犬びより

日本犬、コーギー、チワワ、ダックス、プードル、鼻ペチャ犬のためのwebマガジン

愛犬の気持ち伝わっている?ボディランゲージ解読法【基本編】

2018/06/21

facebookでシェア ツイートする LINEで送る


ボディランゲージはコミュニケーションの手段のひとつ。社会生活を営む人や犬などが、気持ちを伝えるために使う。本特集では犬のボディランゲージを紹介しよう。
 

ボディランゲージを読み取る時の注意

犬の性格や行動を思い込まない
愛犬は犬に寄っていくからフレンドリー、友達犬に会うと尾を振るから仲良し、とは限らない。性格や行動への思い込みを捨て、ボディランゲージを見る。

擬人化しないで
犬のしぐさを見る犬のボディランゲージは人と異なるものも多い。人は叱られた時にうつむくしぐさが反省を表すが、犬はそもそも反省しない。意図を正しく読み取ろう。

動画を撮影して
客観的に見る散歩や来客の時に犬の様子を撮影する。ボディランゲージや状況を客観的に見られる。一瞬で終わるものあるので、スロー再生ができればわかりやすい。
 

犬は言語よりもボディランゲージが発達した

ボディランゲージとは、表情、しぐさ、行動を使うコミュニケーションの手段を指す。社会生活を営む人や犬など多くの動物が使うもので、自分の気持ちを相手に伝えたり、自分や相手を落ち着かせたりする。ボディランゲージは他者との円滑な交流や、トラブルの防止に重要な役割を果たしている。

例えば人の場合、威圧的な人が向かってきたから目をそらす、相手の話をうなずきながら聞く、という行動がボディランゲージに含まれる。犬は人のように言語が発達しなかった代わりに、ボディランゲージをよく使っている。

犬のボディランゲージは、人と共通しているものもあるが、犬独特の表現も多く見られる。訴えを正確に読み取れば、豊かなコミュニケーションが可能。また適切な対処ができるようになるので、良好な関係づくりにも役立つ。

ボディランゲージを解読するために、まずは注意と種類を知っておこう。

 

犬のボディランゲージは3種類


 
基本の表情・しぐさ・行動
犬が生まれつき備えているボディランゲージが、基本の表情・しぐさ・行動。瞳孔が開く、毛が逆立つ、筋肉が緊張する、などの生理的な現象も含まれる。日本犬は状態の変化がややわかりにくい傾向がある。

 
カーミングシグナル
自分や相手を落ち着かせてトラブルを防ぐ役割があるカーミングシグナルとは、自分や相手を落ち着かせる(Calming)合図(signal)のボディランゲージ。自分の状況や感情を伝えたり、自分や相手を落ち着かせたりする役割がある。平常心ではない者同士が接近すればトラブルのもとになるからだ。

例えば、興奮状態で接近してきた相手に「近寄らないでほしい」「敵意はない」と伝える。相手に落ち着きをうながすとともに、平常心ではない自分(緊張、不安、恐怖、興奮、葛藤など)を落ち着かせる役割がある。怖い物(傘や自転車)に遭遇した時にも使う。

社会生活を営むためには、他者と円滑なコミュニケーションを図り、平和に暮らすことが重要。カーミングシグナルは、犬が生まれつき備えている本能的なボディランゲージだ。

 
身につけた合図


 
飼い主と意思の疎通を図るために編み出した合図。犬のボディランゲージの中には、飼い主との暮らしで身につけた合図もある。例えば、人のひざにあごをのせたり、じっと見つめてアピールしたりする行動だ。

犬が生まれつき備えているカーミングシグナルや、基本の表情・しぐさ・行動は、犬に通じても人に通じないことも。人も目をそらしたり胸を張ったりしてボディランゲージを使うが、言語のコミュニケーションが中心。読み取るのが得意ではないのかもしれない。

社会性がある犬にとって、共に暮らす者(飼い主)と言葉が通じない事態は一大事である。飼い主に自分の気持ちを伝えるために、いろいろな動作を試す。これらの中で成功した行動が定着し、成功しなかった行動はやめる。

身につけた合図は、使う相手はほぼ人に限られること、各家庭のオリジナルが多いことも特徴だ。種類が多いほどコミュニケーションが密である反面、飼い主が犬の言いなりになっているケースもあるだろう。犬が飼い主を思いどおりに動かすために、編み出したボディランゲージともいえる。

愛犬が身につけた合図がまったくない場合、飼い主が犬の動作に気づかなかった、あるいは無反応だった可能性がある。コミュニケーションを見直したほうがよいかもしれない。

 

カーミングシグナルが出るシチュエーション

日本犬がカーミングシグナルを出しやすいシチュエーションを紹介しよう。つまり、平常心ではなくなり、緊張、不安、興奮、葛藤などを感じている状況だ。愛犬のカーミングシグナルを読み取って、適切な対応を心がけたい。

・見慣れないものを発見した
・見知らぬ犬に出会った
・無理矢理撫でられた
・急に抱きつかれた
・カメラを向けられた
・飼い主に叱られた
・見知らぬ人が接近してきた
・友達犬と思いっきり遊んだ
・犬にしつこく挨拶された
・苦手なものを発見した
・犬がいる家の前を通った
・「散歩」と声をかけられた
 

犬のしぐさを人も真似できる


犬のカーミングシグナルは、人が真似して使うこともできる。犬を落ち着かせたい時に、ゆっくりした動きで行うこと。急な動作や見慣れない行動は、かえって警戒させてしまうので注意しよう。
 
1.視線をそらす、あくびをする
見つめ合う状態は敵意を意味するので避ける。まずは小さい動作のカーミングシグナルを使って敵意がないことを伝える。
 
2.顔をそむける
1で不安や興奮が収まらない場合は、少しだけ動作を大きくしたカーミングシグナルを使う。
 
3.犬に背中を向ける
2で落ち着かない場合はより明確なカーミングシグナルを。犬に対して背中を向けて待ってみよう。
 

呼吸の上手な使い方

カーミングシグナルではないが、呼吸を意識することも落ち着かせるために役立つ。人も犬も緊張すると呼吸が浅くなり、体も硬くなる。互いにリラックスするために、人がフ~ッと長くゆっくりした息を繰り返すことも有効。
 

Q&A

ボディランゲージに関する疑問をまとめてみた。これを知れば愛犬とのコミュニケーションがもっと豊かになるはず!

Q.犬がよく使うカーミングシグナルは?
頭をそむける、視線をそらす、におい嗅ぎ、エアーセント、などは比較的よく使われる。個体差もあるが、日本犬はマウンティングも多い傾向がある。

 
Q.ボディランゲージとそれ以外の行動を見分ける方法は?
静止のカーミングシグナルは、単に止まっただけのようにも見える。その状況に置いて「脈絡のない行動」がカーミングシグナルを見分ける目安。例えば、見知らぬ犬に会った時ににおい嗅ぎをしたり、あくびをしたりした時。今その行動をする必要がなく、脈絡がない。それらはカーミングシグナルの可能性が高いといえる。

 
Q.イヌ科のボディランゲージは同じ?
似ているがイコールではない。犬とジャッカルのMIXは、犬にもジャッカルにもボディランゲージが通じなかったとか。社会化期に同種と接触する機会がなかった可能性もある。

 
Q.カーミングシグナルを使えない犬はいますか?
カーミングシグナルは、基本的に全ての犬が生まれつき備えているといわれている。カーミングシグナルの使い方がわからなくなってしまった犬に対して、安定した他犬と人がカーミングシグナルを繰り返し送ることで、使えるようになる場合も。「教えた」のではなく、「引き出した」ことになる。

 
Q.カーミングシグナルを使えば犬を落ち着かせる号令は不要?

犬はカーミングシグナルを出しても興奮がおさまらない場合もある。そんな時のために、犬にしてほしい姿勢をしっかりと伝えられる「フセ」などの号令を教えておくと、犬も理解がしやすく行動が安定しやすくなるのでよい。教えた号令を犬が聞けない状態であれば、その状況の刺激が強すぎる可能性が高いので、すぐに立ち去ろう。

 

緊張、恐怖、興奮などを自力で収めることも大切


犬のボディランゲージの中でも、カーミングシグナルを頻繁に使っている時には注意が必要だ。

カーミングシグナルは、平常心ではない時に使うボディランゲージ。それを繰り返している場合は、ずっと緊張、恐怖、興奮などが続いて収まらない状態だ。犬の心身に負担がかかっているので、原因を取り除いてあげる必要がある。

しかし、カーミングシグナルを使わない犬の方がよいともいえない。緊張、恐怖、興奮、葛藤などは、人も犬も日常生活でごく普通に起きる感情。それ自体は決して悪いものではない。自力で落ち着けた経験を積める。また、自分のカーミングシグナルに対する相手の反応から、社会生活を営むうえで必要な学習もできる。

カーミングシグナルは、複数のシグナルが同時や連続して現れることが大半。見逃さないように注意したい。
 
Shi‐Ba vol.81『犬の体は気持ちを伝える。ボディランゲージ解読法』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。