これからの季節、家族の一員でもある愛犬と一緒に楽しいイベントを計画中の飼い主さんへ。たらふくお肉をあげたい気持ちはよーくわかります。が、愛犬の健康を思って節度ある行動をお願いします。ルールを守って幸せなお肉生活を実行して下さい!
お肉の正しく安全な与え方
お肉のニオイに大興奮! お肉のパックを開けただけで台所に吹っ飛んで来た。肉と言っただけで素早い反応、等々。お肉にまつわるエピソードのひとつやふたつは、きっとどこの家庭にもあるに違いない。まぁ、それだけ犬はお肉が大好きってわけ。大好きなお肉を安全に、美味しく与えるためには、基本的ないくつかのルールがあるのだ。
まず、お肉の種類。牛、豚、鶏、馬、ラムなどの他、砂肝、白ホルモン、レバー、ハツ、タンなどホルモン系もOK。もちろん、どんなお肉を購入する際も、新鮮なものを選ぶことは言うまでもない。
そして、調理方法。お肉は生で与えていいと思っている飼い主さんが意外と多いが、お肉には生で与えていいものとそうでないものがあることを、しっかり把握しておこう。
豚肉や鶏肉は大腸菌やサルモネラ菌に汚染されている場合もあるので、生のまま与えるのは避けること。また、ラム肉は輸入されている可能性が高く、鮮度が不確かなため、大事をとって生では与えないこと。生で与えても大丈夫なお肉は、牛と馬のみ。もちろん、刺身で食べられるような鮮度の高いお肉に限ることは言うまでもない。
加熱して与える場合は、茹でる、蒸す、焼くなどして、お肉の表面が殺菌できる程度がベスト。加熱しすぎるとビタミンが欠乏し、せっかくの栄養が壊れてしまうから注意しよう。また油炒めや揚げものとして与えるのはカロリーが過剰になってしまうので避けること。ただし、痩せていて外飼いの犬の場合ならば多少は与えてもいいかもしれない。
加熱したお肉を与える際は、動物の体温程度の38度くらいが適温。香りや風味が出ておいしく感じられる。生肉の場合は、血の香りがするので常温のままでいい。
そして、焼肉のタレなどは味が濃いだけでなく、犬に与えてはいけない成分が含まれている場合もあるので、タレやソース、調味料はつけてはいけない。
また、1度に与える量は卵1個分くらいがちょうど良い量。
味わって食べているようにはとても見えない食べっぷりに唖然とすることもしばしば。でも実は犬にはちゃんと味覚がある。栄養バランスや風味を損なわない、正しいお肉の与え方をマスターして、味覚を刺激するような幸せな食事を、愛犬に味わってもらいたい。
犬にとって最適な肉という優劣はない。肥満気味ならば脂肪の少ないササミ、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を持っているのならば、ラム肉などの低アレルギー食などと、与えてもいい肉が限定されているが、健康な犬ならば、色々な種類の肉をあげることで、さまざまな栄養素を取り入れることができるだろう。
バランスが犬の健康を維持する
柴犬の祖先を振り返ってみると、日本の気候、風土、食生活に合った育てられ方をしてきた。魚や野菜を入れた味噌汁ぶっかけごはんは、理にかなっていたのだろう。だから丈夫だった。
しかし、昔の味噌汁ぶっかけごはんを、そのまま現代に当てはめるわけにはいかない。何故なら食生活やライフスタイルが大きく変わってきたから。今や、簡単、お手軽、しかも栄養バランスの摂れたドッグフードは、さながら昔の味噌汁ぶっかけごはんの役目を果たしている。
そもそも、ドッグフードはアメリカが発祥だが、アメリカではビーフアレルギーの犬が多く、その影響でチキンベースのドッグフードが主流となっていると言われている。それとチキンは原料コストを安く抑えられるという利点もある。
ドッグフードは各メーカーそれぞれ成分配合が違うので、1メーカーのみのドッグフードと限定しないで、数メーカーのドッグフードをローテーションであげると栄養の偏りが減るのでおすすめ。
食事量は運動量によって違ってくるが、普段、ドッグフードを利用し、お肉をトッピングして与える場合の目安量は、ドッグフード8割、細かくしたお肉2割の割合で、よくかき混ぜて与えるといい。さらにお肉を茹でたスープを混ぜてもOK。
手作り食でお肉を与える場合は、どうしても栄養が偏りやすいので、細かく刻んで茹でた数種類の野菜や炭水化物、ミネラル、ビタミンなどさまざまな成分を一緒にバランスよく、消化吸収しやすい工夫をして与えることを心がけよう。くれぐれもお肉のみを与えないよう気を付けてほしい。犬が必要とするエネルギーは、お肉などのたんぱく質源だけではないということを忘れずに。
しかし、お肉を与えなかったら、それも問題。と言うのも、たんぱく質源の食品をお肉の代用にするには難しいのだ。お肉と同じたんぱく質源の大豆は体内で消化するのが困難。つまりお肉以外でたんぱく質源を摂取しようとすると容易ではない。何はともあれ、たんぱく質源の供給は、優れた吸収力を持っているお肉が一番というわけなのだ。
お肉は犬にとって、生きていく上で必要不可欠。しっかり体内に吸収し、血、踊り、肉、湧き立つ、健康で美しい体を維持できるよう、毎日の食事から積み重ねていこう。
特別なごほうびに大喜びしたいならば……
お誕生日、クリスマス、お正月、入学祝い、結婚記念日等々。特別な日には愛犬にもスペシャルなご馳走を振る舞い、家族揃って一緒に楽しむ飼い主さんも多いことだろう。特別な日と銘打って、年中行事のようにお肉三昧な日々が続いている、羨ましい柴犬さんもいるのかもしれないが……。とにもかくにも、特別な日のお肉の振る舞い方にもルールがあることを覚えておこう。
スペシャルだからといって、特別な調理方法は必要ない。牛肉や豚肉など、どんなお肉を与える場合も、日常の与える場合と変わらず、しゃぶしゃぶの要領で軽く茹でたり、お肉の表面を軽く素焼きすること。
そして、焼き肉のタレやステーキソースなどをつけて与えないように注意したい。味付けが濃いものは、心臓の悪い犬だと肺水腫を引き起こす可能性がある。特に、高齢の犬の場合は心臓に負担がかかることも忘れないで。玉ねぎが含まれているソースも要注意だ。玉ねぎ中毒を起こして血尿になってしまう場合もある。
また、急性膵炎にかかってしまう場合もあるので、脂肪分が多く含まれているお肉の部位を与えないようにしたい。愛犬の様子が急変して、せっかくの楽しいパーティが一転。動物病院に緊急搬送なんて事態にならないよう気をつけたい。
また、クリスマスやお正月など、肉をのどに詰まらせて大慌てで動物病院に駆けつける例もある。まる飲みして食道に引っ掛かってしまうためだ。特にサイコロステーキは要注意。そのままあげてしまいがちだが、必ず肉は1㎝以内くらいに細かく切ってあげよう。大量にあげるとゲップをしたり、吐いたり、下痢になることもあるので、ほどほど。
これからの季節、世間では、イベントが目白押し。今夜は特別と盛り上がり、つい、いつもより多くあげてしまう。つい、愛犬の口元に箸を運んでしまう。つい、気が緩む……。楽しい今宵、ハッピーなひとときを満喫できるよう、「つい」は自重しなくてはいけない。
幸せなサプライズになるか、悲惨なサプライズになるか、飼い主さんの心構えひとつ。暴飲暴食、人間も犬も気をつけよう。
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Shi‐Ba vol.50『今さらですが、お肉をあげる時の注意点について考えてみた 熱望 お肉生活』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。