自然で健康的なライフスタイルは犬からも学べるのだろうか?今回は犬の健康法に迫る。
自然健康法ってなに?
人は健康を求めていろいろな工夫をしてきた。オシャレなヨガやマクロビオテックから、伝統の乾布摩擦までさまざまだ。
試行錯誤を繰り返す人を横目に、犬は草を食べ、ミミズの上を転がり、ひなたぼっこを楽しみ、元気に暮らしている。
何も考えていないように見えるが、犬も健康のために命をかけているのだろうか。
犬を含め動物は、健康を意識して何かをすることはない。健康法ではなく、生きるための知恵といった方がいいだろう。
例えば、動物はミネラルの補給のために草や土を食べるが、これは生存に必要な栄養素を摂取するため。本来は健康が目的ではないけれど、結果的に体調を良好に保てるので、健康法に見えるのかもしれない。
動物にとって健康法とは、生きていくためのすべ。特に野生動物は弱肉強食なので、元気でなければ死につながる。実は人以上に命がけなのかも?
また、動物は本能に加えて経験からも学ぶ。例えば、身の安全を確保するために、嫌なものや怖いものは特に覚える。
動物が仲間同士で知恵を教え合うのかは分からないが、仲間の真似をすることはある。犬の多頭暮らしの家庭で、2匹目が1匹目の真似をすることもあるだろう。
犬が行なっている健康法
■異物は少し食べて確認
トイレシートやゴム製オモチャなどを、イタズラして噛むことがある。しかし、異物は少し噛む程度で食べ物ではないと判断して、通常は大量に食べない。
■よく寝る
犬は成長するにつれて、必要な時以外は動かなくなる。動くと体温が上昇するので、暑い夏はほとんど動かない犬が多い。防衛本能のひとつと考えられる。
■毒がある生物は食べない
毒がある生物は派手な色や強いにおいを発している。毒カエルや毒ヘビは相手に警告して、食べられないように身を守っている。それを察知して接触を避ける犬が多いはず。
■草を食べる
ミネラルの補給や胃腸の調子を整えるために食べる。主にとがったイネ科の草を本能で選ぶ。野菜の味が畑の土で決まるように、生えている土壌も関係している。
■ニオイの強いものにゴロゴロ
自分のにおいを消すために、ミミズやウンチなどの上で転がる。外敵から身を守るための知恵と考えられる。外部寄生虫を落とすために砂の上をゴロゴロする犬も。
食生活は生存に関わる最も大切な健康法
野生動物は生きるために必要なことが本能として備わっている。加えて、仲間の真似や経験。
生存に直結することだけれど、自然に実践している健康法はたくさんある。動物にとっては日々の食事の仕方も重要。
獲物を食べる時、口にする部位の順番にも意味がある。オオカミやコヨーテなどの野生のイヌ科の動物は肉食系雑種。たんぱく質の肉以外も重要なので、獲物を捕まえた後、ビタミンや酵素を含む内臓から食べる。内臓は傷みやすい部位なので、栄養素を効果的に摂取するため、真っ先に食べるのだろう。ライオンやチーターなどのネコ科の動物はほぼ肉食なので、獲物の筋肉から食べる。
一方で家庭の犬の食事は市販されているドッグフードが中心。加えて、散歩の時にそのへんの草をモグモグと食べることがある。草を食べる理由は、ミネラルの補給や胃腸薬代わりと考えられている。
しかし、空腹の足しや水分補給、暇つぶしで食べる犬もいる。
ただ、食べる草を選んでいることは間違いない。犬が食べる草はイネ科のとがった草が中心だが、市販されているペット用の草に見向きもしない犬もいる。
形状に加えてにおいや栄養素などを考えて選んでいるはず。特定の場所の草を好む犬もいるので、その土壌に多い塩分や亜鉛などの成分を含んだ草を、必要に応じて選んでいるのかもしれない。
これらのことから、犬にとって食事は最も大切な健康法といえるだろう。
関連記事:なぜ食べる?そもそも食べさせていいものなの?草食柴犬の取り扱い説明書
人が真似できる健康法とは?
今は人が犬の自然な生活に制限をかけている状態。
人の社会で暮らす以上やむを得ないことだが、まずは犬の暮らしを向上させてあげたい。
早寝早起きの規則正しい生活は基本中の基本。
加えて、散歩を工夫して運動量を増やそう。
また、食生活も大切。大腸がんになる日本人が増えている理由は、食事の欧米化が原因といわれている。日本の犬にも影響が出ている可能性がある。昔の食生活に近い魚を食べた方がいいだろう。
このように犬の生活の向上を意識することによって、飼い主の生活も向上し、結果的に人の健康法につながっていく。
ぜひ実践してみよう。
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Shi‐Ba vol.72『犬たちのなにげない行動は生きていくための知恵だった!? 柴犬に学ぶ 自然健康法』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。