声で伝わるお互いの気持ち。犬が鳴く時『家庭犬』の場合...…

室内飼いによる生活環境が、柴犬の表現力を豊かにしているという。飼い主とのコミュニケーションを中心に声色を使い分ける、イマドキの犬たちが鳴く状況を見てみよう。
 

 

犬が鳴く時『家庭犬』編

犬の鳴き声

・要求
「要求吠え」という言葉がある。ご飯が欲しい時、散歩に行きたい時、玩具が欲しい時など、犬は飼い主に何かして欲しい時には、その目をジッと見ながら吠える。時には「キュ~ン」ってな甘え声を交えながら、飼い主が要求に屈するまで吠えつづける。一度このやり方で味をしめた犬は、その技巧にはさらに磨きがかかってくるようだ。
 
・満足
食欲も満たされ、たっぷり遊んでもらって大満足。そんな時、犬の表情にも満足した感じがありあり。もはや何も要求することはない。要求することがなければ、鳴く必要もないのだが……撫でてやると「フ~」と微かに吐息が漏れてくることも。これが、満足した時の声なのか? しかし、溜息にもよく似た感じで判別が難しい。
 
・楽しいぞ
興奮した時に犬は鳴く。だが、興奮にも種類は多々あり。怒って興奮するだけではなく、楽しい時にもまた感情のボルテージは急上昇。大好きな玩具を投げて遊んでやると「ワン、ワン、ワン」と鳴いて大はしゃぎ。この時の鳴き声は、不審人物に対する警戒の鳴き声とは違って、甲高い感じ。楽しそうな雰囲気は飼い主にも伝わってくる。
 
・構って
ゲージに入れられてる時、飼い主をジッとみつめながら「ワン!」とひと鳴き。鋭い感じはしないが、そこにはハッキリとした何らかの意志を感じる。「出してくれ」「俺と遊べ」と、これも要求吠えの一種だろうか。これも飼犬として暮らすうち、学習して覚えた意志の伝達方法だといわれるが……飼い主的には犬に命令されている感じが。

 

犬にとって声とは何か?

犬の鳴き声

Q.犬の鳴き声は人の言葉と同じか?
犬は鳴き声で何を伝えようとしているか、また、犬は人の言葉を理解しているのかといった研究は、近年になって始まったばかり。現段階では謎の部分が多い。しかし、犬は同族であるオオカミやジャッカルと比較して、頻繁に鳴くことがわかっている。「鳴く」という行為に、犬なりの理由があることは確実。それが「意志を伝えあう行為」というのは、理由としてもっとも有力だと思われている。

 
Q.犬は鳴き声を使い分けている?
犬の鳴き声には様々な音色がある。鳴き声を変えることで、様々な情報や自らの意志を仲間に伝えている。そうでなければ、鳴き声を変える必要はない。鳴き声の違いで他の犬の意志を察することができるということは、人が話す音色の違いから、感情を読み解く能力はあると考えられる。また、犬の音域は人の2~3倍あり、人には聞き分けられない声色を使い分けている可能性もある。

 
Q.声から感情を読む能力は先天性?
犬はまた、異種族である人類の言語もある程度は理解しているようだ。犬同士が鳴き声で意志を伝えあう能力は先天的なものだろう。犬はその能力を応用して、人の言葉を識別できるようになった。それはおそらく、人と接しながら学習して習得したものだろう。犬は人と共生して生きることで種を保存してきた動物だけに、飼い主の意志を知ろうという意欲も強いはずだ。

 
Q.犬種によって鳴き方は違う?
ニューギニアには、鳥が囀えずるように変化に富んだ遠吠えをする犬がいる。また、アフリカ産のバセンジーという犬種はほとんど吠えない。いずれも日本犬同様、系統的に最もオオカミに近い原始的な犬種だと思われが、鳴き方の傾向は真逆。犬の鳴き方は、系統の近さよりも環境による変化が大きいのかも。犬はもともと使役目的で飼われていた動物であり、狩猟犬や牧羊犬、番犬などその用途によって、鳴き方は違ってくる。また、同じ牧羊犬でも目で羊を威嚇して誘導するボーダーコリーと、鳴き声で羊を追い立てるシェルティとでは違う。ペットとして飼われる家庭犬もまた、室内外飼いの環境の違いで、鳴き方が違うことがある。たとえば、飼い主に甘え鳴きするのは、外飼いよりも室内犬に多い印象がある。

 

英語で表す犬の鳴き声

日本語と英語はまったく違う言語である。そりゃ誰もがわかる。ならば、日本の犬と英語圏で暮らす犬とでは、言葉も違うのか!? それについては不明だが、少なくとも日本語と英語とでは犬の鳴き声の表し方も違う。日本語で「ワン」に相当する鳴き方は、英語では「bark」。カタカナで表記すると「バーク」だろうか。また、日本語で「ガルル」といったうなり声は「growl」、「ワォ~」という遠吠えは「moan」となる。

 

室内飼いが犬の表現力を鍛える?

犬の鳴き声

環境に素早く適応して気質や身体を変化させる。それが生物が生き残るために不可欠な資質。

当然、犬もまた環境適応能力に優れた生物だ。番犬から愛玩犬に職種替えして、室内飼いされるようになった柴犬も、昔とはかなり違ってきてるようで……昔のように無口で無表情で「不器用ですから」ってな感じの高○健さんみたいな感じの犬は少なくなった。

いまどきの室内犬は、みんな表情豊かなのだ。飼い主のアクションに対して、上○竜兵さんとか出川○朗さんのようなリアクションをみせてくれる。こういった時、鳴き声もまた重用な表現ツールになる。

かつては警戒モードの時と相場は決まっていた柴犬の鳴き声も、最近では甘えたり、何か要求したり、遊びで興奮したり、様々な局面で微妙に声色を変えながら、豊かに感情を表現する。

また、鳴き声のボキャブラリーも、飼い主との濃厚な接触で増えてゆくものなのかもしれない。
 

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Shi‐Ba vol.82『声だけで伝わるお互いのキモチ 犬の鳴き声 飼い主の泣き声』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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