名前を呼んでも知らんぷり、散歩中に歩かないことが多い……など。「うちの犬わがままなんだから」と思うような愛犬の行動。でも実は老化による行動の可能性もある。わがままか、老化なのか見分け方について考えてみよう。
1.わがままサインと老化サインの見分け方
1-1 階段をのぼらない
1-2 食事を残す
1-3 呼んでも無視
1-4 触ると怒る
1-5 散歩の時歩かない
1-6 近くにいないと不安
1-7 トイレを失敗する
1-8 吠え続ける
1-9 睡眠の変化
2.行動の変化が突然起きたら原因を確かめて
わがままサインと老化サインの見分け方
■階段をのぼらない
【わがままの場合】
例えば、のぼるとおいしいものがもらえるなど、自分にとって都合の良いときだけは歩調も軽やかに楽しそうにのぼる。そうでない時は、のぼったりのぼらなかったりすることがある。
【老化の場合】
関節炎など、身体的な問題として痛みがある時にはのぼりたくても歩調がゆっくりだったりする。その点がわがままと大きく違う。また、年齢とともに目のレンズが硬化し、白く曇って見えにくくなり、怖くてのぼらないという場合も考えられる。ただし、目が見えにくくなるというのは、若年性の白内障や突発的に失明する病気など、年齢に関係なく起こることもあるので、老化だけが原因とは限らない。
■食事を残す
【わがままの場合】
食事に関するわがままは、飼い主がつくっていることが多い。食べてもらいたいからとおいしいものをトッピングすれば、「食べずに待っていればおいしいものがもらえる」と犬は学習してしまうもの。わがままで食べない時に、食事の内容を変えると、食べることもある。
【老化の場合】
年を取ったからという理由だけで食事を残すということはない。夏バテ以外に、食事を残すのは病気や歯の問題が考えられる。食欲不振以外に吐き気や下痢など他の症状がないかチェックを。
■呼んでも無視
【わがままの場合】
自分にとって都合がよいことは聞いているもの。飼い主に呼ばれた時に、これは自分にとって得かな?と思えば、聞こえないふりをしている。
【老化の場合】
いつ呼んでも反応しないという時には、老化が考えられる。年齢とともに認知機能の低下で、これまで学習してきたことをだんだん忘れ、反応がにぶくなることもある。あるいは、耳が聞こえなくなっている可能性も。
■触ると怒る
【わがままの場合】
触られると怒るのは突然怒るというのではなく、子犬の頃から触られるのをイヤがっていたというパターンがほとんど。
【老化の場合】
今までなかったのに、急に怒るようになったなら、関節に痛みがあるために触られるのをイヤがったり、目が見えにくくなっていたり、耳が聞こえにくくなって、近くにいるというのに気がつかず、急に触られてびっくりするなどが考えられる。それだけに、年を取ってきたら、体を触る前に声を掛けるということも必要だ。痛みや耳、目の不調以外にも、体の不調がある時にはイライラするもの。そんな時にしつこく触られたため、怒るという場合もある。
■散歩の時歩かない
【わがままの場合】
歩かないでいれば、抱っこしてもらえるとか、前から来る人や犬を待っていたりという理由が多い。わがままの場合はたいてい何かのきっかけがあれば歩きだすもの。ただ、わがままと限らず、以前その場所で怖い思いをしたという精神的な問題がある可能性も。その場合にはその場所に少しずつ慣らすとか、その場所を通らないようにするなどの配慮を。
【老化の場合】
歩きたいという気持ちがあっても、関節痛などからなかなか体が思うように進まない、呼吸が早くなったり、心臓病など身体的な問題の可能性もある。目が見えにくくなっている時も、とくに夕方などで辺りが薄暗かったりすると更に見えにくい状況となり、不安で立ち止まってしまうことも考えられる。
■近くにいないと不安
【わがままの場合】
わがままというよりも、年齢に関係なく、ひとりになるのが不安という犬はいる。犬はもともと仲間と共に生活する動物なので、ひとりになるという状況に慣れていなければ不安を感じるもの。わがままだから留守番ができないのではなく、練習していないから出来ないだけ。
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【老化の場合】
年をとると若い時に比べて不安が強くなるといわれている。また目が見えにくい、耳が聞こえにくいという状況だったり、体のどこかに痛みがあるために、不安が強くなり、急に飼い主と離れるのを不安がる場合もある。
■トイレを失敗する
【わがままの場合】
犬がわがままでトイレを失敗することはない。留守中にトイレ以外の場所でしてしまうというのも、不安だったり、トイレシーツが汚れていたからという原因がある。
【老化の場合】
これまでトイレのしつけがきちんとできていて、突然なんの理由もなく、失敗するようになってきたら、認知機能低下の可能性が高い。または、関節に痛みがあったり、動きがにぶぶなったため、トイレの場所まで行くのに間に合わなかったということも。トイレの位置に配慮を。
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■吠え続ける
【わがままの場合】
大抵が要求吠えである。何かして欲しい、吠えれば飼い主がこっちを向いてくれたり、かまってくれる、いいことがあるなど、これまでに学習してきたことがきっかけとなり、吠えるもの。なので、その時の状況や犬の様子を見ていれば、要求吠えかがわかるはず。
【老化の場合】
何に対して吠えているのかわからない、目的もきっかけもなく吠えているという場合には認知機能低下が考えられる。また、年を取ると不安が強くなるため、以前なら気にならなかった小さな音でも反応したり、耳が聞こえにくいために、何だか認識できないことが逆に不安で吠え続けることも。
■睡眠の変化
【わがままの場合】
朝寝坊するのはわがままだからというのではなく、起きても犬にとってなにも楽しいことがないから、というパターンが多い。夜遅くまで起きているという犬は飼い主の生活時間に合わせているというもの。思いっきり遊んで疲れれば、すぐ眠るはずである。
【老化の場合】
基本的に年を取ってくると、寝ている時間は長くなり、眠りも深くなってくる。認知機能低下がかなり進行した状況だと、昼夜逆転が起こる。そこまでいかないにしても、運動欲求がなくなり、散歩も行かなくなるなど、刺激がなくなることで、夜眠れなくなるということも。夜眠るためには、昼間に適度な刺激を与えてあげることが必要だ。短時間でも散歩をしたり遊んであげたい。
行動の変化が突然起きたら原因を確かめて
飼い主からすれば、わがままに見える行動でも、犬はわがままでやっているわけではない。
犬にすれば、これまでの経験をもとに、自分がこういう行動をとれば飼い主が応えてくれたなど、学習しているだけであり、言ってみれば、犬にそんな行動をとらせてしまったのは飼い主であるということだ。
気になる犬の行動が、わがままサインなのか、老化のサインなのかを飼い主が判断する際に、それが単独で起こっている行動なのか、それだけでなく、他の行動も起こっているのかが見分け方のポイントのひとつとなる。
単なるわがままではなく、老化による体による痛みなどや、病気の初期の段階など身体的な問題がある場合には、いくつかの行動に変化があるはず。
例えば、散歩中、突然歩かなくなるようなら、散歩中の状況だけがイヤというわがままかもしれない。しかし、加齢で体がしんどくなっていたりすれば、散歩で歩かない、階段ものぼらない、寝る時間が長くなっているなど、複数の行動に変化が見られるようになる。
また、わがままと思える行動は、年をとったからはじまったのではなく、若い頃からやっている場合が多いもの。
今までそんな傾向がなく、ある時期から急に変化が出てきたならば、それが病気なのか、それとも老化なのか、まずは動物病院でチェックしてもらうこと。
年だからとあきらめないことが大切というのを忘れずに。
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Shi‐Ba vol.37『愛犬のサインをキャッチせよ! わがままサイン・老化サインの見分け方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。