“イキのいいオヤツ“が巷にあふれる季節の到来。飼い主としては毎日の散歩を穏便に済ませたいが、狩りの本能が強い犬は目の前の小動物をつい捕獲してしまうことも。調子に乗ってると痛い目にあう動物を紹介していこう。
海で出会う危険な生き物
夏に海で愛犬を思いっきり遊ばせたい! と思う飼い主も多いもの。だが、浜辺、磯の潮だまり、釣り人が集う防波堤などには、意外な危険生物がいることも!
背びれと胸びれのトゲに猛毒
ゴンズイ
関東以南の浅い海に生息。背びれと胸びれのトゲに猛毒があり、重症の場合は患部が壊死することも。防波堤やテトラポット周辺で釣り上げられた後、放置されていることがあり、死んだゴンズイを触ったり踏んだりしてもかなり危険。
背びれのトゲに猛毒が!
オコゼ
オコゼのトゲに刺されると、猛烈な痛みに襲われる。中でもダルマオコゼは痛みが手足全体に広がる他、人間でも2~3時間で死に至ることも。「オコゼに満潮時に刺されると、干潮になるまで痛む」と言われるほど、毒性が強い。
刺された時の痛みは半端ない
ミノカサゴ
暖かい海域を好むが、本州、四国、九州、沖縄などに主に生息。ある地域ではこの魚のことを「七日走り」(刺された後の痛さは7日間走り回るほどだから)と呼ぶそう。背びれ、腹びれ、尾びれに毒腺があるトゲを持っている。
「殺人ダコ」の異名を持つ
ヒョウモンダコ
唾液に猛毒のテトロドトキシンを含む危険なタコ。南の方に生息するが、最近では日本海や大阪でも捕獲されている。とにかく「鮮やかなヒョウ柄の10cmくらいの小さなタコ」を見たら、絶対に触らないでその場から離れよう。
毒を持っているウニもいる
ウニ
日本には100種類以上いると言われるウニ。中でも危険なのはカンガゼ(岩隠子)というウニ。殻の長いトゲに毒があり、刺さると激しい痛みを引き起こす。また、トゲが長く折れやすいので患部に刺さったまま抜けないこともある。
ショック症状を起こすものも
クラゲ
日本には30種類ほどのクラゲが生息していると言われる。よく見かけるのはミズクラゲ。毒性は強くないが刺されるとかゆみを伴う。強力な毒を持つのが、アカクラゲ、アンドンクラゲ、カツオノエボシ、ハブクラゲなど。
ひれに刺されると激しい痛みが
アイゴ
背びれや腹びれのトゲに毒がある。刺されると激しい痛みを引き起こす。よく釣られる魚なので、防波堤などに置かれていることも多い。地域によって、バリ、アイ、モアイ、イバリ、イタイタ、シャク、ヤー、など呼び方もいろいろ。
▼開放的な気持ちを引き締めリードの装着を
防波堤やテトラポットのある釣りスポットには、釣り人が置いていった魚(食べられないから放置したわけだし)や釣り針なども落ちていることがあるので要注意。
弱って浜辺に打ち上げられた危険な生物を、興味本位で犬が触っているうちに毒に触れていたなんてことも考えられる。
初めて行く場所で、自分が知らない生物を見たら、まずは触らないこと。そしてもちろん、犬を近づけないこと。
海は開放的な気分になりがちだが、必ず犬のリードはつけておき、どんな場合でも犬をコントロールできるような状態にしておくことが大切だ。
危険生物もいる海辺だが、ガラスや貝殻などで犬が足を切って大出血することの方が実は多いそう。
この夏、犬を連れて海で遊ぶ予定のあるご家庭は、十分に注意してほしい。
川で出会う危険な生き物
マイナスイオンを体いっぱいに浴びての川遊びは気持ちいいもの。しかし、川などの水辺に住む生き物には寄生虫がいるものも多い。早速どんな危険があるのか見てみよう。
肺吸虫という寄生虫を持つ
サワガニ
居酒屋などで唐揚げで出てくることもあるサワガニ。でも加熱が不十分だったり生食は危険。肺気腫や気胸を引き起こす、ウェステルマン肺吸虫や宮崎肺吸虫という寄生虫を持っている。川の上流から中流、小川に生息。
横川吸虫という寄生虫あり
アユ
横川吸虫を食べたカワニナ(巻貝)を食べたアユに寄生する。アユやシラウオなどの淡水魚が中間宿主となる。寄生虫がたくさんいるアユを食べて感染した場合は、腹痛や下痢などの症状を引き起こす。もちろん生食はNG。
沼や池に住むので雑菌も多い
ザリガニ
ザリガニもサワガニ同様、生食はNG。ザリガニミミズという寄生虫が、頭やお腹の周りに目視できるほどうようよと寄生していることがある。生息地も沼や池、堀などが主なので、雑菌も多く持っている。
サルモネラ菌がいっぱい
カメ
カメなどの爬虫類の50~90%はサルモネラ菌を持っていると言われている。感染すると胃腸炎症状を引き起こしたり、小児の場合は意識障害が出ることも。犬を媒介にして人に感染しないよう、十分な注意が必要だろう。
噛まれると足がちぎれる
スッポン
食いついたら離さないと言われるスッポン。人が指を噛み切られるという事例もあるほど。また、野生のスッポンは特に寄生虫や病原菌を多く持っているので、スッポンがいると言われる場所には近づかないほうがベター。
最悪の場合死に至る
ヒキガエル
耳の後ろにある耳腺から毒汁を飛ばすヒキガエル。背中のイボからも牛乳のような白い有毒の粘液を分泌する。毒の主成分はブフォトキシンなどのステロイド。犬が舐めると泡を吹く、嘔吐、呼吸困難、痙攣、最悪死に至ることも。
マンソン裂頭条虫を媒介
上記以外のカエル
カエルは犬にマンソン裂頭条虫(成虫はきしめんのような平べったく長い寄生虫)を媒介し、さらには人へも感染することがある。カエルの生息している田んぼや池の水を飲むことやカエルを食べることで感染。夏は特に要注意だ。
▼山の奥に入れば、害獣に遭遇する可能性も増える
川や沼、池に住む生物で危険なのは寄生虫だ。実際に日本各地に見られる横川吸虫という寄生虫は、1~1.5㎜の小型の吸虫でアユ、ウグイなどの川魚に宿っている。これらの魚を生の状態で犬が食べると、慢性腸カタルの症状が出るし、人にも寄生する。要注意だ。
そして、やはり河原で釣り人が置いていった魚や、池のほとりに打ち上げられている魚の死骸などにも犬を近づけないこと。毒物で死んでいる可能性もあるからだ。
また、最近ではペットとして飼っていた生き物を飼いきれなくなって水辺に捨ててしまう不届きな人もいる。たまにニュースなどでも話題になるが、カミツキガメやワニガメなどに噛まれると、大惨事になりかねない。茂みに覆われている水辺は視界もきかないし、ヘビも生息しているし、ダニ、ノミ、蚊の温床でもある。近づかないにこしたことはない。
犬は喉が乾くとすぐに水を飲んでしまうが、川、沼、池の水には細菌がたくさんいたり、場合によっては付近の産廃場などからの汚染物質が流れ込んでいることもある。一見透明できれいに見える水でも、飲ませないようにしよう。
そしてよく考えれば、川の上流は野生動物の命をつなぐ大事な水場でもある。山深い所に行けば、クマ、シカ、イノシシ、サルなどに出会う確率も高くなる。飼い主としては慎重な行動を心がけたいものだ。
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Shi‐Ba vol.90『飼い主ならば知っておきたい! 夏に出会う危険な生き物』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。