犬も選択ミスすることは少なくない。ちょっとドジ、だから愛しい。今回は犬のミスの理由やミスによる危険について考えてみた。
1.犬はどうやって行動を選択する?
2.犬に選択ミスをさせないためには?
3.犬が選択ミスをしやすいのはどんなとき?
4.選択ミスでどんな怪我やトラブルが起こる?
5.犬がどんなミスをしたら危険信号?
6.犬の失敗は気づかないフリが基本
犬はどうやって行動を選択する?
基本的に犬は本能的な判断と、自分の経験による判断を合わせて選択する。たとえば幅の広い川を渡らないとか、高いテーブルの上から飛び降りないなどは本能的な判断ですることが多い。一方、ある食べ物を食べて辛かったら、以後それを食べないなどは経験による判断。
さらに、性格や状況によっても犬の選択の仕方は変わってくる。初めての食べ物を見て、好奇心の旺盛な犬は口に入れても、慎重な犬は口にしないはず。また小さな溝に躊躇する慎重な犬でも、大好物があれば飛び越えるかもしれない。
なので、日本犬の中でも猜疑心が強い犬は選択ミスが少ないといえる。
ただ最近は好奇心旺盛なタイプの日本犬も多く、そういう犬は選択ミスが多いかもしれない。ただ何をもって選択ミスとするかは結果論。慎重に『やらない』という選択をした結果、失敗はしないものの、おいしいおやつをもらい損ねるなど残念な結果になることも考えられる。
犬に選択ミスをさせないためには?
選択ミスもある意味、考え方次第。選択が正解かミスかは結果論なので、選択ミスをゼロにすることはむずかしいだろう。
ただ行動の失敗を減らすなら、若いうちからいろいろなことに慣らすといい。小さな溝を飛び越えさせる、斜面を登るなど、ちょっと危ないと思うようなことは、飼い主さんが先回りして避けてしまいがち。だが重大なけがや他人への迷惑につながる危険がないことは、チャレンジさせたほうがいいのだ。
そのことで犬は経験を蓄積でき「これくらいの幅なら飛び越えられるな」「これ以上の高さは危険だから飛び降りるのはよそう」などといった判断力を高められるので、長い目でみると大きなけがや重大な失敗を回避しやすくなる。
犬が選択ミスをしやすいのはどんなとき?
遊びに夢中、こわいものに遭ってパニック、好きな食べ物が目の前にある、などの時は、意識がそこに向いて他のことが見えないまま行動するので、選択ミスをしがち。
また、子犬や若い犬は、学習の蓄積がないので、選択ミスも多いといえる。
そして、犬は自分の運動能力、体の大きさはある程度把握しているが、急に太ると自分の認識と体の重さや幅、太さがずれてくるため、できると思ってやった行動が失敗に終わることがある。
加齢によっても選択ミスは増える。若い時は軽くできたジャンプで、足を痛めたりする犬も。
けがや病気の犬は、薬などを飲んで症状が抑えられている時に通常通りに動いてしまうと、結果的に悪化してしまうことがある。飼い主さんが犬の動きをセーブし、無理させないようにしよう。
選択ミスでどんな怪我やトラブルが起こる?
高いところに飛び乗ろうとして足を踏み外したり、高いテーブルから落ちたり、ソファのすきまに足を入れて取れなくなり、足をひねって、靭帯を傷めることなどがある。
誤飲によるトラブルも。梅干しや桃の種を飲み込み、腸に詰まれば、開腹手術で取り出す必要がある。食品を包んでいたラップやビニール袋は、飲み込むと胃酸の作用で固くなり、腸閉塞の原因に。焼き鳥の串は、うっかり飲み込むと内臓を傷つける。
飼い主さんの薬を誤飲する犬もいるが、犬の何倍もの体重の人用に処方された薬は刺激が強すぎる。人間用のキシリトールガムは、キシリトール含有量が多く、犬は中毒を起こすリスクが。たばこを食べたり、灰皿の水を飲んでしまい、ニコチンの作用で嘔吐してしまう犬もいる。このほか化粧品のキャップなどを飲み込んでしまうケースも。
誤飲の危険があるものは犬の届かない場所に片付けよう。
犬がどんなミスをしたら危険信号?
これまでできたことを急にミスするようになったり、やらなくなった場合は、病気やけが、あるいは加齢のせいかもしれない。
犬も年をとれば注意力が低下したり、短気になったり、好奇心がなくなったり、視力が衰えたりする。また病気や体の不調などのトラブルを抱えている時は、イライラしたり集中力がなくなったりする。こうしたタイミングで選択ミスは急に起きやすくなる。
重大なけがにつながりかねない選択ミスが重なる場合は、まず体にトラブルがないかを確認し、対策をとることが肝心だ
犬の失敗は気づかないフリが基本
周囲に失敗を笑われることで『みんなが楽しそうにしているから自分も楽しい』という感じではしゃぐ犬もいるので一概にはいえないが、日本犬は選択ミスで失敗した時にプライドが傷つきがちだ。
どんな犬の場合も、失敗を飼い主さんがばかにしたり、けなしたりする態度は伝わるので、避けよう。
犬が失敗した時に、叱ることもやめたほうがよさそうだ。飼い主さんの叱責が激しいと、犬は叱られたくないがゆえに『どうしたら叱られないか』だけを考えて行動するようになる。すると『ここを歩いたら危険だからやめよう』といった本質的な判断ではなく『ここを歩いたら叱られるからやめよう』というように、判断基準が飼い主さんの顔色になってしまう。これではせっかくの失敗経験を、判断力を高めることに生かせない。
また、普段は犬をあまりかまっていないのに、失敗した後だけやさしい態度を取りすぎるのもよくないそうだ。犬は飼い主さんに優しくされたくて、わざとドジをふんでみたりすることが。実際、かまってほしくておかしな歩き方をする犬もいる。犬があまりに同じ状況で同じミスを繰り返すような場合は、接し方を変えてみるのもいいかもしれない。
失敗したら、基本的には気づかないふりをしたり、何ごともなかったようにふるまってあげること。犬が明らかに落ち込んでいる場合は、声をかけたりなぐさめたりしてもいい。
飼い主のうっかり!?犬のやっちまった……に学べ!日本犬的しくじり先生
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Shi‐Ba vol.83『柴犬たちの「こんなはずじゃなかった!」犬が選択を間違えた瞬間』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。