「ハンドシグナル」とは専門用語なのでわかりづらいかもしれないが、号令を言う時に指を立てるなどのしぐさのことをさす。声を出さなくても身振りだけで犬に指示を伝えられる便利なアイデアを紹介しよう。
しぐさの形は自由に決めてOK
手のひらを広げる
大きく手を開いて犬に見せるしぐさ。マテを教える際におすすめの手振り。手を広げる=マテは世界共通に近く普及している。犬の視界を遮るため動かないことを教えやすい。
握りこぶしを見せる
号令を言う時に人差し指を立てることが多いなら、ハンドシグナルを教える第一歩として指を隠してしまおう。単純なしぐさほど犬に分かりやすい。
両手を使ってTの字をつくる
ハンドシグナルは片手のほうが手軽だが、バリエーションを増やすために両手を使って教えてもいいだろう。身振りで個性を出したい方は、Tの字を見せたらオスワリ、という合図にしてみよう。
白鳥のポーズ
華麗な白鳥を真似してポーズを決めよう。ハンドシグナルは飼い主さんのアイデアで自由に決めていいとはいえ、まじめな号令に使うのはちょっと恥ずかしい。トリック(芸)に使うのがオススメ。
大きく○を作る
指のしぐさよりも動作が大きい分、犬に分かりやすい身振り。○はやっぱりYESのサインがいい?
大きく×をつける
○をYESと教えるなら×はNOと思うかもしれないが、NOの身振りは教えなくてもいいので、全く関係のない号令のハンドシグナルにしてもok。思いつかない……とは言わずに、自由な発想で教えよう。
犬の前で足を伸ばす
なんだこれ?と思うかもしれないが、ハンドシグナルのネタが尽きたときには足を使ったフットシグナルでもok。声を出さずに身振りで犬に伝えられればいいのだ。
うちわを見せる
身振りで指示を伝えられたら目標達成。うちわを見せたら犬が踊るように教えたっていいのだ。常にうちわを持ち歩かなければならないのが難点。
背骨のラインを意識する
新しい姿勢を教えるときは犬の背骨の延長線上に誘導しながら合図を出すといい。
誘導の位置が高すぎると犬が後ろ足で立ち上がってしまう。背骨の延長線上を意識しよう。
例えば「タッチ」を教える時。立った姿勢は背骨が水平になる。この姿勢に誘導するためには犬の鼻先あたりにオヤツを持って、水平に引くこと。犬が自然に立ち上がって付いてくるはずだ。
今できる号令にしぐさをつけてトライ!
1.「オスワリ」という時にしぐさを加える
愛犬に「オスワリ」と言いながら人差し指を立てる飼い主さんが多いのは、最初に教えるときにオヤツを持っていた名残だそう。これをそのままハンドシグナルにする時は「オスワリ」と声を出しながら、指を立てる。
2.しぐさを先、号令を後にすり替えていく
愛犬がオスワリの動作を言葉としぐさ、どちらで覚えているか確認しよう。言葉で覚えている場合は、指を立てた後に「オスワリ」と声に出して指示をしよう。日本犬の先読みの特技を活かして「この身振りの次はオスワリだな」と犬が理解できるようにわかりやすく教えること。
3.しぐさはしっかり見せて定着させる
オスワリを誘導で教えていた頃のしぐさ(指を立てる)は、犬が座った姿勢の背骨の延長線上で見せている方が多いはず。その位置で身振りを見せると定着も早い。まったく違うしぐさにする場合でも、犬に見えやすい位置で指示を出そう。
号令でなんとなく身振りをつけていた場合でも、愛犬が理解しているとは限らない。言葉だけ、身振りだけで指示を出してみると、どちらか一方、もしくは両方そろわないとやらないことがある。言葉を理解していない場合は順番を逆にして教えよう。
惜しいオテ、オスワリ……愛犬の『まぁいいか』を完璧にする!【しつけ編】
「脚シンクロ」に挑戦!
1.まずは基本の「オテ・オカワリ」
「足シンクロ」の前に、基本のオテとオカワリをしっかり教えよう。まずは正面で向き合ってトレーニング開始。どちらか一方の手で教えている場合は、右手でオテ(左前足を挙げる)、左手でオカワリ(右前足を挙げる)と身振りを分けよう。飼い主さんが挙げた手と同じ側の前足を挙げるように教えることが大切だ。
2.足の上に手をのせて「オテ・オカワリ」
次は手ではなく足の上にオテとオカワリをすることを教えよう。いきなり足を出しても理解できない犬もいる。まずは足の甲に手を置き、基本と同じく右足と右手でオテ、左足と左手でオカワリと身振りを作って教えよう。できたら、少しずつ足と手の距離をのばそう。足だけでスムーズにできればok。
3.足だけで「オテ・オカワリ」
飼い主さんが挙げた足と同じ側の前脚を上げることを徹底する。できたらいよいよ「足シンクロ」の仕上げへ。飼い主さんは犬の正面ではなく隣に並び、右足を挙げたら右前脚(オカワリ)、左足を挙げたら左前足(オテ)を犬が挙げるようになれば完璧。「人と同じ側の前足を挙げる」技なので、横に並ぶとオテとオカワリが逆になる。
トレーニングは犬と向かい合って行うことが多いため、「足シンクロ」で飼い主さんが横に並ぶと犬が正面に回ろうとする場合がある。向かい合ってのトレーニングが長い犬ほどこの傾向が強いかも?根気強く教えよう。
新しいことを定期的に教えよう
日本犬はとても律儀な性格の犬種。それまで経験してきたことの中だけで物事を解決しようとする傾向がある。
成犬になるとルールも守ってくれるからイタズラも少なめ。だから子犬の頃は熱心にトレーニングしても、成犬になるとやめてしまう飼い主さんが多い。
しかし、コミュニケーションとしても役立つので、トレーニングは継続していたほうがいい。
基本のオスワリやフセ、マテを覚えた後、何を教えようか迷ってしまうこともあるだろう。そんな時は本特集で紹介した身振りの合図、ハンドシグナルがぴったりだ。
しつけだけでなく、バンザイやスピン、ゴロンなどトリックも教えると楽しい。あとは愛犬が日常でよくやる動作に号令と合図をつけてもよい。
生活に困らないからといって何も教えないのは、もったいない。犬との暮らしを楽しむためにも『時々新しいことを教わるんだ』という習慣を愛犬につけておきたい。
惜しいオテ、オスワリ……愛犬の『まぁいいか』を完璧にする!
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Shi‐Ba vol.54『身振り手振りで会話する ハンドシグナルに挑む!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。