近年は地震や豪雨による災害が続いている。いつ起きてもおかしくない災害に備えるために、用意しておきたいグッズ、飼い主がやっておくべきことを学んでおこう。
■用意しておきたいグッズは?
■優先順位1.命や健康に関わるもの
■優先順位2.飼い主や動物の情報
■優先順位3.ペット用品
■飼い主がやっておくべきことは?
■地域の防災や避難所を確認しておこう
用意しておきたいグッズは?
犬の健康を守るために必要な水、療法食、薬などを厳選する
『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(以下ガイドライン)』では、動物との避難に必要な備蓄品を優先順位別に3つに分けている。下記を目安にご家庭でアレンジして用意しよう。
最優先するべきは、犬の健康を保つために必要なもの。特に水だけでもあれば、人も犬も数日は生きられる。また、なくなるとすぐ困る療法食や薬は必ず用意しておこう。
見落としがちだが、愛犬の特徴や体調の記録も重要。優先順位が高いものは、なるべく用意しておきたいもの。
備蓄品を持って避難する場合は、両手が空くリュックサックがよい。荷物の重さは成人男性が15㎏、成人女性が10㎏を目安にしよう。
小型犬はキャリーバッグに入れて避難した方が無難。とはいえ犬とバッグで重量が5㎏を超えるので、避難経路の状況によっては歩かせよう。一人暮らしなどで持ち出せるものが限られる場合は、キャスター付きのクレートやバギーなどに、犬と備蓄品を乗せて避難してもよい。
また、災害が起きて3日経てばある程度状況が落ち着き、援助物資が届き始めるだろうと考えられていたが、災害の規模によっては時間がかかってしまうケースもあり、5日間は自力でしのげるように用意しておきたいところ。
ただし、備蓄品を全て持って避難する必要はない。優先順位が高いものをすぐ持ち出せるようにして、残りは自宅や物置に置いておくのもよい方法。それなら5日分以上でも用意できるだろう。
療法食や薬などの毎日与えるものは、多めに用意しても消費期限が切れることなく使えるはずだ。
優先順位1.命や健康に関わるもの
水
水があれば数日間は生きられるので、最優先に用意しておくこと。加えて、簡易浄水器を用意しておけば、風呂の残り湯や河川の水を飲料水にできるので便利。
療法食・薬
アレルギーや病気などで療法食を与えている場合は、かなり多めに用意しておきたい。援助物資が届き始めても、療法食が手に入らない可能性もある。薬はかさばるものではなく、消費期限も長いので多めに備える。特に慢性疾患がある場合は必須だ。
フード
療法食を必要としない場合は、総合栄養食のフードを用意する。いつも食べているフードを多めに購入する習慣をつけよう。
予備の首輪(ハーネス)・リード
いつも使っている首輪(ハーネス)やリードが破損してしまうこともある。予備を用意しておこう。取り残された犬や放浪している犬を保護する時にも役立つ。
食器
過去の災害時に不足した物資のひとつが、食器。フードと水を入れるものを2つ以上準備。持ち出すことを考えて、プラスチック製などの軽量の素材を選ぼう。
ガムテープ
ケージの補修やケガの応急処置など、多用途に使える便利品。下記の筆記用具と合わせてぜひ用意しておきたい。
筆記用具
主に避難所に張り出す時に役立つ。行方不明の家族や動物の特徴を書いて目撃情報を募ったり、必要な物資などを依頼したりする時に使える。また、取り残された犬を保護して連れて行く場合にも必要だ。
優先順位2.飼い主や動物の情報
・飼い主の連絡先
・動物の写真
・ワクチン接種状況
・既住症・健康状態
・かかりつけの動物病院 など
飼い主の連絡先や愛犬の健康状態などの情報は、まとめて記録しておくと便利だ。愛犬が行方不明になった時にポスターやチラシを作る時に活用しよう。保護された愛犬が引き取る時に飼い主の証明書にもなる。また、愛犬を預ける時や避難所への動物の訪問診療の時などにも重要な役割を果たしてくれる。
災害は愛犬が留守番をしている時に起きるかもしれない。飼い主がすぐに帰宅できればよいが、戻れない可能性もある。そのような時のために、災害対応の表札にしておくとよいかもしれない。災害直後に緊急災害時動物救援本部などから、動物のためのボランティアが派遣される。人目につきやすい表札に愛犬の情報を明示しておくことで、万が一の時に救出される確率が上がるはずだ。
優先順位3.ペット用品
ペットシート(トイレシート)
愛犬がケージで過ごす時に敷いたり、トイレに敷いたりして使える。人の簡易トイレとして使用できる場合もあるので、多めに準備しておこう。
排泄物の処理用具
便を入れる袋などの処理用具を準備する。避難所の状況や地域によっては、袋ごとごみに出す、人用のトイレに流す、空き地に埋める、といった処理方法になるかもしれない。
トイレ用品
トイレットペーパーは人にも犬にも使える。消臭スプレーなどがあると、においの問題が出にくいので便利だ。
タオル・ブラシ
避難所で問題になりがちなものは、においと抜け毛。タオルで犬を拭いたり、ブラシでとかして抜け毛が飛び散らないようにしたり、衛生面に配慮しよう。
オモチャなど
犬も災害や慣れない避難生活でストレスを感じている。少しでも解消させるために、好みのオモチャを用意しておくのもひとつの方法だ。
飼い主がやっておくべきことは?
■飼い主同士の話し合い
自宅が倒壊して備蓄品を取り出せない時や、犬が留守番をしている時に災害が起きた時などは、飼い主同士の助け合いが必要になる。犬を預かる、もしくは預けることになるかもしれない。また、避難所に入所した動物の世話は飼い主たちが行うので、そのことも想定して話し合っておきたい。「地域の動物マップ」を作成して、頭数や種類をまとめておけば、安全の確認や救援物資の依頼がしやすい。
■地域の防災の確認
避難所の管理者はその施設の責任者なので、学校であれば校長、公民館であれば町長や村長になる。事前にペットの受け入れについて確認しておこう。各自治体はガイドラインをもとに地域防災計画を作っているが、同行避難について明記していないケースもある。入所不可の場合でも、飼い主たちはルールを提出して入所できるようになった例もある。事前に受け入れの有無がわかれば、管理者と話し合うこともできる。
■避難ルートの確認
近隣のペットが入所できる避難所を調べ、そこまでの避難経路をいくつか確認しておこう。家屋の倒壊や火事などで避難経路が通れない場合でも複数調べておけば安心だ。実際に犬を連れて避難することで課題も見えてくるので、繰り返し行うことが大切だ。
地域の防災や避難所を確認しておこう
もしもの時に備えて、飼い主がやっておくべきことはたくさんある。
まず、近隣の飼い主と日頃から良い関係をつくり、災害時の話をしておこう。犬の飼い主は散歩に出かけるので、他の動物の飼い主より顔見知りが多いはず。そのコミュニティを防災に役立てよう。主に必要な決めごとは上の通りなので、散歩の時に出会う飼い主と話し合っておこう。
また、ペットを受け入れる避難所が近所にあることを確認しておくことも必要。ペットは同行避難が原則だが、地域によっては避難所に受け入れられないこともある。もし近隣の避難所に犬が入所できない場合は、災害時にどうするか考えておこう。地域の防災計画を確認しておくとより安心。同行避難はあくまでも原則で、中には例外もある。あわてないように事前に確認しておきたい。
災害が起きた時、避難所や避難するところが決まったら、そこまでの避難経路を確認しよう。建物が密集しているところは、倒壊で道がふさがれてしまう可能性もある。できれば避難経路をいくつか調べておき、『我が家の避難マップ』の作成をしておこう。実際に犬を連れ、備蓄品を持って避難所まで歩いてみれば、問題点が見えてくるので備えを見直すことができる。
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プードルスタイル vol.15『本当に必要な備えと、飼い主責任によるペットとの同行避難を考える 災害が起きた時 愛犬を連れて生き延びる!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。