愛犬からの評価をあげたい! でも、犬は飼い主の何を見て、人間性を評価するのだろうか?今回は犬が人の何を評価しているか、評価をあげる方法を探ってゆく。
愛犬の評価を上げる4ヶ条
評価を上げるためにはどうしたらよいのか?その方法を4つに分けてみた。日常生活でぜひ実践してみよう。
1.無理やりをなくす
まず基本となるのはこれ。嫌なことを無理矢理してくる相手には、近寄りたくなくなることも。好き嫌いは犬によって、それぞれ違うので、愛犬の嫌がることを知っておこう。どうしてもやらなければいけない場合は、どうやったら受け入れてくれるか、好きになってくれるかを工夫することが大切。
▼ケース別対応方法▼
(1)足拭き
足拭きが苦手な場合、オヤツを食べさせながら足を1本タオルで拭き、休憩。そして、またオヤツをあげながら同じようにもう1本。ゆっくり時間をかけて行う。
(2)ブラッシング
まずはブラシを見せてオヤツ。慣れてきたらブラシを近付けてオヤツ。次にブラシの背のほうを一瞬だけ犬にあててオヤツ。このように、少しずつ慣らしてゆく。
(3)耳掃除
綿棒を使わず、濡れたコットンを指に巻いて行う。最初は無理せず顔や首を触り、成功したらオヤツをあげて慣らしてゆく。耳を触れるように徐々に近づいてゆく。
2.行動に一貫性を持つ
やっていいこと、いけないことを教える時に、一慣性を失うことは飼い主への信頼をさげてしまうこともある。例えば、飛びつき。この人には飛びついてもいいけど、あの人はだめ。あるいは、散歩から帰宅した時、足を拭く日と拭かない日があるなど。だめなことを教える時は、どの場面でもさせないように、してほしい行動を教えておく。
3.楽しいことを一緒に
一緒にいる時間が長く、コミュニケーション上手な人を犬は好む。一緒に遊ぶ、気持ちよいところを触ってくれる、ケアしてくれる、など。その犬が好きなことをして、楽しませてくれる飼い主は評価が高く信頼される。コマンドも、コミュニケーションのひとつ。
4.よい指針をとる
□良い上司をイメージしよう
1.何をしたらよいか教えてくれる
2.よいことをすれば評価してくれる
3.精神的に引っ張っていてくれる
どういう場面で、どう振る舞えばよいか教えてくれる人を、犬は高く評価し、信頼する。引っ張ってくれて、指針になる人。言う通りにすればオヤツをくれたり、ちゃんと評価してくれる人だ。愛犬が散歩の時に横についたり、コマンドに従った時はほめてあげよう。
【point1】日常生活の中で意識
ほめることはトレーニングの時間だけではなく、日常生活の中で意識。散歩中、近くに犬がいても吠えず、飛びつかなかったらちゃんとほめる。普段の生活で、進むべき道を教えてあげよう。
【point2】簡単なものから教える
例えば、飛びつかないことを教えるのは難しい。最初はオスワリなど、簡単なものに挑戦し、出来たらごほうび。言う通りにしたらほめられると覚えてゆき、他のことを教える時も応用できる。
愛犬を喜ばせるためには?
飼い主にとって、一生のテーマにもなりうる難しくも、楽しい作業。それが、愛犬を喜ばせること。これは、評価に直結するはずである。
マウンティングを、本当はいけないと理解した上で許容してあげたり、一緒に寝てみたり。だめなことをしたら叱るのも重要だが、出来るだけ犬がやりたいように過ごさせてあげるのも、ひとつの愛情だ。
▼もっと評価を上げたい時は……
□突然大きな声を出さない
ヒステリックな行動は、犬を驚かせる。誰かとケンカしたり、スポーツ観戦している際に興奮して大声を出すのは避けよう。
□必要以上にベタベタしない
もちろん個体差はあるが、基本的に柴犬は、べたべたされるのを嫌がる犬が多い。愛犬を観察して、嫌がらない程度にスキンシップを。
□ボディランゲージの意味を知る
例えば、あくび。寝起きや眠い時にもあくびは出るが、緊張していたり、ストレスがかかっている時も行う場合がある。
飼い主にイジワルした相手を犬は嫌う!
人間は誰かの人間性を評価する際、その人がとる第三者への行動や態度を観察することがある。友人を馬鹿にしたり、店員に暴言を吐くような人を見ると、評価はがた落ちする。
犬にもどうやら、そういう能力があるらしい。犬の評価方法は、オヤツをくれる人はいい人というような単純なものではない。それを示す実験がある。
この実験は、演技者Aが、困っている飼い主を援助する場合と、援助を拒否する場合、犬がどのような評価を下すかを調べるもの。
フタのある半透明の入れ物へビニールテープを入れ、飼い主がそれのフタをあけて取り出そうとし、Aに援助を求める。中立者で、それを見ているだけのBも実験に参加。
実験したのは3つのパターン。1では、飼い主がフタを開けられないので、Aに開けてほしいとお願いすると、入れ物を支えて、開けるのを手伝ってあげた。2では、お願いしたが、Aは顔をそむけて援助を拒否。3では、Aに援助を求めてはいないが、Aは意味もなく顔を背けた。いずれも、Bは顔を下にむけてやりとりに関与しない。
そして、演技が終わった後、AとBが同時にオヤツをあげて、犬の反応を見る。結果は、2の援助を頼まれたのに無視したAからはオヤツをもらわなかったケースが多かった。
これは、犬が飼い主に意地悪した人間を避けたということだ。
▼もっと知りたいQ&A
Q.家族の中でもイジワルな人を嫌う?
立証はされていないが、人のそういう行動は見ているはず。犬は、人の言い争いやケンカに敏感で、ネガティブな評価を下すこともありえる。例えば、お母さんが大好きな犬の前で、お父さんがお母さんを叱る。この場合、お父さんが嫌われるかもしれない。だから、家族仲良く過ごすことが大切。
Q.醤油をとってとお願いしたら無視する時は?
これもわかってはいないが、日常生活の中での家族同士の細かなやり取りも評価に関係するかもしれない。リクエストと応答は、犬にとっても社会的ルール。それに違反する行動をとる人は、評価を落とす気がする。道徳心とまではいかないが、彼らなりのルールがあって、それに沿って生きている。
Q.犬も他人からの評価を気にしている?
犬を含め、他の動物の実験でも他者の評価を気にする結果は出ていないが、飼い主の評価は気にするかもしれない。
評価の下し方は人間と似ている
最後に、犬が飼い主の評価を下げてしまう行動をもう少し紹介しよう。
それは感情的に叱ること。必要な時だけピシッと注意することが重要。望ましい行動を叱るのではなく、ほめる環境をつくっておく。1度でも感情的に、あるいはクドクド叱っただけでも、犬がトラウマに感じて、その人に近寄らなくなる場合もあるので注意が必要だ。
評価が極端に下がると、その人の指示を聞かなくなるだけではなく、近寄ってこなくなることもある。そうすると飼い主もその犬が可愛くなくなってしまうことも。そしてさらに関係が悪化する不のサイクルに陥るのだ。この状況はなんとかして避けたいものである。
犬たちは自分のことをあの手この手で大切にしてくれている飼い主の気持ちを読み取り、信頼できるか?良い方向に導いてくれているか?を評価対象にする。
おまけに、人同士のやり取りからも評価している。
それが分かっただけでも、これからの愛犬との暮らしに役立ちそうだ。
もちろん、犬と人間の感覚に違いはあるが、基本的に自分がされて嫌な事をしてはいけない。
そして、されると嬉しそうにすることをやってあげること。それが愛犬の評価アップに繋がるはずだろう。
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Shi‐Ba vol.85『実はきびしい!? 柴犬式 人への評価の下し方』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。