犬は一日の中で、寝ている時間が長い。快適に眠るために、心地よい寝床を提供したいと思うのが飼い主の心情だ。今回は知られざる犬の睡眠について徹底検証!
育った環境によって好きな寝場所は変わる
犬が好きな寝場所は子犬のときにどんな環境で育ってきたかで変わる。特に生後数ヶ月から2歳くらいまでに、どういった場所で生活したかが重要。
小さな頃から家の中でふかふかのベッドに包まれて寝ていたらふかふかの場所で寝るのが好きになる。室内飼いでもケージの中が生活の拠点であれば、ケージのすのこの上が安心するケースもある。基本的に風通しのよい場所を好む傾向にある。
家の中を自由に動き回れる環境であるなら、犬が好きな場所を見つけ出す。暑い日は涼しく、寒い日には暖かい場所というふうに気候に応じて、寝場所が定まってくるはずだ。
だからまずは、愛犬がどこで寝るのが好きなのかを観察してみよう。
気候について考える
◎暑い日
気温が高い日は、家の中の日の当たらない場所で寝るようになる。
朝方など涼しい時間帯は日の当たる場所にいても、暑くなったらフローリングなど冷たい床へと移動したり、畳の部屋で寝ていることも。玄関やお風呂場など、涼しい場所で寝ていることも。エアコンの風が当たる場所に一日ずっといる犬もいる。
外飼いの場合は、木陰に移動したり、土に穴を掘って、そこに埋もれていたり。秋冬も日当たりのよすぎるサンルームにいさせると、熱中症の危険があるので注意。
◎寒い日
冬は暖かい場所を好むケースが多いが、柴犬は体毛が密に生えているため、寒さに強い犬種である。豪雪地帯の犬は雪の中で寝ていることも。
もし、寒そうにしていたら寝床に毛布やヒーターを入れたり、ダンボールで小屋を作ってあげるとよい。
また、老犬や病気で痩せている犬は寒さに弱く、外飼いだと寒さが厳しい2月頃に亡くなるケースもある。
冬場は家の中に入れるのが理想だが、難しい場合は玄関に入れたり、しっかりした犬小屋を作って対策を行いたい。
◎湿度
犬は乾燥には強いため、カラッと晴れた冬の日は比較的元気よく過ごせる。逆に犬は湿度が高い場所に弱い。
犬にとって理想的な湿度は50~60%。秋冬は快適に過ごせる季節なので、特に対策を行わなくても大丈夫。
ただし、気をつけたいのは夏場。日が当たらない場所でも、高温多湿の状態であると熱中症を引き起こす危険性がある。
風通しがよくないと、肺に湿気がこもってしまい、呼吸が早くなってくる。高温多湿の日は、エアコンや除湿器を活用して、湿度を下げる対策を行っておこう。
◎風や雷
外飼いの場合、犬小屋を作るなどして風対策をしておくべき。特に冬場は北風を避けられるように、風が入ってこない方向に小屋を置くと◎。
家の中でも風で雨戸がガタガタ鳴ったり、金属音がすると怖がって眠れないことがある。
また、雷の音も犬には大きなストレスになる。パニックに陥ると予想外の行動を起こし、脱走してしまうこともあるため、なるべく飼い主が一緒にいて安心させてあげよう。
数日経っても震えが止まらないなどの症状が出たら、獣医師に相談して。
条件について考える
◎屋外と室内
家の中でフリーの状態であれば、季節やその時の気分に応じて、暖かいところや涼しいところなど、自分で好きな場所を探して寝ている。
サークルなどで行動を制限している場合は、夏場はエアコンが当たる場所や、直射日光を避けた風通しのよい涼しい場所に設置を。
外飼いでは、夏は小屋の入口を西や南など、暑い方向に向けないこと。逆に冬場は日当たりのよい方向に回転させる。
また、日の当たる場所、日陰、犬小屋と状況に応じていろんなくつろげる場所を作ってあげよう。
◎犬の性格
人間と同じように、犬も寝心地のよい場所は十匹十色。家の中でも、硬い床の上で寝るのが好きな犬もいれば、ふかふかのベッドがなければ眠れない犬も。
外飼いなら、風通しのよいところ、屋根のある小屋、植物の下、軒下など、その家の環境で異なってくる。
犬が一番迷惑なのは、寝場所を押しつけられること。そのためにも、犬がどんな場所で寝るのが好きなのか、しっかり把握しておきたい。
そして、犬が好む場所で眠れるように環境を整えてあげることが大切だ。
ポーズのヒミツ
体に毛が生えている犬は、寝るポーズによって体温をこもらせたり、熱を発散させているという。
特に毛が密に生えている柴犬は、夏場は体が伸びきったり、お腹を仰向けにして寝ていることが多い。このポーズで寝ることで、熱を外に逃がそうとしているのだ。そのため、夏は犬が心地よく感じる涼しい場所を提供してあげよう。
一方、寒さには強い犬種のため、冬は夏ほど対策をとる必要はないが、もし寒そうに震えていたら毛布などを用意すると◎。
また、犬の性格によって、とりやすい寝相がある。お腹を出して寝るのは最も無防備な状態なため、臆病な犬はあまりこのポーズをとらない。ちょっと物音がしただけでもすぐに動ける体勢で寝ることが多い。怖がりな犬を安心させるには、周りを静かにさせるなどの対策を。工事などで、音が止まない状態なら、動物病院で精神安定剤を処方してもらうのもひとつの方法。
もしも愛犬が、暑くもないのにお腹を見せてぐっすり寝ていたら、飼い主を信頼しきっている証。
いつでも起き上がれる、フセの状態で寝ていたら、周りを警戒しているのかもしれない。
愛犬の寝相をチェックして、今がどんな状況なのかを考えてみよう。
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シニアが喜ぶ睡眠環境&ポーズ
◎ポーズ
健康的なシニア犬は丸まって寝るケースが主流。四肢のマヒ、脳の病気、呼吸器系の病気、心臓病などにかかっていると、体を丸めて寝ると苦しくなるため、横になって寝ることが多くなる。
横向きでも寝やすい向きがあり、寝たきりの犬の体位を変えた時に、体の痛い部分が下になると起き上がろうとしたり、吠えたり、もがこうとすることがある。
日頃から愛犬の寝ている姿をよく観察していれば、一番どの体勢で寝やすいのかがわかってくるはず。
◎睡眠環境
シニア犬や子犬は温度管理が上手くできないので、夏は涼しく、冬は暖かい環境にしてあげること。夏は直射日光を避け、冷房の効いた涼しく快適な場所を確保して。
シニアでも肉付きがよくて健康な犬であればある程度の寒さには耐えられるが、痩せている犬は暖房をつけたり、毛布を用意してあげよう。
太っていても、甲状腺機能低下症にかかっていると寒がってガタガタ震えるようになるため、特にこの病気の犬は寒さ対策を万全にしておこう。
好きな場所で眠れる生活を
犬は飼い主が与えた環境によって、寝心地のよい場所を学習していく。そして、頑固な柴犬は一度「ここがいい!」と思ったら寝場所を変えないタイプ。
だから、飼い主が寝場所を変えようとしても、上手くいかないことがある。新しいベッドを買ったのに入ってくれなかったり、犬小屋を建てたのに相変わらず外で寝ていたり。
しかし、愛犬が老犬になった時、やっぱり寝場所はふかふかのほうがいい。犬をベッドで寝かせたいと思うのなら、オヤツやオモチャで誘導して、犬が自然にベッドに乗るようにしてあげるとよい。一度この場所が気持いいと感じたら、すんなり順応できることもある。
また、いつも飼い主と寝ている犬も多いだろう。しつけでコントロールできていたり、人間が生活に不自由を感じていないのであれば、そのスタイルを崩す必要はない。
ただ、犬が本当はひとりで寝たいのに、飼い主と一緒に寝かされている状況であるなら、ストレスがかかってしまう。
また、極度の分離不安に陥る可能性もある。もしも問題行動が出ているなら、しつけの先生に寝場所について相談してみよう。
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Shi‐Ba vol.86『一番寝心地のいい睡眠スタイル、ご提案します。柴犬の寝心地とことん調べ隊!!』より抜粋。
※掲載されている写真はすべてイメージです。