犬びより

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サインを送り、感じとりトラブル回避……犬たちのフェアプレイ精神に学べ!

2019/02/07

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犬が見せるフェアプレイ精神とは?我々が一般に認識しているそれとは違うものなのか。そしてそれはどんな時に現れるのか。愛犬のサインをキャッチすれば、より犬の気持ちがわかるはずなのだ。

 

犬のフェアプレイとは?

柴犬のボディランゲージ

波風立てないための軽いアピール

犬にとってちょっと嫌なことがあった時、犬は必ず何がしかのサインを表す。すぐに激しく怒ったりはしない。それが犬のフェアプレイ。いわば最初の警告を発しているわけだ。

 

犬がフェアプレイ精神を発揮する時

例:同じ空間に人がいる時、人とすれ違う時、来客に対してなど……

フェアプレイというものは、複数の生き物が存在する時に必要となる。したがって犬の場合でも、自分以外の第三者がからむ場面ではそのすべてでフェアプレイが発揮されると思っていい。相手が人であっても犬であってもだ。人との生活の中で犬はトラブルを避けるため、かなり気を遣って生活している。

 

フェアプレイをする犬のコトバ

■口元の緊張
柴犬のボディランゲージ
いわゆる歯を剥くという表情。これは相手に対しての警告。「1回は許すが、2度はダメ」といったことを伝えていると思われる。

 
■白目を見せる
柴犬のボディランゲージ
穏やかそうに見えるが、実はかなり神経を張り巡らせて周囲を警戒している表情でもある。大好きなものを取られないための臨戦態勢?

 
■立ち去る
柴犬のボディランゲージ
「これ以上かまってくれるな」というストレートな心情表現。あんまりしつこく接すると、大爆発してしまう危険性もややあり。

 
■耳を寝かせる
柴犬のボディランゲージ
ちょっと警戒気味、引き気味の合図。立ち耳の日本犬では非常にわかりやすいボディランゲージのひとつ。よく見てると頻出してる。

 
■顔を背ける
柴犬のボディランゲージ
「それはあまり好きではないので」とやんわり表現する行動。比較的飼い主にも伝わりやすい仕草である。

 
■目を細める
柴犬のボディランゲージ
人でもよくやる疑うような表情は「今のは一体何なの」と軽く相手を責めている、あるいは見下しているようでもある。

 
■プレイバウ
柴犬のボディランゲージ
遊びを誘うポーズでもあるが、いつでもどんな行動にも対応できる、ということを相手に見せつけるための行動でもある。

 

見落としがちな犬からのサイン

・唸る、吠える
・体を少し低く
 構える
・目を細める
・目をそらす
・マウンティングする
・耳を倒す
・白目をむく
・あくびをする

集団生活の中の秩序を保ちたいというのが犬の基本的な希望。犬から見てその秩序が乱されそうだと感じられると、犬は様々な手法で我々にサインを送っている。それに気付けるかどうかで、犬との関係や生活が円滑になるか、緊張感を持ったものになるかが分かれる、とも言えるかもしれないので、見落とさないで。

 

本能的な能力だから訓練しなくても大丈夫?

柴犬のボディランゲージ

基本的にはトラブルを起こしたくない。しかし、生活するすべての場面で犬が理想としている環境がいつも維持されているわけでは当然ない。そのような場面で犬は様々な手段でサインを送ってくる。いわばボディランゲージを使用して状況を伝えようとしているわけである。上はそのいくつかの例である。

ボディランゲージによる「警告」を発している犬たち。それを読み取ってあげないことには犬の望む秩序は保たれ難くなる。そうなると犬もフェアプレイなんて言っている場合でなくなる。

このあたりの線引きは犬種によっても、またそれぞれの犬の気質によっても異なってくる。どこまで許して、どのラインを越えると抑えていた気持ちが爆発するかは様々だ

また、犬が犬社会の中で生まれ、生活していれば、トラブルを起こさない能力は育っていくが、人間と暮らす犬はその経験ができない。ではどうすればフェアプレイ精神を備えた犬に育っていくのだろうか。それは、パピー時の社会化期に他者とどう関わるかが大切になってくる。その経験が極端に少なければ、相手とどう接していいのかがわからずに成長してしまう。

そうなると、フェアプレイが備わっていない犬になってしまう。それどころか、犬も含めた他者との関係をうまく築けない犬となり、当然当事者であるその犬自身も常に不安な状態で生活していくことになるのである。

つまり、本能的には備わっている性質ではあるものの、自分の過去の体験を通して学び、これを数多くストックしていくことで、様々な場面でも事を起こさずに済ませられる能力を広げていくことがとても大事なことなのである。経験と学習により、トラブル回避能力は格段に上がっていくのだ。これは人にも言えることでもある。

 

犬のフェアプレイQ&A

Q.犬同士で追いかけっこ止めたほうがいいのか
犬同士で遊んでいる時には案外フェアプレイ精神が発揮される。追いかけっこしてエスカレート、ちょっと危険かなと思ったところで急にクールダウン。これも犬自身が相手を過剰な精神状態にしないためのフェアプレイだ。


Q.オスとメスでは能力に違いがあるの?

フェアプレイの精神は性別で変わることはなく、それぞれの犬の性質や、それまでの社会での経験値などで差が出てくる。短気な犬であれば、サインを出してから間髪入れずに怒ることもある。

 
Q.犬からサインが出たらどう対応すればいいのか
「これ以上はダメ」という犬からのサインが出たら、それ以上刺激することは避けたほうがいい。せっかく犬のほうからやんわりと警告が出ているのだから、ここはそれにしたがって事を穏便に済ませるべきだ。

 
Q.フェアプレイのサインは犬から一方的に出るの?
犬は他者と共生する生き物、と先に述べたように、当然第三者から出るサインも受け取っている。押したり引いたりしながら秩序を保っているのである。人との生活の中でも、飼い主の指示はきちんと聞いてるし。

 

犬社会と人相手ではフェアプレイの意味は違う

柴犬のボディランゲージ

犬は群れの中で生きてきた動物。だからフェアプレイの精神が備わっている、ということはおわりいただけたと思う。だが、今我々と暮らしている犬たちは人間生活の中で育ち、学んでいる。そこに何か決定的な違いは生じないのだろうか。

例えば犬社会の中でアンフェアな遊びをすると、仲間外れにされてしまう。それは犬にとってかなり切実なことであり、恐怖でもある。そのため、犬同士の中では譲り合いをかなり意識しているこの意識は、人に対して自然に現れることはない。人が教えないと備わらないという。

また、ある犬がガムやオモチャをくわえているところに、もう1匹の犬が来て「それちょうだい」と言ったとする。だが、くわえている犬はやんわりと「イヤ」という意思表示で首を振る。あとから来た犬がもう一度「ちょうだい」と言うと、今度は少し強めに怒る。これなどもワンクッションきちんと置いており、フェアな行動であり、集団内のある種のルールに則った行動であると言える。

一方、人との生活の中でのフェアプレイはどのようなものか。犬は人と接する時はとても誠実。人に対していい加減な態度は絶対に取らない。人との生活の中で、犬はかなり気をつけて生活している。例えば、人が寝ているところを犬が跨いだりそばを通ったりすることは、まずない。これも犬の気遣いである。

逆に犬が寝ているところに人が必要以上に近づけば、犬は「これ以上寄らないで」というサインを送ることもある。これもまた、無用なトラブルを避けたいがためのサインである。とりわけ日本犬の場合は、人に気を遣っていると思われる。とてもデリカシーのある犬種なので、雰囲気を察してトラブル回避するという場面が、意外と多く見られるはずだ。

 

観察力は犬に見習うべし

柴犬のボディランゲージ

日本犬はフェアプレイ精神に富む犬種である。それだけに人に多くのサインを送っているということが言える。だから、日本犬の飼い主はより注意してそのサインを拾い、読み取っていく必要がある。

犬は常にいろいろなことを語りかけてくれている。今自分がどんな気持ちでいるかも伝えてくれている。それを人が察してあげることで、犬との関係は今よりも良いものになっていくはずだ。

犬は人に対していつも気を遣いながら暮らしている。人もそれに応えてあげなくてはならない。犬が我々を観察しているように、我々も犬くらいの観察力を備えたいものである。

また、犬はスルーすることがとても上手な動物。あえて過剰に気にすることなく振る舞い、立ち去ることが多い。これは実に大人な対応と言える。そんな時は追いかけ回さず、気にせず放っておいたほうがいいのだ。

犬は根本的に平和主義、しかも自分を律することのできる動物なのである。だからこそ、穏やかな状態を自ら壊すことはしたくないし、周囲との関係を常にいい状態に保っていたいと考えている。

でも自分の意に反した環境が生まれそうになった時に、やんわりとした方法で「それはやめてほしいな」というサインを出すのだ。いきなりガウガウではないのだ。ここに犬のフェアプレイが現れている。

「1回は許す。2回目はないよ」そのようなものかもしれない。そのあたりのレベルは犬によっても違ってくるが。もう一度、我が家の愛犬のサインを確認してみてほしい。

 

お互いのイエローカードには要注意

フェアプレイを望む犬のサインに、人が気づかなかったらどうなるのか。

イエローカードが累積するとレッドカードになる。犬の場合も同じだ。犬のレッドカードは退場ではなく、信用崩壊。人と犬との関係が悪化を辿ることになってしまう。しかも、そのレッドカードを出す間隔が短くなっていく。

そうならないために、犬が出すサインをきちんと受け取ってあげないといけない。良好な関係を維持していくために、人もまたフェアプレイに努めなければならない。そしてまたそれは犬も同じ。飼い主のサインを受け取れるように学ばせることも大切。

 

誰も争いを望んでいないってことなのだ

柴犬のボディランゲージ

フェアプレイが出てくる裏には、争いごとを望まないという心がある。誰でもそうだと思う。

愛犬に対して、ついつい派手にかわいがったりかまったりしてしまいがちな我々は、悪気はないにしても、少々そのあたりの機微を拾い上げてあげなければならないのかもしれない。

とりわけ「放っておいてほしい」感の強い日本犬である。心して犬たちのサインを認識してあげないと、こっちが犬から見放されてしまう、なんてことになるかもしれないので。

 
 
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Shi‐Ba vol.90『常にサインを送り、感じとりトラブル回避を心情に…… 犬たちのフェアプレイ精神に学べ!』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。