犬びより

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愛犬が膵炎と診断されたら食事はどうする?検査方法、治療方法を解説

2018/11/05

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膵炎の検査内容

 
【主な検査】

1.血液検査でわかること

血液を遠心分離機にかけ(場合によっては試薬と混ぜる)、血清部分を自動分析器で測定。院内検査の場合、採血量は約1~2cc。下記の他、アミラーゼ、脱水の程度、胆汁うっ滞、高脂血症、急性腎不全の指標などもわかる。

CRP=短時間の間に血中濃度が変動する蛋白を測定したもの。重度の膵炎の場合、数値が上昇する。この数値で体にどの程度の炎症が起きているのか判断できる。

Lipase=膵臓の細胞が障害を受けたり破壊されると、血液中のリパーゼ(脂肪を消化する酵素の一つ)の量が数百倍にも増える。

TLI=膵臓から分泌されるトリプシノーゲンを反映する検査で、正常値以下では膵外分泌が十分に行われていないことを示す。(※トリプシノーゲン=蛋白質を分解する酵素の一つで、トリプシンの一歩手前のもの。膵臓でトリプシンという完成品を分泌してしまうと、膵臓自体を消化してしまうのでこの段階ではまだ蛋白質を消化する作用を持たない)

 
2.犬膵特異的リパーゼ検査用キットを用いて

cPL=写真は未使用のキット。実際は左の青い点よりも右の色が濃くなると、膵炎の可能性が高くなる。ただし、膵炎を確定するものではない。検査結果が正常であれば膵炎の可能性が低くなり、高値であればその可能性が否定できないということ。およそ10分ほどで判定ができる。

 

獣医師と相談し納得のいく検査を

膵炎がひどくなると患部がエコーに映り、肝臓、十二指腸を中心に白っぽく見えることもある。また、レントゲンを撮った時に胃の周辺が白っぽいと、重度の膵炎の可能性がある。胃の周囲の脂肪組織がギラギラしていたら、膵炎を疑う。ただし、必ず他の症状と併せ判断していくことが大切。

診断がつきにくいだけに、様々な検査方法が用いられる膵炎。実は検査の中で一番診断が確定しやすいのが開腹手術か腹腔鏡手術で、膵臓の一部を切り取り、病理検査に出すこと。しかし、開腹手術をためらう飼い主も多いので、そんな場合、明らかに膵炎と疑える症状が出ていれば、膵臓の周囲の脂肪組織をとり、それを病理検査に出す方法もある。このメリットは、膵臓を痛めなくても良いこと。現時点で弱っている膵臓に穴を開けたり、メスを入れるのは膵炎が悪化する可能性もあるからだ。

 

様々な検査結果を統合して判断

cPL検査キットの登場で、院内でも検査が短時間で行われるようになり、膵炎と診断される犬が多くなったのも事実。ただ、cPL検査だけで膵炎と診断してしまうのはよくない。というのは、他の消化器疾患でも一時的に高値を示すことがあるのだ。ゆえに、cPL以外にTLI、CRP、リパーゼを含めた総合血液検査、超音波検査、レントゲン検査などの検査結果と照らし合わせて病気を絞り込んでいく。

それでも「ほぼ膵炎であろう」としか言えない。「確実に膵炎」と確定診断が必要な場合、開腹手術で膵臓の一部摘出、または膵臓周囲の脂肪組織を採材して病理検査を行うしかない。しかし、現時点では膵炎と確定診断されても膵炎を治す決定的治療法がないので、膵臓検査だけの開腹手術は一般的には行わず、他の手術があればついでに採材して病理検査を行い、確定診断しておくということが多い。

膵炎と診断することは、その子に一生食餌制限が必要ですとつらい宣告をすること。つらい宣告をしなくてはならない、まさに獣医師泣かせの病気と言えよう。獣医師は検査結果を指標として、患犬の症状を総合的に判断し、“膵炎の可能性がとても高い”という前提で治療を進めていくことになる。本当に膵炎であれば、霜降りの牛肉を一切れ与えただけでも命に関わる。膵炎が改善してきたか否かは主にCRPを測定して判断する。

 

具体的な治療内容は?

ひどい嘔吐、下痢、腹痛、ぐったりとしていたら即入院。その後、対症療法と食餌療法を行う

ズバリ、膵炎には特効薬や外科的治療というものがない(※蛋白分解酵素阻害薬というものがあり、投与しても害はないが効果もないとの論文発表があり、獣医師によって使う人と使わない人がいるそう)。ひどい嘔吐や下痢、腹痛やぐったりしている状態で動物病院に運ばれて来た場合は、即入院が基本となる。

輸液療法をはじめ、嘔吐や下痢、腹痛を抑える薬を使うなど、緊急の対症療法を行っていく。急性の場合は絶食、絶水で膵臓を休ませながら炎症が治るまで様子を見る。嘔吐がなくなって1~2日したら水を口から与え、順調であれば、低脂肪の療法食を与えていき、容態が落ち着いたら退院。その後、自宅での食餌療法、自然治癒、定期的な通院という流れになる。退院後も徹底的な食餌管理が生涯にわたって必要で、特に高脂肪、高蛋白の食べ物を与えてはいけないのが、膵炎治療の鉄則。

退院するその日の朝まで市販の療法食を食べていたのに、退院後自宅に戻ると療法食を一切食べず、飼い主さんを困らせるケースも多い。市販の療法食をどうしても食べない場合は、必ず獣医師と相談の上、飼い主による手作り食を与えることになる。食材例は下に挙げた通り。肉の脂身や油分は絶対にNG。膵臓の酵素をなるべく出させない食材が中心となる。体力が戻って来たら散歩や運動を適度に行うのが理想的。

 

診断がなかなかつかない時は?

嘔吐が続き、獣医師の説明に納得ができなければセカンドオピニオンの選択も

嘔吐や下痢など、他の消化器疾患と症状が似ていることもあるため、場合によっては「もう少し様子を見ましょう」と言われ、なかなか診断がつかないこともある膵炎。

激しい嘔吐は3日目で命を落とすこともある。吐き気がおさまらず、犬が苦しそうで、獣医師の治療や説明に納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを選択する方法も。

愛犬の容態が悪い時こそ、飼い主は的確な判断と迅速な行動を心がけたい。

 

手作り療法食の食材の一例

植物油、バター、脂肪の多い食品は避け、必ず獣医師と相談しながら食材の種類や割合、量を決めて与えよう

・ダイコン
低糖分の野菜を茹でたすりおろして与えてもOk。
  
・カッテージチーズ
無塩や無脂肪の物を使用。無脂肪ヨーグルトも良い。
 
・キャベツ
繊維質があるので与える時は細かく刻んで茹でてから。
 
・ジャガイモ
糖分の多いサツマイモよりもおすすめなのがジャガイモ。
 
・パスタやご飯
でんぷん質補給には、ジャガイモの他、ご飯、茹でたパスタも。
 
・ササミや白身魚
低蛋白の代表食材ササミ。皮をとった胸肉や白身魚も◎。

 

診断後、気をつけることは?

「ちょっとくらいあげても大丈夫」が命取りになることもあるので注意を

例えば、治療中なのでお肉は絶対にあげないで、と食餌指導をされていても、近所のお宅に遊びに行っている時に、そこの方から牛肉を一切れもらってしまい、犬が嘔吐を繰り返しながら激しく苦しみ、病院へ行く例がある。

また、“だいぶ良くなったから少しくらいあげてもいいかな”という飼い主の油断が、膵炎の場合は命取りになることもある。愛犬につらい思いをさせたくなければ、あげたい気持ちを我慢し、周囲の人にもその旨を伝えておこう。

 
 
関連記事:【発症するとつらい!痛い!】犬の膵炎ってどんな病気?原因・症状・予防について
 
 
プードルスタイル vol.15『発症するとつらい!痛い!一生食餌療法を続ける、怖~い病気 膵炎の基礎知識』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。