人間界でも高齢化社会だということが話題になっているが、犬界でも同じようなことが起こっているようだ。そして愛犬がいつまでも元気に幸せな老犬生活を送るためには飼い主はどんなことに気をつけたらいいのだろうか。
1.犬の年のとり方
2.犬の老化とは?
3.加齢に伴って起こる問題のサインとは
3-1 消化器系のサイン
3-2 歯にかかわるサイン
3-3 心臓のサイン
3-4 腎臓系のサイン
3-5 骨関節系のサイン
3-6 感覚器系のサイン
3-7 生殖器系のサイン
3-8 内分泌系のサイン
3-9 その他のサイン
犬の年のとり方
●小型・中型犬の3年目以降
24+(生後年数-2)×4
●大型犬の2年目以降
12+(生後年数-1)×7
=人間に変換した年齢
犬は人間の年齢に換算すると1年に1歳ずつ年齢を重ねるのではない、ということは多くの飼い主が理解していることだろう。
柴犬などの小型・中型犬の場合、生後3年目以降なら、1年のうちに人間の年齢なら4歳、年をとることになる。
そう考えると、飼い主にとっての1日は、犬にしてみれば4日ということになる。
人間も年を重ねるにしたがって「月日の経つのは早い」と感じることが多くなるが、愛犬のほうが確実に飼い主よりも何倍もの早さで月日が流れていることになる。
だからこそ、飼い主は愛犬の1日1日を大切にしてあげたいものだ。
犬の老化とは?
小型犬:9~13歳
中型犬:9~11.5歳
大型犬:7.5~10.5歳
超大型犬: 6~9歳
老化は、人間でも犬でも避けられないもの。ただ、人間ならば最近忘れっぽくなったな、目が見えにくくなってきたな、など自覚症状で気付く。
それは病気の場合も同じ。
人間ならば、具合が悪いと思えば(自覚症状)自らすぐに病院へ行く。
でも、犬は老化であれ、病気であれ自分で気付いても動物病院へは行けない。
飼い主に気付いてもらえなければ(他覚症状)、行くことはできないのだ。
自覚症状と他覚症状では、認識までにどうしても時間差が起こりやすくなるもの。
例えば、散歩で疲れやすくなった愛犬の姿を見て「うちの犬も年をっとったのだな」と飼い主は気付くが、気付いたときと犬自身の体の変化が始まったときにはおそらくズレがあると考えられる。
中年齢以降、1年に1回の健康診断は重要だということになるのだ。
また、「年だから仕方ない」と思わないこと。年だからとあきらめて、病気の発見が遅れる場合もある。
老化の進行を止めることはできない。
でも進行をゆっくりと遅らせることができるというのを忘れずに。
加齢に伴って起こる問題のサインとは
■消化器系のサイン
加齢とともに体内のさまざまな組織が繊維化し、水分の含有量が減ってくる。唾液腺の開口部が繊維化して、唾液が出にくく、つくりにくくなる。
唾液が減少すれば、食欲にムラがでてきてしまう。
また、腸の組織も繊維化してしまうことで、水分や栄養分の吸収がうまくいかなくなってしまう。
サインとしては、
1.食欲にムラが出る、胃腸にガスがたまる
2.便秘や下痢をしやすくなる
3.唾液の分泌量が減る
4.栄養吸収や代謝能力の減少
■歯にかかわるサイン
2~3歳頃までは歯磨きをしなくてもそれほど歯石はつかないが、7~8歳以上だと急に歯石がついてくる犬が多くなる。
それは年齢とともに唾液の分泌量が低下してくるため。
歯肉と歯の間に歯垢が入ってしまうと全身に影響をおよぼす怖れがあるので、くれぐれも注意したい。
サインとしては
1.歯石の付着や歯茎の退縮
2.歯肉が赤くなる
3.口臭が強くなる、
など
■心臓のサイン
心臓疾患も年齢とともに起こりやすくなってくる。遺伝的な場合は予防することはなかなか難しい。だが、はっきりしているのは、肥満の犬とそうでない犬とを比べると、太り過ぎの犬では3倍の確率で心臓疾患を引き起こすということ。このことからも若い時から肥満にさせないというのは大切である。
心臓系のサインとしては、
1.以前に比べ遠くまでは歩けなくなったり、走りたがらなくなる。
2.咳が続いたり、息切れが見られる。
3.舌や口の色が悪い
など
■腎臓系のサイン
腎臓機能も年齢とともに低下していく。若い頃に比べておしっこの量や回数が増えていくことが多い。ただ著しく増えてきた時には、腎臓に問題がないか調べておくこと。年齢のせいなのか、病気のせいなのか見極めることが大切。
サインとしては、
1.多飲多尿
2.食欲不振や嘔吐が見られる
など
■骨関節系のサイン
骨関節炎も老犬に多くみられる。年齢とともに関節の軟骨部分が変形や破壊されることにより痛みがでて、とくに寒い時期に起こりやすい。
サインとしては、
1.散歩や階段の昇降をイヤがる
2.歩くのが遅くなったり、頭を下げて歩く、脚を引きずるなど歩く姿の変化。
3.起き上がるときにぎこちない
など
■感覚器系のサイン
視力や聴力の低下というのは老化によって必ず起こってくるもの。嗅覚も若い頃に比べれば落ちるが、わずかなのでほとんど変化はないといえる。
サインとしては、
1.視力低下、視覚障害(核硬化、老齢性白内障など)2.聴力低下、聴覚障害。
■生殖器系のサイン
避妊、去勢をしていない犬の場合には生殖器系の問題も出てくる。オスならば、前立腺が肥大して、
1.排便障害(便秘や粘膜便、扁平状態)
2.排尿障害
3.尻の変形(会陰ヘルニア)
などが見られることが。
メスでは子宮に膿がたまる子宮蓄膿症はとても怖い病気。いつもと違う様子なら動物病院へ。
■内分泌系のサイン
ホルモンが関係する問題も中年期以降に起こしやすくなるので、日頃から愛犬の様子をよく観察しておくようにしたい。
サインとしては
1.元気がない
2.多飲・多食
3.皮膚のトラブルなど
■その他のサイン
この他にも老化に伴って起こる問題として重要なのが、腫瘍のこと。体を触ってわかる部分にしこりがあるならば、飼い主も発見しやすい。だが、お腹のなかなどにできたものは相当な大きさにならないと、外見からだけではわかりにくい。そういう意味でも定期的な健康診断が大切になってくる。
また、加齢によって認知機能の低下というのも起こってくる。不安が強くなったり、排泄を失敗するようになったりと少しずつ行動に変化が見られるようになる。
認知機能低下の最終段階として通常の生活が送れなくなってしまうのが認知症である。
そして認知症になる犬のほとんどが日本犬と言われている。認知機能の低下や認知症の治療法や予防法はない。薬や健康食品などで、できる限り進行をゆるやかに遅らせるようにするだけである。
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Shi‐Ba vol.31『犬界にも超高齢化社会がやってくる!『老化』を知って安らぐ老犬時間』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。