犬びより

日本犬、コーギー、チワワ、ダックス、プードル、鼻ペチャ犬のためのwebマガジン

家庭の平和は我らが守る!家族喧嘩中に見られる柴犬の仲裁行動

2018/11/19

facebookでシェア ツイートする LINEで送る

「うるさいな~」「もういい加減にしてよ!」どこかで言い争っている声がする。これは家庭不和のサイン、平和のピンチだ! 急げ、柴犬戦隊仲裁ケンジャー出動だ!必殺技のカーミングシグナルで家庭の平和を守るのだ!
 

“ケンカやめなはれ”の代表的なサインで仲裁

数多くあるカーミングシグナルの中でもケンカ仲裁に使われることが多く、かつわかりやすいものは以下。“ケンカをやめてください”と直接的なメッセージを送っているのだ。

遊びへの誘い
ヘラヘラした表情をしながらケンカをしている人たちのところへオモチャを持ってきて「ねーねー、遊ぼうよ」と誘うのも、仲裁のカーミングシグナルと考えられる。遊びに誘うことでケンカへの意識をそらせたり、緊張していることを伝えたりしているのだ。

カットオフ
断ち切りの信号。“ハイハイ、ちょっとやめてね~”とケンカや真剣な話をして緊張状態にある人の間を裂くように割って入り、仲裁のメッセージを伝えている。“近すぎるぞ~・・・ちょっと離れたほうがいいんじゃない?”という警告にも使われる。

 

緊張やストレスを抱えて危険な状況をアピール

「カットオフ」「遊びへの誘い」の仲裁シグナルの他に、「この状況に緊張しています」あるいは「ストレスを感じています」という意味のアピールがある。これが以下のもの。周囲がそれでストレスや緊張を抱えているという事は、それだけ「ケンカしている2人の関係は危険な状態ですよ」と忠告している。

◆あくびをする 
◆背中を向ける 
◆地面を嗅ぐ
◆転移行動(全く関係ない行動をとる) 
◆体を振る 
◆体を横にそらす 
◆その場を去る 
◆そこにいないように振る舞う
◆子犬のような振る舞い

 

ケンカの最中の妙な行動は仲裁サインだった!?

突然ですが、お宅の家の犬は家族同士がケンカをしている時、どんな行動をとっている?……って言っても、ケンカの最中は白熱しちゃって「犬なんか目に入りません!」という状態の方も多いはず。でもよ~く犬を見ると、なんだか妙な行動してるんだな、これが。急に「遊ぼ」とオモチャを持ってきたり、あくびしたり。「こっちは真剣なのに、ふざけてるのかっ、コラ~」って感じ。でもこれこそがCalming(=静まる、落ち着かせる)signal(カーミングシグナル)という犬のボディランゲージ。

カーミングシグナルとは、犬自身にストレスがかかっていることを相手に伝えたい時や、緊張した空気を緩和させたい時に犬が取る行動。例えば家族でケンカといったトラブルや真剣な話し合いなど、普段とはちょっと違ったような緊張した空気があったとする。犬はその空気にストレスを感じると、〝もうやめてよ!”、〝あなた、ストレスがかかっているからもうちょっと落ち着いたら?”など、たくさんのシグナルでその空気を和らげようとします。つまり自分に振りかかった恐怖や緊張などのよくない環境を、どうにかして変えようと試みるわけだ。

人間も一方的に責められると目を背けてストレスが直接振りかかるのを避けようとしたり、あるいはストレスフルになる前に現実逃避をしたりする。犬のカーミングシグナルもそれと同じことと考えればわかりやすいはず。

そもそも群れで暮らしていた犬にとって、仲間内外での揉め事はやっかいな事項。このカーミングシグナルを使って揉め事を未然に防ぐなど、仲間同士の統制を取っていたというわけ。そして家庭の中で飼われることになった現代では犬にとっては家族が仲間。犬自身が過ごしやすい環境をつくるためにも、家庭内の空気を心地よく保つことは重要なことなのだ。だから家族のケンカに対してカーミングシグナルを発信して、仲裁を試みることがある

現在カーミングシグナルはわかっているものでも36種類はあるといわれており、言語と同じでまだまだ研究中の分野。中でもケンカを仲裁するカーミングシグナルには、揉め事を起こしている人同士の間を“ちょっとごめんなさいよ~”とカットオフするものや、相手と緊張状態になる前に無視してスタスタと逃げて行くものなど、その種類も多彩。

ということは、ケンカ時の犬の妙な行動もカーミングシグナルによる仲裁行動と考えれば説明がつくってこと? ……だとしたら柴犬は家庭の平和を守るレンジャー部隊っ? なんだかかっこよくてドキドキしてきたぞ。

 

家族のケンカは犬にとってもストレス

「犬も喰わない夫婦喧嘩」というけど、柴犬たちは、しっかり仕事している。でもカーミングシグナルのカットオフはまだしも、その他のシグナルはちょっとわかりにくい。でも人間がそのサインを見逃すと、犬に悪影響があるとか。

ストレス状態にある犬のカーミングシグナルを飼い主さんが無視してしまった、あるいはあくびをして“落ち着いてよ”のサインを出しているのに“眠いのかな?”と勘違いしてしまった……などサインを見逃してばかりいると、犬は“自分の気持ちは伝わらないんだ”とあきらめ、やがてシグナルを出さなくなってしまう。

ケンカをやめてほしいことや、ストレスがあるということを飼い主に気づいてもらえないことがわかると、必要以上の接近や攻撃などを避けるため三白眼で攻撃の一歩手前の表情を見せたり、ウ~と警告をしたりする。それでも相手の攻撃や接近がおさまらない場合は『守備防衛の攻撃』(自らを守るための攻撃)をしかけることも少なくない。つまり言葉が通じないとやがて言葉を発しなくなり、「この人に話しても無理」とコミュニケーションの断絶が起こりやすくなるのだ。

カーミングシグナルというのは、“この状況(環境)にストレスを感じていますよ”と言う対外的な意味合いと、自分自身を落ち着かせるための意味合いがあるが、ケンカの際のカーミングシグナルはまさに犬が家庭内不和に緊張やストレスを感じているというサイン。犬のためにも、ケンカの時のシグナルはできるだけ受け入れてあげるようにしてあげよう。

不要なシグナルを犬に発信させないためにも、みんな仲良くしなくっちゃね。

 
 
Shi‐Ba vol.50『家族の平和は我らが守る!柴犬戦隊 仲裁ケンジャー』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。