室内飼いをしている人たちにとって、部屋の掃除に頭を抱えることは多い。しかし、犬と同じスペースで暮らす以上、お互いの健康面を考えれば、部屋はキレイにしておきたいもの。そこで今回は簡単でかつ犬にも安全な掃除の基本を伝授しよう。
上手な掃除手順
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まずは部屋全体の掃除の仕方をマスターしよう。空中に舞った抜け毛や埃は、上から下に落ちるので、掃除は上から始めるのがルールだ。また、掃除をいざ始めようと換気をすると、埃が舞いやすい。掃除中は抜け毛もつくので汚れてもいい服装で行う。エプロンやマスクなどをしておこう!
■換気
窓を開けたり、換気扇やエアコンを回したりして、空気の通り道を2つ以上作ろう。集合住宅の場合、壁に空気を通す空気口がある。ここも開けておくといい。
1.部屋上部
●モップを使って
軽いアンダーコートは換気と共に空中に舞い、照明器具の傘、家具や家電の上部にも積もっている。長い柄のついたモップなどで汚れを吸着しよう。
●軍手を使って
軍手はそのままぞうきんとして活用できる。乾いたままか水を固くしぼった状態で家具の上などをなぞろう。下にゴム手袋をしておけば、軍手が濡れていても快適。
小物やフォトフレームの上なども案外、毛や埃が溜まっている。指先でそっとなぞるだけでも汚れが落ちる。手も汚れないので、作業も快適だ。
2.家電・家具
●軍手などを使って
静電気により毛や埃が引き寄せられている。パソコンはファンの中に毛が入ると故障の原因にも。軍手やモップ、掃除機などを駆使して汚れを取り除こう。
●歯ブラシを使って
犬がソファに座る家では、背もたれとクッションの間に毛が詰まって、入り込んでいることも。歯ブラシを隙間に入れて、中の毛をかき出そう
3.空気の通り道
●掃除機を使って
空気の通り道=換気口は空中に舞った床に落ちる毛を吸い取って集める役割もあるので、ココにも毛は溜まっている。ほぼ1年中、稼働している換気扇、空気清浄機、エアコンのフィルターは、最低1ケ月に1回はブラシノズルを使って掃除機をかけよう。
4.床
●掃除機を使って
汚れが最終的に落ちるのが床。フローリングやカーペット、畳でも、掃除機のかけ方が要になる。なお部屋の隅は細口やハケを併用し、隙間に入り込んだ毛や埃までしっかり取ろう。
【掃除機の正しいかけ方】
1往復5~6秒かけるつもりで、ノズルを優しく、ゆっくりと動かそう。フローリングと畳は目に沿って、カーペットは毛を起こすようにしてかけていく。なお、ノズルを床に強い力でこすりつけると、吸引力が下がり逆効果。
広い床面をかける時はT字ノズルを使う。T字ノズルは端に行くほど吸引力が落ちるので、1/2~1/3ほど重ねながらかける。ノズルが届きにくい床の端や家具のすき間は、ペンキのハケで埃をかき出しながら掃除機で吸い込むとよい。
●ゴム付き手袋を使って
毛が絡みやすいカーペットはゴム付き軍手のゴム面でカーペットの毛を起こすようにしてこすると、抜け毛が集まってくる。この後、掃除機をかけるとよい。
■気になるようなら細かい所も
●ブラシと掃除機を使って
窓の桟に溜まった毛は、ペンキのハケでかき出しながら、掃除機の細口で吸い取る
●ハブラシを使って
結露と毛ぼこりが乾いてこびりついたガンコな汚れは歯ブラシでこすり、水で流す。
抜け毛を制す者、掃除を制す!
最も重要なのが「抜け毛の掃除」。抜け毛には皮脂がついており、そのままにしておくとニオイの原因になるばかりか、毛のたんぱく質をエサにするダニが増殖したり、カビが繁殖したりする。つまり部屋を清潔に保つためには抜け毛の掃除が肝要なのだ。
抜け毛は埃と同じような性質を持っていて、軽いアンダーコートはふわふわと舞い、重いアウターコートは床に落ちて溜まっていく。犬の居場所はもちろんだが、空気の通り道である換気口や静電気が発生しやすい家電には、思ったよりも多くの毛が付着しているのだ。
しかし抜け毛の掃除が終われば、毛に籠もるニオイも軽減し、掃除の半分が済んだも同然。軍手やブラシなどを用いて細部まで掃除をしよう。
愛犬の身のまわり
犬がいる場所には、毛や埃、そしてニオイが溜まっている。定期的に犬のよくいる場所も掃除してあげよう。
■ケージ&クレート
1.中の敷物を外へ出す
中に敷いてある毛布などは、掃除の邪魔になる。外に取り出してから掃除をスタート。
2.ほこりを払う
ハンディワイパーでケージの周囲のほこりを吸着する。
3.こびりついた汚れを落とす
極細の繊維で汚れをこそげ落とすメラミンスポンジで網を挟み、上下に動かすとこびりつきが落ちる
4.ハケで毛を集める
隅に溜まった抜け毛などをハケとチリトリで回収する。トレイを外せるようなら丸洗いしてもOK。
・クレートも基本は一緒
ケージは上下に分解し、ケージと同様にして掃除をする。水をかけてゴシゴシ洗ってもいい。
■ベッド
1.コロコロをかける
ベッドの表面にコロコロや掃除機をかけて、布に絡み付いた毛を吸着する。
2.カバーや布団を外す
カバーや布団は洗濯を。コロコロで毛を吸着しているので、洗濯機の排水溝が詰まることも少ない。
3.スチームでダニ退治
スチームアイロンをかけ、中のダニを退治。化繊は溶けてしまうこともあるので、当て布をしておこう。
■トイレ
1.薄めた洗剤をスプレー
水を固く絞ったマイクロファイバーに薄めた洗剤をスプレーし、マーキングで汚した壁を掃除する。
2.壁についた汚れを拭く
マイクロファイバーで壁を拭く。その後、水拭きをし、さらに乾拭きをしておく。
3.消臭スプレーをする
使用後のシートは袋に入れて口を縛り、ゴミ箱へ。ニオイがあるところには分解型の消臭剤を。
※トイレは窓の近くがベター
トイレは風通しのいい場所へ置くとニオイが籠もりにくい。排泄物はすぐに掃除するのもニオイを充満させないコツ。
愛犬のつけたシミ
嘔吐やヨダレ、粗相をカーペットにしてしまったら、素早く処理するのがニオイとシミを残さないカギ!
【用意するもの】
・巻きぞうきん(乾いたものを2枚)
・くつ洗い用ブラシ(コシのあるブラシで代用可)
・スプレーボトル(洗剤を水で薄めたものと、水だけのもの2本用意)
【巻き雑巾の作り方】
ぞうきんを半分に畳んで長方形に。これをはじからクルクルと巻き、円柱状にする。犬の掃除用具入れには、この状態で入れておくと咄嗟に掃除したい場合、すぐに使えて便利だ。
1.ウンチや吐しゃ物を発見したら、すぐにカードや名刺などしなるような物ですくい取る。時間が経ってカードですくえない場合は、、硬い定規を使うとよい。
2.洗剤を薄めた水スプレーをシミの外側から中心に向かってかける(シミ以外にはスプレーしない)。なおシミの周りに埃があったら、ぞうきんなどで取り除いておこう。
3.乾いた巻きぞうきんをシミの大きさに合わせて引き出し、シミの上にのせる(ぞうきんを巻いている方を上にする)。
4.ぞうきんの上に靴ブラシを置き、軽く押さえるようにしながら、ブラシを前後にこする。
5.ブラシを横にして置き、今度は左右になるようこする。違う方向からこすることで、汚れもぞうきんに移りやすくなる。
6.ぞうきんに汚れが移ったかを、めくって確認。汚れが移っているようなら、ぞうきんの新しい面を当てよう。
7.汚れた面をクルクルと内巻きにし、新しい面を出す(S字になるよう最初に巻いた方向とは逆巻きに)。新しい面をシミにつけ2~5の作業を同様に繰り返し、シミをとる。
8.シミにぞうきんを当てても、色が移らなくなったら、しみ抜きできた証拠。次に水スプレーをかけ、すすぎをする。2と同様、シミの外側から内側に向かってスプレー。
9.ぞうきんの上に靴ブラシを置き、軽く押さえるようにしながら、ブラシを前後にこする。
10.ブラシを横にして置き、今度は左右にこする。洗剤が取れるまで、7のように途中、ぞうきんを巻きながら新しい面を当て、8~10のすすぎ作業を繰り返す。
11.しばらく換気をしてニオイを飛ばし、最後は分解型の消臭剤をかけてニオイの元を断とう。
日々こまめな掃除でハッピーに!
「今年の汚れ、今年のうちに~」なんて、とあるメーカーのキャッチコピーが有名だけど、犬を飼っている家では「今日の汚れ、今日のうちに」が、ルールらしい。
今回、伝授した掃除方法を見てもわかるように、汚れたら素早くそれを見つけ、掃除をしてあげるだけで、特別な道具や犬の刺激になる洗剤や芳香剤を使うことなく、清潔な状態を保つことができるのだ。気になる抜け毛もニオイの処理も日々のこまめなケアがモノを言う。
しかし当然だが、本来きれい好きな犬は、自ら掃除をすることができない。掃除は飼い主の役目だ。犬と人、お互いの快適さを求めるなら、毎日続けられるような簡単な掃除方法を極めることが、ひとつの条件になるだろう。
余談にはなるが、中国に古くから伝わる環境学のひとつ「風水」によれば、部屋を掃除しておくことで運気が上がると言われている。確かに汚い部屋でイライラしたり、愛犬をダニの被害や誤飲誤食などの危険な目に遭わせたりするよりも、掃除が行き届いた部屋でお互い安全でスッキリした気持ちになる方が精神衛生的にも随分いい。本当に運気も上がりそう。
これからの換毛期は心して掃除をする。そうすれば心も体もスッキリ。愛犬とのハッピーライフを手に入れてほしい!
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Shi‐Ba vol.75『プロに学ぶ知識と手順で 犬毛掃除の達人になるっ!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。