【犬の性格が決まった瞬間】家に迎える以前の環境が性格に与える影響は?

性格とは持って生まれたもの、親から受け継いだもの、という認識は強いと思う。それは事実。しかし、生まれてからの環境もまた犬の性格形成においては大きな影響を与えるのである。愛犬の性格はどのように形作られていくのか、その一端を追求してみたい。
 

 

犬の性格形成には重要な時期がある

子犬の性格形成

Q.犬の性格形成に特に重要な時期は?

犬によってはその時期に多少のずれがあるが、早い子では3ヶ月~半年すぎで社会化期を迎える。この時期が大切。しかし、社会化期を過ぎてしまうと性格は変えられないというわけではない。飼い主は多少苦労するかもしれないが、その後でも可能だ。強烈な体験などをすると、性格が変わることもあるという。大切なのは、社会化期を過ぎても、いい対応でいることなのだ。

 
Q.この時期の過ごし方と遺伝的要素はどちらが性格形成に強く影響?

生まれついての性格や気質と、生まれてからの体験はどちらが強いのだろうか。結論から言えば、どちらも大切なものであり、そのすべてが性格形成に影響してくると考えた方がいい。遺伝等でもともと持っているものは、簡単には変えられない。なので、これをベースにしていいものを伸ばし、悪いものを抑える、というような方法がいい。でも、本性を出すのが遅い犬もいるという。早合点せずに性格を見極める必要もありそうだ。

 
Q.この時期にさせるべきことは?

人や犬をはじめ、いろいろなものに触れさせることが大切。それらのものに正しく慣らしていくこと。そして、それらのものと接触している時にも、落ち着いていられるようになれば、ほめてあげよう。ただ、シャイな性格の犬の場合は、いきなりたくさんのものを目の当たりにするのは危険。そのような犬は段階を踏んでいくことを忘れずに。例えば、人や刺激のあまり多くない川縁などからはじめて、そして公園、住宅街などに進んでいくのがいいだろう。ちなみに、柴犬に合う先輩犬種は、抑制のきいた遊び上手な大きめの犬など。

 
Q.この時期にさせてはいけないことは?

音が大きく、人出が多い花火大会などは、子犬にとっては刺激が強すぎる。当然、トラウマになる可能性も高い。犬が非常に驚くようなことは避けよう。また、人間だけでは当たり前と思えることでも、子犬にとってはショックなことも多い。一例を挙げれば、ドライブ中のカーステレオ。そのようなことにも配慮が必要。花火もそうなのだが、「音」については怖がる犬が多い。突然、予期せずに現れるからだろう。
 
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家に迎える以前の過ごし方が性格に与える影響

子犬の性格形成

どこで生まれ、どのような環境下で生後数週間を過ごしたかによって、性格や気質は少なからず影響を受ける。以下には一般論としての、出自による性格形成の特徴を上げてみた。

■ブリーダー
しばらくは親の元で暮らす。そこで学ぶこと多し
 
まずはブリーダーからもらわれてきた子犬の性格形成について。これに限らず、このあとのペットショップやその他の場合においても、あくまでも一般論として読んでいただきたい。例外があることを頭の隅に置いた上で、話を進める。

いいブリーダーであるならば、子犬が生まれた後にすぐに親元から離してしまうことはない。母犬や、自分の周囲にいる犬たちから学ぶことはとても多く、なおかつ重要なこと。そこで犬語を学ぶということは、他の犬との接し方をマスターするということ。いい犬と遊ぶことや、あるいは調子に乗った時に叱ってくれる犬とこの時期一緒に暮らすということは、他の犬と慣れ親しむ上では非常に重要。これを経てこないと、他の犬に対して吠えたり怖がったり上手にコミュニケーションをとれないという、問題行動につながっていってしまう。

犬語をマスターできない環境については、次のペットショップの項で詳述する。

 
■ペットショップ
人慣れしている子が多いが犬との接し方は下手かも
 
ペットショップ出身の犬は、早くから親犬と離されていることが多い。ということは、ここでも犬語の問題が出てくるのだ。そうなると当然犬語を学ぶチャンスというものがなくなる。人にはとても慣れている犬が多いが、それは犬との接し方がわからないということと表裏一体と言える。なので、まずはいい犬と接する機会を持つことが大切。

いい犬というのは、ブリーダーの項でも出てきたが、度が過ぎた行動をした時に叱ってくれる犬などのこと。だから、意識的に犬と会う機会を増やすことが肝要なのだ。近所にいい犬がいるのであれば、その犬とたくさん『会話』をすることが犬語習得には効果が大きい。また、パピークラスを設けているしつけ教室などがあれば、そこに参加するのもいい。

柴犬の場合は、犬語とともに人とのスキンシップに慣らしておくことも大切。柴犬は『触るな』という気質の子が多いので、それを早くから直してあげておくことも必要。

 
■その他
捨てられたなど嫌な事は強烈な印象で記憶に残る
 
ブリーダーやペットショップ以外の場所から犬がやってきた場合、つまり捨てられていた犬の里親になった場合などは、やはり性格に影響を与える。捨てられたということは、それ自体が強烈な体験として記憶に留められることが多い。怖い思いをしたことやいじめられたこと、放浪したことなどがトラウマとなって、人から愛されていないことを実感し、人を信じないという犬が多い。そうなると、信頼関係を築くまでには時間がかかる。

具体的にはシャイで怖がりな犬が多い。そして、新しい飼い主との間に壁を作ってしまう。そのような犬と接していくために大切なことは、まず捨てられた時のことをしっかりと把握しておくこと。そして、ゆっくりと段階を踏んで、接し方に注意しつつ信頼関係を作っていくこと。道は遠いが、慣れてしまえば逆に親友のような関係になれるのもこうした体験を持つ犬の特徴なので、焦らないで欲しい。

 

いろいろなものと接していくべし

子犬の性格形成

子犬期に触れ合ったものと性格への影響の関係

Aと触れ合う≠Aのような性格になる

Aと触れ合う=Aが平気、Aが好きになる

 
例えば、子供のいない家で生活をはじめた子犬は、動きや声が大人と違うため、子供を見た時に別の生き物ではないかと感じることもあるという。逆に、腰の曲がった高齢者なども同様の印象を持つ。なので、小さいうちからいろいろなものに接することが大切。でも、いきなりいろいろ、では刺激が強すぎるので、少しずつ広げていくようにしたい。

 

子犬に専念し、良い性格に導いてあげたい

子犬の性格形成

遺伝と環境が性格形成の上での2大要素であり、今回は主に環境の与える影響の方にウエイトをおいて話を進めてきた。最後にまとめると、ここまで触れられなかったいくつかのトピックについて付け加えておきたい。

まず、性格が変えられなかった場合に、他に対処する方法があるのかということについて。これはしつけなどで対応する以外にない。性格を変えたいという時、それはほとんどの場合は吠えたりうなったりという点を改善したいということだと思う。だから、愛犬をクールでいられるようにする、最低限吠えなければいいというあたりが目標になる。手間ひまはものすごくかかり、自分では無理だと感じたら、専門家に依頼した方が懸命かもしれない。

次に、飼い主が陥りがちな子犬との接し方について。子犬のうちはまあいいか、といって甘くなり過ぎる飼い主が意外と多くいる。でもこれが大きな落とし穴。犬は自分主導で生活するようになり、言うことを聞かなかったり欲求吠えをするようになったりしてしまう。だから何事もはじめが肝心なのだ。しつけが進むにつれて、少しずつ厳しさを緩和していくという方法の方がいい。逆に乱暴に接していると、ビビリな性格になったり、反撃する子になってしまうとのこと。

いずれにしても、子犬期の育て方が性格形成に大きく影響することはおわかりいただけたかと思う。子犬を飼う時は、その犬に集中できる環境を整えて欲しい。その上で、愛犬の性格をしっかりと見極めること。そして、犬の性格に合った方法で社会化を進めていくことを理想としたい。

遺伝によってもともと持ち得ている性格や気質を変えるのは難しい。しかし、悪い性格や気になる行動を抑えることは可能だ。それは子犬期の育て方に大きく左右される。だからこそ、この時期の接し方には十分な配慮が必要となるのだ。良くない気質を抑え、好ましい部分を伸ばせるように努力したい

 
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Shi‐Ba vol.50『子犬期の過ごし方次第でシャイにもヤンチャにもワガママにもなる!愛犬の性格が決まった瞬間。』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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