少女漫画の主人公のよう大きく愛らしく、涙でうるうる。やや前につき出すようなどんぐり眼は、いかにもよく見えそうだ。人の話を聞く時はじっと見つめてくるが、実際視力はいいのだろうか。目の特性やトラブルについて探ろう。
ペチャの眼の特性
■得意
視野は狭く視力は悪いが動体視力はいい。これはペチャが特別ではなく、一般的に犬の動体視力は優れている。
また光を感知する力は高く、暗闇でもよく見えるのも犬の特徴だ。
ちなみに好奇心旺盛なペチャは動く物に対して反応が早いが、ボストン・テリア以外は運動能力が高くなく獲物を捕らえることは難しい(動体視力と運動能力は別問題)。
■苦手
犬は基本的に視力が悪い、距離感を測るのも苦手だ。
加えてマズルが長い犬より視野は狭い。よく走っていて家具などにぶつかるが、それは夢中になって周りが見えなくなる性格的なことで、距離感が取れないことと関係するかはわからない。
また色を識別する能力も人間より劣り、見える色数は少なく、青や黄色しか見分けられないとされている。
▼大きいけれど視力と視野の広さはイマイチ
マズルの長い犬に比べるとペチャの目は前向きについていて、それが人間らしい表情を作っているといえる。
しかし目が前を向いているだけに視野は狭く、マズルの長い犬に比べて後ろがあまり見えない。視野の範囲は水平方向で、マズルの長い犬が270度ほどだとすると、ペチャ犬は220度ほど。とはいえこれは人間の視野よりもかなり広め。
ちなみに人間は視野が狭いが視力がよく、両目で見ることにより対象物の奥行きや距離感を測ることができる。しかしペチャは視力がよくないため遠近感をつかむのが苦手とされる。
また骨格の話に戻るが、小さい頭蓋骨のため必然的に眼球の収まるスペースは狭い。頭蓋骨に脳を収めることを優先すると、半ば押されるような形で眼球が前に飛び出してくる。つまり出目になりやすい。それだけに外傷などのトラブルに遭いやすいのだ。
眼の形
犬種によって目の形は違い、主に3種類に分けられる。骨格や環境に適応するために、このような形になったのかもしれない。
■丸
パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリアは丸いだけでなく、目が飛び出た形になってる。ペキニーズ、シー・ズーもこのカテゴリー。短吻種に多い目。
■アーモンド
アーモンドの形をしている目。ラブラドールやレトリーバーなどの犬種がこれに当てはまる。ちなみにまぶたが重いため、逆さまつ毛になることが多いそうだ。
■三角
まぶたの外側からつり上がった三角形の目で、鋭く精悍な印象を与える。柴犬や秋田犬など日本犬に多い。洋犬ではブルテリアがこの目に該当する。
よくある眼のトラブル
□ドライアイ(乾燥)
何らかの原因で涙の分泌量が減り、角膜が乾燥する症状。ペチャは出目のため、まぶたが閉じきれない子もいるが、瞬きと同時に出るはずの涙が眼球に行き渡らずドライアイになることも。目やにが多い、痛そうにショボつかせているが涙が出てない場合はドライアイの可能性が。
□目やにが出る
目やにが増える原因のひとつに、涙の量が増えることもある。涙は角膜に酸素や栄養を与えたりする液体で、通常は排水システムで鼻涙管へ流れるが、何らかの原因で目頭に溜まってくるとゼリー状に。そこに紫外線があたると茶褐色に、細菌が繁殖すれば黄色や緑っぽい色になる。
□かゆみ
アレルギーが原因のこともあるが、細菌感染による結膜炎や異物混入などでも起こる。ドライアイや角膜炎などのトラブルが治りかかった時にもかゆみが起きやすい。気になり前足でこすってしまうと角膜が傷つき、炎症を悪化させる原因に。何度もかゆがるなら動物病院へ行こう。
□外傷
出っ張った目なので、他犬種より角膜を傷つけやすい。例えば草むらに顔をつっこんだ時、マズルが短い犬は草をかき分けることができるが、ペチャの場合、鼻と目が近いので草がダイレクトに目に入りやすい。また炎症などが治りかける際、気になって掻き壊すことも。
□色素沈着
外傷や乾燥など何らかの原因で角膜を傷つけてしまい、その傷に細菌が入ると角膜潰瘍というトラブルが起り、透明の角膜が黒くなるといった色素沈着が起きやすい。すると、目が気になって掻き壊してしまうという悪循環に陥りやすい。最悪の場合は失明する。
□充血
シャンプーなどが目に入ると、その刺激で目が赤くなることがある。また太りやすいパグやフレンチ・ブルドッグは脂肪で気管が圧迫されるため、テンションが上がり興奮すると、白目の部分に充血が起こる。他犬種も同様の現象が起きるが白目の部分が大きいだけにそれが目立つ。
□涙が多い
異物が入る、乾燥する、細菌が繁殖するなど何らかの原因で角膜に炎症が起きると涙が多くなる。目が大きく普段から涙でうるうるしているペチャだが、明らかに涙が増えていたらトラブルが起きているサインだ。異常がないか動物病院で診察してもらおう。
▼大きく前に出た目だけにトラブルも多い
上記の例を見ても、ペチャの目のトラブルは多い。とりわけペチャは、短吻種特有の頭蓋骨の構造から、目は前向きにつき、そして眼球は前に押し出される形になっている。
加えて魅力となっている大きく丸い目の形も、ドライアイといったトラブルを起こしやすい。マズルの長い犬種であれば避けられる異物混入による外傷も多い犬種であるといえる。
また鼻が短いため取り込める空気が少なく呼吸が忙しくなりやすい。太っていると脂肪で気管が圧迫され、そこに興奮が加わり呼吸が激しくなると目の充血が起きるが、出目で白目の部分が大きいペチャは目立つ。その点もペチャの目の特徴として覚えておこう。
ペチャの魅力部位を健康に! デリケートな鼻の特徴と起きやすいトラブル
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
PE・CHA vol.20『ペチャの魅力部位を健康に! 守るべきは鼻・目・皮膚!!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。