あくびをしたら「眠いんだね」、シッポを振ったら「喜んでる!」など、日常において犬の行動を人間風に解釈することは多い。でもその解釈、本当に合っているだろうか?
犬のボディランゲージについて
【方法】
ポジティブな反応は本能的に、ネガティブな反応は意図的に
ポジティブな反応は、反射的に出ることが多い。対してネガティブな反応の場合は、犬が「相手を落ち着かせたい」あるいは「自分を落ち着かせたい」という意図のもと出す場合もある。なお、シッポや耳の動きは感情の起伏を本能的に出すもので、どちらの意味でも出る。
【覚え方】
本能的に備わっているものと、社会生活で学ぶものがある
ボディランゲージは、ある程度犬の本能として備わっているが、親きょうだいや他の犬との交流によって学習していくものもあり、だいたい1歳くらいまでに習得する。それまでに社会経験をあまりしなかった場合、ボディランゲージの発信方法も受け取り方法もわからず、空気を読まない行動をとりがちで、犬同士のトラブルを起こしやすくなるケースもある。
【数】
全部で35個前後。柴犬は少なめ&控えめ!?
犬のボディランゲージの数は定かではないが、イメージとして35前後。柴犬は比較的、他人や他犬に対して本心を見せない性質であるため、ボディランゲージはわかりにくい。ただ、地味ながらも必ず体で表現はしているので、愛犬がどんな時に、どんなボディランゲージを出しているかを把握しておきたい。
【人が間違える理由】
ひとつのボディランゲージ=ひとつの意味とは限らない!
知識がないと、ボディランゲージを読み間違えやすい。たとえばシッポを振っていると「喜んでいる」と思いがちだが、攻撃心から興奮して振る場合もある。またボディランゲージの意味はひとつであるとも限らない。犬を理解するには、前後の出来事や、他に出ている行動・様子もトータルで読み取ってあげよう。
【役割】
相手や自分を落ち着かせるもの、アピールするものの2種類ある
ボディランゲージの役割は、ざっくり分けて2つある。ひとつは、遊んでほしくて前足で叩く、お腹を見せて遊びに誘う、などのポジティブな反応だ。もうひとつは「カーミングシグナル」ともいわれるもので、他犬とのトラブルを回避する、もしくは自分を落ち着かせるために出すネガティブな反応だ。さらにボディランゲージによっては、この2つのどちらの場合にも出る表現もある。
犬のポジティブな反応
他の犬や人に対して「遊びたい」「散歩に行きたい」などの気持ちの表現。意図的というよりは本能的に出やすいボディランゲージ。
□好きな犬との再会を喜ぶ時
□よその犬と遊びたい時
□飼い主に散歩をせがむ時
□飼い主に食べ物を要求する時
□虫を見つけてうれしい時
など
飛びつく
他の犬や人と遊びたい時などで、興奮が高ぶった時に飛びつく犬は多い。犬にもよるが、ポジティブな反応のうちもっとも激しい表現だといえる。
すり寄る
猫のスリスリ行為と同じように、体をすり寄せてくる行動は、好きな犬や人への愛情表現として出てくるもの。かゆいからではない。
お腹を見せる
相手と遊びたい時に、自分のすべてをさらけ出して誘う姿勢。年上の犬が、幼い犬にあえてお腹を見せてあげることも。
見つめる
相手の犬に興味がある時や、人に対して「散歩に連れて行ってほしい」などの欲求がある時、または食べ物に対して欲しくてじっと見る時も。
※「見つめるだけ」でなく、ネガティブな時に出るボディランゲージ反応もプラスで出ている時には、攻撃心や恐怖心があることもある。
前足でたたく
相手と遊びたい時などに出る愛情表現。マッサージ中「もっともっと」と要求したり、食べ物が欲しい時などにも出やすい。
比較的分かりやすい表現。でも興奮しすぎる時は注意!
相手と遊びたい時や、食べ物をねだる時など、比較的ポジティブな反応として出るボディランゲージは、その本当の意味が、人が考えているイメージとだいたい一緒なので、飼い主にとって理解しやすいといえる。
ポジティブな反応は、犬が意図して出すというよりは、感情のノリで出やすい本能的なもの。飼い主さんも『うちの犬はオヤツが欲しい時に見つめてきます』とか『好きな犬がいるとつい飛びついちゃうんです』など、一緒に暮らすうちに愛犬の出しやすいボディランゲージの傾向がわかってくるだろう。
ただし、犬がポジティブな反応を出しているからといって、その状況は必ずしも安全安心だとは限らない。例えば最初は遊びたくて他の犬に飛びついていた犬が、興奮しすぎて相手に噛みついてしまうようなこともある。
ポジティブな反応は、いわば興奮の表れとして出ているもので、その興奮が振り切れてしまった場合は、攻撃などトラブルにつながる行動に転じる場合も。特に、初めて出会う犬がいる場所などでは、ポジティブな反応が出ているからと安心せず、状況を見守ってあげる必要がある。
犬はボディランゲージ自体いくつか同時に出している場合もあり、ボディランゲージの意味はひとつとは限らない。ひとつの反応だけを見るのではなく、前後の状況や他の行動もトータルで見てあげよう。
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Shi‐Ba vol.100『体の動きや様子から読み取れる心理を知って、もっと犬と仲良く!間違いだらけのボディランゲージ』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。