犬びより

悪いことばかりでもない犬たちの噛む行動。愛犬に合う噛みオモチャの選び方

2020/08/12

犬に多い悩みといえば、噛みぐせ! 人を傷つける行為はもちろんダメだけれど「噛む」こと自体は犬にとって大切なこと。正しい遊び方を知って、犬の本能に寄り添おう!
 

 

「噛む」ことは犬の本能

ボロボロになったイスの足、いつの間にか剥がされていた壁紙……こうした愛犬のいたずら噛みに悩まされる飼い主は少なくない。

甘噛みの力が意外に強くて、遊んでいたら怪我をしてしまった、なんて人も。噛む行為は抑制した方が良いのだろうか?

噛む対象や状況はきちんと管理するべきだが、『噛む行為』自体をやめさせるのは間違い。犬は本能的に噛んで何かを確かめたいという欲求を持っているからだ。

人間でいえば、赤ちゃんは何でも口に入れて、においや味、感触といったさまざまな情報をインプットしようとするが、これは犬も同じ。

手足を自由に使いこなせない犬にとって、口は確認作業をするための道具であり、重要な感覚器官なのだ。

また、人間にとって噛まれることは怪我につながる危険な行為だが、犬にとっては違う意味がある。

社会化の時期に、通常は他の子犬と過ごして噛み合う遊びをする。これは犬同士のコミュニケーションであると共に、将来グループ内の順位争いをするための準備となる。

ただ、犬は皮下脂肪が厚いので噛み合いをしても痛くないが、同じような調子で人に対しても噛んでしまうと、出血をともなう怪我を負わせてしまうことも。

互いにストレスなく暮らしていくためには、こうした犬の習性を知り、両者にとって楽しい遊びを取り入れることが大切。さっそく、見てみよう!
 

【噛む力の抑制】

「噛んではいけない状況」は、ある程度年を取っても覚えられるが「相手を傷つけないように力加減をすること」を学習できるのは、乳歯が抜ける生後5ヶ月頃までと言われている。

この時期に安易に甘噛みを許していると、成犬になった時に力加減が分からず「噛んで怪我をさせてしまう犬」になる恐れがある。子犬の時こそ甘噛みには注意したい。

 

犬種によって違う下顎骨の構造

日本犬は臼歯に力がかかる

英国リンカーン大学のミルズ博士が犬の下顎骨の構造を調べたところ、犬種によってさまざまな違いがあることがわかった。

ボストン・テリアは下顎のカーブが奥歯に向かってきつくなっていく一方、下の図のシェパードは比較的フラットな形状をしている。このため、前者は前歯で咥える力が強く、後者は奥歯(臼歯)で噛む時に力がかかる。

日本犬はシェパードに比較的近い骨格をしていると考えられるため、噛む時は深く咥えて臼歯で切り裂く構造をしていると考えられる。

 

噛むメリット

幸せな気持ちになる
食べることで幸せホルモンであるオキシトシンが分泌されるが、咀嚼や飼い主との噛み遊びにもその効能があると考えられる。

歯の健康に役立つ
噛むことで歯の表面がこすれて歯石が溜まりにくくなる他、唾液が出やすくなるので汚れを洗い流してくれる。

遊び方が広がる
生活の質が広がり、さまざまな遊び方ができるようになることで、脳が活性化する。

 

アゴが発達していない犬も増えている!?

日本犬のアゴの構造はフラットで臼歯に力を込めやすく、しかもアゴ周辺の筋肉量もある方なので、深く咥えるとかなりの力がかかる。

オモチャを奥歯でガジガジと噛むのが好きな犬は、こうした特性を生かして遊んでいるのだろう。

噛むことは犬にとってさまざまなメリットをもたらしてくれる。歯の健康に役立ったり遊び方が広がる他、なにより犬にとって幸せな気持ちをもたらしてくれることが大きい。

遊び方が広がればより楽しい時間が増えるし、幸せな気持ちになることは脳にとっても良い効果をもたらす。結果的に認知症リスクを減らしてくれることも考えられる。

ただし、メリットがあるからといって無理に硬いものを与えればよいというわけでもない

最近では無理なブリーディングなどで十分にアゴが発達していない犬もおり、噛み合わせに問題があるケースも。

アゴの骨は鍛えて強くなるものでもないので、愛犬のアゴの強さを見極め、その子に合ったやり方で噛み遊びをしてあげることが大切だ。

 

愛犬に合う噛みオモチャを探す

楽しく遊べるだけでなく、安全面にもこだわりたい。どんな材質が愛犬に合うか、見てみよう!

□オモチャのポイント

【選び方】
オモチャの硬さが適切か確認しよう

初めてのオモチャを与える時は、遊び始めて5分くらい経ったら、オモチャが壊れていないか、歯茎から出血していたり、歯がグラグラしていないか確かめよう。適切な硬さは犬によって違う。

【遊び方】
さまざまな形状にトライしよう

コロコロ転がる丸型、左右の手で押さえながらかじるのに最適なY字型、運びやすいI字型など、形状が違えば遊び方も変わる。さまざまな形のオモチャを試して、愛犬の好みを見つけてあげよう。

【ケア】
衛生管理はしっかりと行おう

口に入れたり出したりと、雑菌が発生しやすい犬のオモチャ。特に布製のものは湿りやすく、除菌もしにくい。こまめに洗って乾かすか、汚れが目立つようになったら新しいものに買い替えよう。

 
噛み心地が楽しい!
どんな年齢でもOK

ゴム質

子犬 ★★★
成犬 ★★★
老犬 ★★★

硬さと弾力性どちらもありつつ、壊れにくく安全性も兼ね備えたオールラウンドなオモチャ。肉のような噛み心地を楽しめるのも犬にとっては嬉しい。コングのように、オモチャの中にオヤツを詰めて遊べるタイプだと、さらに楽しめそう。ただし、ゴム特有のにおいが苦手な犬も。どの年齢でも合うので、迷ったらまずは試してみるのも良いかも。

 
噛んで削って
達成感を感じる

木製

子犬 ★☆☆
成犬 ★★★
老犬 ★★☆

硬いので、ガッツリ噛みたい犬にオススメ。普通の木の枝では木くずが鋭利になって、食べてしまった時に内臓を傷つけることもあるので、犬専用のオモチャを用意してあげよう。細かい木くずを固めたものなら、削れた部分を飲み込んでしまっても安心だ。歯やアゴの発達が未熟な子犬には向かない。

 
顎や歯が弱い犬も安心!
音が出るタイプも

布製

子犬 ★★★
成犬 ★★☆
老犬 ★★★

見た目もかわいい布製オモチャ。乳歯からでも使えるので子犬にはうってつけ。歯が弱い老犬も安心だ。ただし破壊好きな元気な犬は、中綿を飲みこむ危険性がある。レントゲンに映らないので発見が遅れる他、開腹手術をしなくてはいけないケースもあり、注意が必要だ。

 
味もにおいも楽しめる
オヤツとしても最高

革製

子犬 ★★☆
成犬 ★★☆
老犬 ★☆☆

噛めば噛むほど、味が浸み出すおいしいオモチャ。柔らかくなっていく過程も楽しい。選ぶ際は愛犬の口の大きさに合ったサイズを選ぼう。また、噛んで食べていくうちに小さくなるので、最後に塊になったら、喉に詰まらせないように取り上げて。

 
破壊するのが楽しい
怪我には気をつけて

プラスチック
ポリウレタン

子犬 ★☆☆
成犬 ★★☆
老犬 ★★☆

破壊せずに遊んでいる分にはOK。ただし強度は弱いので「破壊するのが好き!」という子は、噛んでギザギザになった部分で怪我をする恐れもあるので注意が必要。

 

Q.ヒヅメや角は与えても良い?

長持ちするオヤツとしてよく見かける牛や馬のヒヅメ、または鹿の角。「天然のものだし良さそう!」と思うかもしれないが、犬の歯にとっては硬すぎるものも。獣のにおいもするので夢中になってかじるが、歯がすり減ったり、割れてしまう可能性もあるのであまりおすすめしない。違ったオモチャを用意してあげよう。

 

オモチャ選び まとめ

基本的に犬は動くものが好きなので、オモチャを最初に与える時は動くものや、仕掛けがあって自分でオヤツを取り出せるなど、変化を楽しめるものを選ぶと興味を引きやすいだろう。

その上で、さまざまなオモチャを取り入れていけばよいが、年齢によっても気を付けるポイントがある。

子犬の場合、乳歯は歯の外側を覆っている硬いエナメル質が薄いのが特徴。そのため傷つきやすく、硬いものを噛み過ぎると歯が割れたり、すきっ歯になるなどの弊害が出てきてしまう。

一方、成犬には『オモチャを壊すこと自体に快感を感じる犬』も一定数いる。そういった子の場合、壊したオモチャの一部を誤って飲んでしまうことがあり、遊んでいる最中は、飼い主が注意して観察しておく必要がある。

老犬の場合、歯が弱っていたり、既にいくつか歯が抜け落ちてしまっている場合は、硬いオモチャが負担になることも。硬さや素材などは、ライフステージに合わせて変えていく方が良いだろう。

好みは犬によっても違うが、「コレ」と決めつけずに1つ1つ試してみて、愛犬の楽しみを広げてあげよう。

 
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Shi‐Ba vol.108『実は悪いことばかりでもない犬たちの行動 正しい噛むライフしてますか?』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

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