目は代替えの利かない臓器。いくら犬の嗅覚や聴覚が優れているとはいえ、視力が落ちればれエサを見つけるなどの行動がスムーズにできず、日常生活に支障が出る。耳や鼻と同様、大切な目。違和感があっても訴えることもできない犬だからこそ、飼い主はちょっとした目の異常に注意を払いたい。

 

目を見て、仲良く健康確認

柴犬 視力

犬の嗅覚がスゴイことは知っていたが、ひょっとして目の力も優れているのかも! と思った今回の企画。遠くからオヤツや仲間を見つける犬の視力は決して悪くはない。むしろ文明にまみれて感覚が鈍化している人間たちより随分長けていたように思う。

そんな犬の目も、当然だが加齢とともに様々な病気の罹患率が上がる。怖いのは緑内障による失明。防ぐには何より早期発見。

そのためにも、日頃からアイコンタクトをしたりチェックすることを心がけたい。犬とも良好な関係を保てるきっかけになるだろう。 

 
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Shi‐Ba vol.56『何でも見通す千里眼!? 柴犬の眼力&視力大研究!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

 

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