しつけ、お遊びの場面で、ついついやっちゃう愛犬への「騙し」。悪気はなくても愛犬は「この詐欺師め!」と思っているかも。今回は「騙し」について掘り下げてみる。
犬たちからの被害報告
犬からのクレームがぞくぞくと届いた。飼い主からの騙し行為に対するものだ。その中でも多かった手口を紹介する。
■オヤツ偽装
ティッシュを丸めたものを手に握りしめ、グーの形にするとまんまと騙されて「その中のものくれるなら、なんだってします!ワン!」とコマンドをかけてないうちからオスワリ。誰でもやったことあるはず!
■飼い主なりすまし
携帯電話の録音機能を駆使し、飼い主の声を録ったものを愛犬に聞かせる。「うひょー。ご主人様の声だ!」と大興奮する愛犬を見て、不穏な笑みを浮かべて楽しむ。
■オヤツ少量騙し
オヤツをケチる作戦。ちょっとずつちぎってあげることで、愛犬はいつもより多くもらった気がして大満足!って犬だってバカじゃないぞ!「またその手か……。毎日よくやるなあ」と思ってるかも。
■こっそり手抜き散歩
飼い主が買い物など個人的な用事があるついでに、愛犬を散歩に連れ出す。「毎日私の欲望を満たすために散歩に連れて行ってくれて、あざーす」と思っているかもしれないが、これは立派な手抜き散歩。
『騙し』の疑問
Q.日本犬は騙されやすい?
日本犬の場合、警戒心が強い犬種だということもあり、子犬のころから飼い主が「抱っこしたいからオヤツでつっちゃえ」という感じで騙されることが多い。その結果騙されにくくなる。
Q.どんな犬が騙しにくい?
周囲の様子をよく伺う犬は慎重なので、騙されにくい犬だと言える。そして、食欲が少ない、ものに執着がない犬は、つられる対象も減るので、騙されることも少ないと言える。
Q.騙しやすい犬は?
警戒心が弱く、何ごともとりあえずやってしまえ!という性格で、食欲やものに対する執着心が強い犬は騙されやすい。そして子犬は、単純に経験値が少ないから騙されやすいと言える。
Q.犬を騙すコツは?
例えば、手をグーにして犬を呼ぶことがあると思う。その際、毎回何もくれなかったら学習してしまうので、時々報酬をあげるようにする。要は、ポジティブな印象を時々与えることが大切。
犬は『騙す』という概念がある?
ケース1.聞こえているけど知らんぷり
飼い主がいない間に、大好きなオヤツを盗み食い。現場を見られてても食べ続け、怒られても気にせず、むさぼり続ける。そんな愛犬の姿をよく見る人も多いのではないだろうか?
ケース2.反省するのは見た目だけ!
オシッコをカーペットの上にしてしまい、怒られるが「すいません!もうやらないです」という素振りで嵐が去るのをひたすら待つ。一流の処世術とも言えなくもないが、果たして真意は?
▼犬と人間の感覚は違う
犬に騙すという感覚はない。例えば、追いかけっこで遊んでいるときに、愛犬にフェイントをかけられたというのは『こうすれば、相手が好きな動きをしてくれる』と思っているだけで、人間が『騙された!』と勘違いしているだけ。
上のケース1のような真意は叱るということは弱すぎると効果がないし、強すぎると恐怖のみになっていしまう。犬は『どうせ叱られるものだからやっちゃえ!』と慣れてしまっているのだ。愛犬の聞こえないフリを責める前に飼い主側のしつけ方を考え直すことが大切。
ケース2の場合についても考えてみよう。犬はイタズラをして時間が経つと忘れてしまう動物。悪いことをした直後に叱らないと、なぜ叱られているか分からなくなるので、反省したように見えるのは、理解しているわけではなく、叱られていることに反応したということなのだ。
騙されたと思う前に、愛犬の目線に立ってみれば「騙された!」と人間側が勝手に思い込んでいたことに気づくはず。
犬が言う事を聞けないパターン
・体の部位が痛くて身体的に言うことを聞けない
・犬が指示そのものを理解できていない
・強い恐怖心や興奮状態で指示を聞けない
何事もバランスが大切。愛犬の気持ちを理解してあげよう。
騙しすぎに注意!
騙しすぎると、側に寄ってきてくれなかったり、飼い主のことを疑ってかかるようになり、信用が崩れてしまうことがある。
最近、愛犬を撫でようとしたら逃げるようになってしまった、という人がいれば関係を見直したほうがよい。さらに症状が進めば、ストレスによってお腹を壊してしまうこともある。
しかし、緊急で動物病院に連れて行かなければならないなど、騙してでも人間の意向に従わせたい場面もあるが、上記の事情によって言うことをきけなない場合があると理解しておこう。
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Shi‐Ba vol.61『証拠は残さず完全犯罪 上手なダマし方』より抜粋
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