原因がわからない不調で思わず疑ってしまうのがストレス。でも、ストレスの正体って何? 正しく知って、愛犬の心と体の健康を守ろう。
1.プードルが感じるストレスの原因
1-1 病気
1-2 環境
1-3 心の負担
2.ストレスを感じやすい犬種は?
3.ストレスからくる困った行動
4.悪いことだらけではないストレス
5.ストレスに強い体にするには?
6.適度なストレスが健康生活の鍵
プードルが感じるストレスの原因
ストレスの要因となるものは大きく分けて「病気・環境・心意的」の3つ。愛犬にストレスによる不調を起こさないためにも、当てはまるものはチェックしてみよう。
1.病気
□ 痛み
□ かゆみ
□ 食事が十分にとれない
□ 下痢 etc……
◆既に不調を抱えていないか?
体の一部に強い痛みを感じる、耐えがたい痒みがあるなど、自分の体が思い通りにならないことがストレスに繋がる。怪我が原因でもストレスによって、下痢や嘔吐など他の病気を併発する場合もあるので、早めの治療が必要。
◆治療方法
怪我を負っているなら手当てや痛みの緩和を、アレルギー症状などで痒みが出ているようであれば、それを和らげる薬を処方するなど、それぞれに合わせた治療を施すことが根本原因を取り除くことに繋がる。
多くの犬は怪我や病気自体にストレスを感じるので、完治すれば問題がなくなるケースが多い。
また、食事に関しては病気で十分食べられないことからくるイライラだけでなく、栄養バランスが欠けていることからくるイライラについても報告がされている。
体の健康だけでなく、心の健康という面でも普段から食事には気をつけたい。
2.環境
□ 運動不足
□ 不適切な室温
□ 不衛生
□ 騒音
◆身の回りは適切な環境か?
散歩や遊びの時間の不足や過多、室内が暑過ぎたり寒過ぎたりする、ケージ内の排泄物が処理されていないなど、環境の悪さがストレスの原因に。
また、騒音や雷などの恐怖から、その予兆と共に落ち着かなくなるケースも。
◆治療方法
愛犬が置かれている環境を改善することが治療の近道。
運動不足なら散歩や遊びの時間を増やす、暑すぎる室温ならエアコンなどで適切な温度に調節する、など家族の協力を得ながら改善していきたい。
音に対しては、犬は人間が思っている以上に敏感。人間には「道路工事をしているな」と理解できる音でも、犬には得体の知れない音になり、不安を感じる要素に。留守中にこうした音が続くと、留守番自体が苦痛になるので、ストレスを感じる音や類似した音に対しては、飼い主が傍にいる時に徐々に慣らしていくように訓練する。
3.心の負担
□ 恐怖
□ 緊張
□ 対人・対犬関係
□ 不安
□ 寂しさ
◆精神的に追い詰められていないか?
身の危険を感じるほどの恐怖や、散歩中に出会う人や犬に対して過度の緊張をすることで、強いストレスを生むことがある。また留守番時の分離不安や、飼い主から関心を示してもらえない寂しさが引き金となって、体の不調に繋がることもある。
◆治療方法
飼い主さんの生活状況や偶発的な出来事など、物理的に根本原因を取り除くのが難しいケースが多い。
そのため、まずは刺激を受けた時に不安をもたらしたものに少しずつ慣れさせることで、ストレスを軽減していく方法を取る。
分離不安であれば、飼い主不在の時間を徐々に増やしていくなど、やり方はさまざまだが、専門のトレーナーと一緒に訓練することが望ましい。
精神的に不安定な状態が長く続くようであれば、サプリメントや抗うつ剤を併用して治療を行うことも。犬によっても効果にばらつきがあるので、あらゆる種類のものを試すことで体に合ったものが見つけられる。
ストレスを感じやすい犬種は?
個体差があるので一概には言えないが、室内で飼い主と一緒に暮らしていることが多いので、身体的・心理的に互いの距離が近く、それに伴うストレスを感じることは多いと言えそうだ。
どこへ行くにも飼い主の後追いをするなど、依存性の行動が見られるコは、普段面倒を見ている飼い主が会社勤めを始めて家を空けるようになった、子供が生まれて遊びの時間が取れなくなった、などの環境変化が心理的な負担になる可能性が高い。
日常の生活で愛犬と適切な距離が保てているか、一度見直す必要があるかもしれない
ストレスからくる困った行動
ストレスは体の不調のほかに、さまざまな行動となって表れることがある。愛犬に当てはまる行動がないかチェックしてみよう。
・あくびを頻繁にする
大きなあくびを何度もしている犬を見ると「眠いのかな?」と考えがちだが、これは緊張や不快感、体調不良を感じている時の兆候。
・動き回って落ち着かない
うろうろ部屋中を歩き回る、キョロキョロとまわりを見るなど、長時間落ち着かない様子が見られる場合は要注意。
・唸り声をあげる
自分の優位性を示すためや、遊びの中で興奮しすぎて出てくる場合もあるが、ストレスが原因で唸ることもある。
・噛み付く・攻撃的になる
ストレスが原因で、おとなしかった犬が噛みつくようになるなど、攻撃的になる。他人への事故につながる可能性もあり注意が必要だ。
・体の一部分を舐め続ける
前足や爪を舐め続けたり、一定の場所だけをかじり続ける。結果、その部分だけ毛が薄くなったり、炎症を起こすこともある。
・無駄吠えをする
他人の訪問に敏感になり大きな声で吠え続ける、留守中に長時間にわたって飼い主を呼び続けるなど無駄吠えが増える。
・パンティングをする
部屋が暑くないのに、舌を出してハアハアと息を切らしている場合は、何らかのストレスを感じているのかもしれない。
・シッポを追いかける
自分のシッポを追いかけてクルクル回る、シッポを噛むなどの行為は、好奇心で行う場合もあるが、ストレスサインであることも。
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悪いことだらけではないストレス
普段、「ストレスを撃退しよう」とか「ストレスが原因でうつになる」といった言葉を聞くことが多いので「ストレス=悪いもの」と捉えている人も多いかもしれない。
しかし、ストレスは健康的な生活を維持するために必要なものだ。
その理由を説明するために「ホメオスタシス」(生体恒常性)について触れてみたい。ホメオスタシスとは環境の変化があった時に、体を正常な状態に保とうとする機能のこと。この機能によって、気温が下がっても平熱を保ち、病気になれば健康な状態に戻そうという力が働くのだ。
何らかの理由で生命の危機を感じたり、健康を害する状況になるとホメオスタシスを保つため、ストレスを体に感じさせる必要がある。不快感や恐怖などのストレスは、体や心の負担になるものを避けようとしたり、問題を解決する動機につながるため、体にとってなくてはならない存在なのだ。
ストレスに強い体にするには?
適度なストレスに時々さらすことで、ストレスに強い体を作ることができる。
かえって室内の適度な温度や快適な環境だけで過ごしていると刺激に過敏な犬になってしまうことも。
様々な音を聞いたりにおいを嗅いだり、知らない人や犬、物に出会うといった刺激を受けるためにも、積極的に外に出かけたい。
また、飼い主と離れる時間をほどほどに与えることで、留守番時に起こる出来事に対して似たような体験を重ねられ、ストレスにも強くなる。
適度なストレスが健康生活の鍵
ストレスの仕組みやストレスの原因・困った行動について探ってきたがストレスを感じやすいタイプについてはどうだろうか? 「神経質なタイプ」につい目がいきがちだが「いつも穏やかで困った行動を起こさない」タイプこそ、注意が必要かもしれない。
好き・嫌いの意思表示ができる犬はストレス対象を避ける行動ができるが、おとなしい犬は我慢を溜め込む傾向にあるからだ。急に重い症状となって表れることもあるので、よく観察して、嬉しいことや嫌なことのサインを見逃さないでほしい。
ところで、犬はストレスのない生活を本当に望んでいるのだろうか?大切なのは「適度なストレス」を「犬の個性に合わせて」与えてあげること。マラソンが好きな人にとっては、適度な走行距離は楽しく感じるストレスだが、長すぎる距離は苦痛になるし、嫌いな人にとっては悪いストレスになる。同様にある遊びが大好きな犬がいれば、ストレスに感じる犬もいる。
今後も愛犬の心と体を強くするため「楽しく感じるストレス」の経験をたくさんさせてあげよう。
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プードルスタイル vol.19『ストレスフリーなプードル生活 ストレスと体の不調』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。