散歩に出かけると、毎回決まって同じ場所で立ち止まる犬は多い。なぜ立ち止まるのか、そのヒミツを今回はレクチャー。愛犬の心理を理解すれば、散歩の時間がもっと楽しくなるはず。
主な立ち寄りどころの分類
遊び&和みのスポット
ボール遊びをしてもらえる公園や思いっきり遊べるドッグランなど、よいイメージがインプットされている場所に寄り道したがる犬も多い。夏場は涼しい木陰や水飲み場など、快適な場所でひと休みしていく場合も。
好きな人&犬がいる場所
過去にかわいがってもらったり、オヤツをもらったことのある人がいる場所は、「今日もいいことがあるかも」と立ち寄るのが習慣になるケースがある。好きな犬と遊んだり、様子をうかがうために、寄り道することも。
ニオイ密集地
他の犬がよくマーキングをしている電柱や草むらなど。こういう場所によく立ち止まる犬は、ニオイに対して敏感な性格である可能性が高い。立ち止まってじっくりニオイを嗅いだり、排泄するケースが多い。
犬の寄り道のヒミツ
Q.散歩中、犬はどんなものに反応する?
犬の個性や、どこで飼われているかによって興味の対象が変わってくる。
一般的に外飼いは外の環境に慣れているので、他の犬のマーキングなど特定のニオイに反応するケースが多い。
家の中でメインに飼われていると、外の環境が新鮮に感じ、もっと多くの刺激に対して興味を持つ場合も。
例えば、暑い、寒い、風が吹いている、雨が降っているなど気温や天気のレベルにも興味を持つ犬もいる。
基本的には、ニオイに一番興味を持つ可能性が高い。
Q.犬が同じ場所にいつも立ち寄るのはニオイが関係している?
他の犬が集まってマーキングをしているような電柱や門があったら、そこに必ず立ち寄ったり、排泄しようとする犬は多い。基本的にはニオイが密集しているところに行くのが普通。
強い犬であれば、そこをトイレの場所に決めるだろうし、ちょっと怖がりの犬であれば、あえてそこを外すかもしれない。
Q.ニオイを嗅いでいる時は、無理矢理引っ張らないほうがいい?
基本的には、場所による。交通量が多かったり、人通りが激しい場所で立ち止まるのは迷惑になってしまう。特に和犬は大きくて存在感がある。
しかし、公園などちょっと広いスペースだったら、無理に引っ張らずに、楽しませてあげればいい。
ただし、気をつけたいのが落ちている犬のウンチ。ニオイを嗅いだり、舐めたりするうちに寄生虫が移ったり、感染症にかかる怖れがある。オシッコはそんなに気にしなくてもいいが、ウンチに興味を持ったらリードを引っ張ってやめさせたほうがいい。
Q.好きな場所以外でも立ち止まることはある?
強い犬のニオイがあるかもしれないわけだからニオイが密集している場所は、必ずしも喜んでいるわけではない。警戒心が強くなって、嗅いでおかないと気が済まない場合もある。
基本的に散歩コースは自分のテリトリーだと思っているので、誰が入ってきたか気を付けてチェックしている。
ニオイをすごく気にするタイプと、ほとんどニオイを気にしないタイプの犬に分かれ、後者の場合は散歩中あまり立ち寄らないケースが多い。
Q.ニオイを気にしすぎる犬はストレスが溜まりやすい?
ずっと気にしてなければいけないので多少は溜まる。メスのニオイを察知すると、夜も眠れなくなるので、オスは去勢し開放してあげる方法がある。
あとは、ニオイに気づかないくらいに疲れさせる。人間の体育会系と一緒で、思いっきり運動し、疲れて寝るだけにさせるといい。
Q.ニオイ以外で、犬が好む場所は?
オヤツをいつももらえる場所があれば立ち寄りたいはず。また、散歩コースの途中に好きな犬がいれば、会いに行こうとするかもしれない。自分をかわいがってくれる人がいるところにも行きたくなるはず。
極端な例を出すと、帽子を被ってメガネをかけていたおじさんからオヤツをもらった経験があると、同じような格好をした人を見る度に反応することも。
同様に、過去にいい経験をした場所と雰囲気が似た場所を通りかかった時に、立ち止まるケースもある。要するに関連づけ。
Q.犬に道を覚える能力はある?
ある程度のレベルであれば可能。何キロも離れた場所は特殊な能力がない限り無理かもしれないが、普通の犬の場合は馴染みのある散歩コースならば戻って来られる可能性がある。
どの能力を使って道を覚えるかは実験されていないが、目はあまりよくないので、嗅覚がメインではないかと考えられる。
Q.散歩の時、犬を主導にして歩かせても大丈夫?
トレーナーによっては、厳しくしたほうがいいと主張する人もいるが、外に出た時くらいはある程度自由にさせた方がいい場合もある。
犬が外に出た時は、自由にニオイも嗅ぎたいはず。
ただし、条件があって、人混みの多いところはNG。リードをしっかりつけて、人に迷惑をかけないことが前提。犬がその時々でちゃんと言うことを聞くのであれば、すべてを強制にする必要はない。もしも、犬がはむかったり、言うことを聞かないのなら、それ以前に付き合い方に問題がありそう。
引っ張りが強いのは、散歩が好きでグイグイ行きたい気持ちがあるから。安全確認をして飼い主も一緒に走ってあげると、犬も満足して後半は落ち着いた足取りになってくるだろう。
Q.犬が散歩に出たがらない理由は?
暑さ寒さや雨など環境面と、精神的なトラウマがある場合が考えられる。風が強い日に看板がバンっと音がしてびっくりしたなど、ちょっとしたことでも臆病な犬は怖がってしまう。
動物病院が嫌いで近くに行くと止まってしまう犬もいる。
Q.頑固な和犬はお気に入りの場所に立ち寄らないと気がすまない?
基本的に和犬はルーティンを重んじる。同じコースにすごく行きたがり、こだわる犬にとっては行かないと混乱する可能性も。
若い犬であれば、そんなには気にしないと思うが、柴犬は特に2歳くらいからは頑固になってくる。逆に散歩で毎日行ってあげれば安心し、満足して帰宅する。
Q.散歩嫌いの犬を散歩好きにさせるためには?
いい経験をさせてあげること。ちょっと外に出てごほうびをあげたり、仲のいい犬友達と外で会うようにしてあげるなど。
散歩途中で犬が立ち寄りたい場所を作ってあげれば、外に出るのが楽しみになってくるはず。
Q.先天的に犬が好きな場所、嫌いな場所はある?
基本的に散歩が好きで外に出たがる犬がノーマルタイプだが、その中でどこが好きというのは、後天的な学習によるもの。好きな場所では楽しい経験をし、嫌いな場所では怖い経験をしたなど。
ただし前肢が感覚的に敏感なので、水に濡れる場所を本能的に嫌がる犬はいる。
立ち寄る場所は多様多種
散歩中、どこを立ち寄り場所にするかは、犬によって異なってくる。ニオイを嗅ぐのが好きな犬であれば、散歩中何度も立ち止まっては、クンクンと鼻を押し付けているはずだ。
飼い主に『何のために散歩に行きますか?』と尋ねた時、『運動のため』と答える人と、『ニオイを嗅がせるため』と答える人に分かれる。
後者の場合、すぐに立ち止まって、あまり運動にならないけど、ニオイを嗅いですごく楽しそうにしているから散歩に連れていく。
オスの方がニオイを気にするイメージが強いかもしれないが、今は去勢する犬が増えているのであまり性差はなくなっている。
また、自分をかわいがってくれたり、オヤツをくれる人に会うために寄り道する場合も。散歩コース上に気になる犬がいれば、様子をうかがいに行くこともある。
さらに、飼い主と遊んでもらえる公園、夏は涼める場所など、ライフスタイルや季節に応じて、お気に入りの場所を決めている犬もいる。
お気に入りの場所で散歩がさらに楽しく!
犬にも個性があるので、どこにも寄り道せずにそそくさと帰る犬や、散歩をすること自体が嫌いな犬も存在する。
犬は本来、外に出ると喜ぶ動物。散歩はゴハンの次に楽しみなのが普通。散歩嫌いだからと心配する必要はないが、大好きなことを増やすためにも、なるべく散歩好きにさせた方がいい。
そのためには、外にいくつかお気に入りの場所があるとベスト。犬が自分で見つけられない場合は、飼い主が作ってあげればいい。例えば、普段家ではあまりオヤツを与えずに、散歩の時に決まった場所で与えるようにするとか。「今日はここであげよう」といくつか場所を決めておくといい。
このように、散歩中にお気に入りの場所があると、犬のテンションがアップする。
ただし、「ここに行くと、この人に会える!」と期待していたのに、実際にいなかった場合はがっかりしてしまう。
特に柴犬は頑固なので、何もなかった時に、そこから離れようとしないケースもある。アテが外れた時のために、立ち寄り所はランダムに数カ所に設けておくのがポイントだ。
犬の立ち寄り場所 まとめ
犬はいつも決まった散歩コースの中で「ここはいろんな犬の情報が満載だぞ!」「あそこに行けば、愛しのあの子に会える♪」など、犬なりに考えてお気に入りの場所に立ち寄っている。
行きつけの場所が多い犬はそれだけ好奇心が旺盛で、散歩を楽しんでいるのだろう。
だから、犬が立ち止まった時に「何やってるの!」と無理矢理リードを引っ張ってしまうのは酷な気だ。
もちろん、道路の真ん中で止まってしまうのは問題だが、誰の邪魔にもならない場所であれば、ちょっとくらい好きにさせてあげてもいいだろう。
ニオイに無頓着だったり、過去に散歩中にいい経験をしたことがない犬は、わき目もふらずひたすら歩くだけかもしれない。
それでも運動になるが、犬生における愛犬の楽しみを増やすためにも、お気に入りの場所はあった方がよい。
そのためにも、飼い主が散歩途中で公園に立ち寄って遊びの時間を作るなど、楽しい場所作りをサポートしてあげることが重要。
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Shi‐Ba vol.55『安楽の地?それともパトロール!?立ち寄る場所は十犬十色 犬だって行きつけの場所があるんです!』より抜粋
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