「なぜ犬は吐きやすいの?」「吐くって犬にとって危険なこと?」など多くの謎がある犬の「吐く」という行為。本特集では、犬の「吐く」について探っていく。
1.消化のしくみと吐く理由
2.犬の胃と消化の流れ
3.日本犬は吐きやすい犬種?
4.草を食べて吐く理由
5.誤食で吐く場合
6.ストレスで吐くことはある?
7.日本犬がストレスを感じる時は?
8.車にのせると吐く理由
9.嘔吐物を触ることで病気に感染?
消化のしくみと吐く理由
◇消化しきれずに吐く
◇ 脳の異常で吐く
◇病気の症状のひとつで吐く
犬は人より吐きやすい印象がある。これは事実だ。その理由は、食べる方法の違いによるもの。
人間の場合は食事をする時、基本的に口に入れてよくかんでから飲み込む。犬の場合は、食べたものをかまずに、ほとんど丸呑みにする。
そのため、食道や胃が人よりも大きいつくりになっている。そうは言っても、大きすぎるものや、消化できないもの、毒性があるものなどを飲み込むと吐いてしまう。
胃で消化できなかったものを吐いて外にださないと、腸まで落ちていってしまい腸閉塞などにもなるので、自己防衛のためと言える。だから、人よりも日常的に吐く頻度は多い。
他にも、胃の粘膜を刺激するようなとがったものなどが胃の中でとどまると、炎症が起こって胃が小さく固くなり、それらが胃にとどまれなくなって吐くことがある。
それから、柴犬は比較的食べることに執着が強くない犬種なので少ないが、勢いよく食べることで空気も一緒に飲み込んで胃が過剰に膨らんでしまって吐くこともある。
つまり、犬は体を正常な状態に保つために、生理的現象で吐くことがあるということ。
この場合、毒性があるものを飲み込んでしまった時は危険だが、そうでない場合は体調が悪いわけではない。
ただ、そうであっても毎日嘔吐を繰り返すと体力が消耗し、栄養失調などになる可能性もあるので、注意しよう。
以上が、比較的犬が吐きやすい動物と言われる理由のひとつ。 だがもちろん、犬も人間と同じように、病気や体調不良が理由で吐くこともある動物だ。
考えられる理由として、脳に異常がある、病気のひとつの症状で吐く、呼吸器疾患でせきがひどくて一緒に吐くなどがあげられる。また、柴犬には少ないが、胃酸の分泌過多で吐く場合や、何かの理由で胃酸が常にでてしまい、胃の粘膜を消化してしまうことがある。放っておくと胃潰瘍になり、血を吐く可能性もあるので注意しよう。
このような吐く理由を大きくまとめると、消化しきれないで吐く、脳の異常で吐く、病気のひとつの症状として吐くということがあげられる。一口に吐くと言っても、色々な理由があるのだ。
犬の胃と消化の流れ
消化の流れは人間と同じで、口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→排泄の順番。
消化するのは胃、消化酵素で消化されたものが腸に落ち、必要な栄養を吸収する。そして、いらないものが便となり排出される。
また、犬の場合は消化酵素が肉を分解する作用が強いものが多い。逆に炭水化物を消化する消化酵素は人よりも少ない。
だから、トウモロコシや人参がそのまま便に混ざって排出されることがある。
日本犬は吐きやすい犬種?
吐きやすい犬種ではない。
ただ、換毛の時期になると、よく毛が抜ける犬種なので、体を舐めた時に毛を飲み込んでしまい、それが胃の中で異物とみなされて吐くこともある。
草を食べて吐く理由
犬が草を食べて吐く理由ははっきりとはわかっていないが、胃がムカムカしている時に吐くために草を食べると言われている。
胃の中のものを草とからめてわざと吐くことで、胃の中を浄化させるのだ。
また、草に人間でいう消化剤のような作用があるとも言われている。草を食べること自体は、問題がなく、草を食べなくても問題はない。
しかし、あまりに頻繁に食べている場合は、体に何かしらのトラブルがある可能性がある。動物病院で診察を受けよう。
また、草には除草剤や農薬などがついている可能性もあるので注意。
なぜ草を食べる?そもそも食べさせていいの?草食犬の取り扱い説明書
誤食で吐く場合
犬が誤食を頻繁に行う場合、ストレスなどが原因で脳に異常がある可能性が考えられるといわれている。
誤食を予防するには、散歩中はリードを短く持つ、家にオモチャを置きっぱなしにしないなどがあげられる。
ストレスで吐くことはある?
過度のストレスで吐くことがある。代表的なのはペットホテルなどに預けられた時。
その理由は、ストレスが脳に作用しての吐き気、また緊張で胃がきりきりすることでの吐き気があげられる。
柴犬は精神的にデリケートな犬種なのでそういった意味では吐きやすいとも言える。
もし、ストレスが原因で日常的に吐く場合は、何がストレスの原因かを探ってあげ、改善できるものは改善してあげよう。
日本犬がストレスを感じる時は?
日本犬は主人を決める犬種と言われているので、飼い主の動きや行動の変化にストレスを感じやすい。
例えばお母さんが仕事を始めた、家族の誰かが赤ちゃんを産んで家族が増えたなど、家庭環境の変化にも敏感。困った時は動物病院に相談しよう。
診察は飼い主との会話の中で『最近変わったことは?』といった質問を糸口に原因を探す。
治療方法としては、精神安定剤を使い、嫌だったものを怖くないものと教えていくという場合もある。そして、嫌な印象を時間をかけて忘れさせていく。
車にのせると吐く理由
車にのせたら吐く犬もストレスの要素が強い。これは車にのる時、犬はせまいクレートに入れられる場合もあるので、三半規管や平衡感覚が狂いやすく、それによって1回吐くと、トラウマになることが原因。
そして、次からも車にのっただけでストレスを感じて吐いてしまうようになることが原因。
車で吐くことを改善する方法は、止まっている状態の車に毎日のせてオヤツをあげ、車が良い場所だと覚えさせる。
そして、慣れたらオヤツをあげながら近所をドライブして徐々に慣らしていくというものがある。
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嘔吐物を触ることで病気に感染?
吐く時に通過する臓器は、食道と胃。そこに人間に感染する病原菌がいる可能性は少ない。
一方、腸には人間も感染する病原菌がいる。便の場合は、腸を通過して外に排出されるので、病原菌がついている場合はある。よってお尻をぺろぺろなめていた後に吐いた場合は、もしかしたら嘔吐物に病原菌がいるかもしれない。
また、汚染されているものを飲み込んで吐いた場合も同様に危険な場合がある。なので、念のため嘔吐物を触る時には手袋をして、素手で触らない方がいい。
もし、病気の感染が気になるのならば、嘔吐物を取り除いた後は、吐いた場所に消毒液をかけてタオルでふきとろう。
同居犬がいる場合は、犬同士だと感染する病原菌がいる可能性もあるので、吐いた場所の消毒をやった方がよいかもしれない。
また、腸から寄生虫が逆流して吐く場合もあるので、嘔吐物を触った後は手を洗おう。
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Shi‐Ba vol.64『様子を見る?どれとも受診?どう診断すればいい?柴犬が吐く理由を探る!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。