愛犬にオヤツやゴハンをあげる時、その食材に含まれる栄養素まで意識しないことが多いのでは?今回は犬が生きていくのに欠かせない六大栄養素を特集!いつもの食事を見直してみよう。
1.健康的に生きるためにはバランスが重要
2.犬に必要な6大栄養素のバランス
3.六大栄養素の働き
4.栄養素だけじゃない!役立つ成分
5.エネルギー量と栄養素の配分
6.栄養素別食材一覧表
6-1 たんぱく質
6-2 脂肪
6-3 炭水化物
6-4 ビタミン・ミネラル・繊維など
6-5 水
7.日本犬にオススメの食は?
健康的に生きるためにはバランスが重要
生体を維持するために必要な栄養素を「六大栄養素」という。基本的に人と同じだが、必要とする栄養素の割合が違う。
例えば人と混同して体に良さそうと、野菜(繊維質)を多く与えることは考えもの。
犬は基本的に肉食なので、過剰な食物繊維は、その他の栄養吸収を妨げる。消化吸収率の良い動物性たんぱく質を中心に、その他の栄養素をバランスよく組み合わせることが重要だ。
また、六大栄養素以外にも犬特有の体内で合成できない、あるいは合成が不十分な必須アミノ酸や必須脂肪酸などの栄養素は、食事から必ず摂取しなくてはならない。
不足や過剰による栄養素のバランスの崩れは、病気の原因となることがある。体重管理に気をつけよう。
犬に必要な6大栄養素のバランス
■成長期
生涯でもっとも栄養が必要な時期
骨や筋肉、その他の組織が急速に成長するために、多くのたんぱく質、脂肪、カルシウム、リンを必要とする。ただし、過剰に与え過ぎると栄養バランスが崩れ、生涯にわたり疾患が残る危険があるので、注意が必要だ。
■維持期
運動量や環境などさまざまな要因で変化
維持期は犬の年齢・体重だけでなく、避妊・去勢、運動量や環境ストレスなど様々な要因を考慮しなくてはいけない時期。その犬に適した食事を探すことがこれからの健康を維持していく上で重要になる。
■高齢期
シニア犬特有の疾患を防ぐことが重要
高齢期は消化しやすく、高たんぱく質な食事が理想的。運動量は減っても、必要なたんぱく質の量は維持期と変わらない。関節炎や消化疾患などの症状を防ぐ、またはサポートする栄養素や成分を加えるのもよい。
六大栄養素の働き
六大栄養素はチームのようなもので、良いものを集めても上手く働くとは限らない。最大限のチームワークを発揮できるように飼い主さんの知識でサポートしてあげよう。
■炭水化物
炭水化物は糖質と繊維で構成されている。糖質は活動のエネルギー源になり、繊維は腸の動きを助け、便を形成するなどの動きがある。犬は腸が短いため、繊維を摂りすぎると腸が活発になりすぎ、必要な栄養素を吸収する前に体外に排泄してしまうので注意。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・糖尿病、下痢など
不足・・・便秘や大腸障害など
■脂肪
脂肪には油と脂質が含まれ、その主成分は脂肪酸。効率のよいエネルギー源としての機能と体温調整、脂溶性ビタミンの運搬、生体膜の構築、ホルモンの合成など、生きる上で欠かせない働きもある。人よりも多くの量を必要とする。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・心臓疾患、肥満など
不足・・・成長阻害や皮膚疾患など
■ビタミン
体外に摂取された食事が栄養素として吸収されるための酵素の反応をサポート。また、DNAの合成、血液の凝固、神経信号の伝達、骨の発達などの生理機能ももっている。犬は人と違って、体内でビタミンCとkを合成し、その他ビタミンは食事から摂る。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・肝臓障害など
不足・・・皮膚疾患、免疫力低下など
■ミネラル
無機質の栄養素を指し、カルシウム、ナトリウム、リン、鉄などの成分の総称の栄養素。骨や歯を構成する成分である以外にも体液のバランスを整えたり、体内の酵素反応を活性化したりと、様々な機能や働きがある。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・骨の異常、結石など
不足・・・異食、甲状腺障害など
■水
水はもっとも大切な栄養素。他の栄養素や代謝産物や老廃物を運んだり、体温をコントロールするのに必要だ。ドライフードを食べている場合、1日に必要なエネルギーと同じくらいの水を摂取する。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・多飲多尿は糖尿病などの危険
不足・・・脱水症状など
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■たんぱく質
たんぱく質は多くのアミノ酸で構成されている。食事から体内に摂取されたんぱく質はアミノ酸に分解され、再び体に必要なたんぱく質に合成し直される。そして、筋肉・内臓・血液・骨格・皮膚などの身体を作るために、全身へ分配される。
【考えられる危険な症状】
過剰・・・腎臓疾患など
不足・・・成長不良、脱毛症など
栄養素だけじゃない!役立つ成分
病気予防や症状の改善に役立つ成分を機能成分という。獣医師がサプリメントとして処方する場合もある。
■抗酸化物質
ベータカロテンやビタミンEが、加齢やストレスなどにより、細胞が傷つくのを防ぐ。また、ビタミンEは免疫力の増強にも関与する。
■オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
青魚に多く含まれている脂肪酸。脳や神経の健康に欠かせない。また、炎症を軽減する働きの他、血液の流れを良くするため、認知症の予防や症状の改善に効果があるとされている。
■コンドロイチン
体組織に水分や弾力を与え、体内では皮膚、血管壁、軟骨、関節痛などを軽減する働きがある。
エネルギー量と栄養素の配分
▼1日に必要なエネルギー量
{(30×10kg)+70 }×1.6~1.8
≒590~670kcal
※必要なエネルギー量は性別、環境、体調などにより変化するので、おおよその目安と考えよう。
●去勢・避妊している場合
→エネルギー全体から10%減らす
●運動量が少ない、肥満、高齢期
→10~20%減らす
●運動量が多い、ストレスが多い
→2~4倍に増やす
●代謝は固体差があるので、体重の増減を観察して調整をする
▼栄養素の配分
1.たんぱく質
全体のエネルギー(kcal)×25%
2.脂肪
全体のエネルギー(kcal)×5%
3.炭水化物
全体のエネルギー(kcal)-1のカロリー‐2のカロリー
【食材で配合した場合】
肉:野菜:米=1:1:1
※肉、野菜をそれぞれみじん切りにした時の見た目の目安。
栄養素別食材一覧表
■たんぱく質
・鶏ササミ
鶏肉の中でももっとも低脂肪かつ、高たんぱく質な食材でおすすめ。もも肉、むね肉でも代用可能。
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・サケ
塩漬けなどの塩分を含むものは不適切。魚にはオメガ3という血行をよくする働きがある成分も含まれる。
・レバー
非常に栄養価の高い食材。ただし毒素がたまりやすい臓器でもあるので、加熱し、灰汁を十分にとり、少量のみ与えること。
・納豆
発酵食品は犬が好むが、大豆なので食べ過ぎるとガスの原因に。
・卵
ビタミンC以外すべての栄養素を含むスーパーフード。卵黄は生でも大丈夫だが、気温や湿度の高い季節は加熱して与えよう。
■脂肪
・オリーブオイル
植物油にはビタミンEが豊富で、とくにオリーブオイルは抗酸化作用が強いのが特徴。使用はエキストラバージンオリーブオイルを。
・すりごま
オレイン酸やリノール酸がバランスよく含まれる。消化しにくいので、ごまはすってから与えること。
・ごま油
ごまの風味を好むので嗜好性をあげたい時に利用できる。
・鶏皮(鶏脂)
動物性脂肪なのに、植物性脂肪のような働きがあり、吸収も良い。茹でる、焼くなどして余分な脂肪を落として与える。
・無塩バター
鶏皮と同様、動物性脂肪なので犬が好む。ただし、肥満やビタミンA過剰の原因になるので、ゴハンに少量混ぜるように使う。
■炭水化物
・精白米
消化によく、他の食材と組み合わせやすいポピュラーな食品。お粥で与える場合はよく冷ますこと。
・発芽米
精白米と比較して栄養価が2倍近い。玄米は消化しにくいが、発芽玄米は犬でも比較的消化しやすい。
・さつまいも
糖質、繊維ともに多いので、食べ過ぎは肥満や軟便の原因に。
・じゃがいも
エネルギー源になるでんぷんを多く含む。加熱で失われるビタミンCが少ない。食べ過ぎは肥満のもとに。
・栗
栗は他の種実類と同じように、たんぱく質、脂質が豊富だが、糖質も多く含む。エネルギー補給に便利。
■ビタミン・ミネラル・繊維など
・煮干し
乾物は塩分が多いので、塩抜きしたものを少量使うこと。
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・かぼちゃ
ペースト状にして与えたり、いろいろ活用できて便利な食材。かぼちゃは必ず茹でてあげること。
・小松菜
ほうれん草の5倍のカルシウムを含む。その他ベータカロテンやビタミンCも豊富。
・ひじき
よく洗い、十分に水で戻してからフードプロセッサーなどで細かくして使う。カルシウムが豊富。
・りんご
りんごに含まれる食物繊維、ペクチンは、腸の働きを活性化、利尿作用のあるカリウムも多く含まれている。
・キャベツ
淡色野菜はビタミンCが多く含まれる。腸の健康のためにはサッと茹でて使用するとよい。
・にんじん
ベータカロテンが豊富。ただし、その繊維は固いため、すり下ろすなどして使用すること。
・ヨーグルト
カルシウムが豊富で、お腹の働きも良くしてくれる。毎日大さじ1杯くらいを食べると良い。
・のり
のりの中でも焼きのりに使用される。“あまのり”が他の藻類と比較して、ナトリウム含有量が少なく、ベータカロテンが多いのが特徴。
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■水
・ろ過した水道水
浄水器で塩素やトリハロメタンを取り除いた水がおすすめ。いつでも新鮮な水を飲めるようにしておくこと。
・ミネラルウォーター
カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類が尿結石の原因になることも。たまに飲むのは問題なし。
日本犬にオススメの食は?
日本人は昔から魚を多く食べる習慣があり、共に暮らしてきた犬も同様と考えられる。現在は肉を原料にしたドッグフードが主流になり、魚を食べる習慣が減っている。
日本犬、日本犬雑種が認知症になりやすのは魚に含まれる認知症の予防になるDHAという成分を、昔ほど摂取しなくなったからとも考えられている。
本来の食性である魚も、普段の食事やオヤツに取り入れても良さそう。
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Shi‐Ba vol.30『健康的な食いしん坊になるために 犬に必要な栄養素をマスターせよ!』より抜粋
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