犬びより

親子みたい?友人みたい?理想の犬と飼い主とは?上下関係のウソ・ホント

2019/04/03

犬が言うことを聞かないのは「上下関係」が崩れているからだ!犬のしつけに関する問題がこの一言で説明されることもあるが、本当なのだろうか。人と犬が幸せなホントの関係を考えよう。
 

 

犬の上下関係はウソ?

犬の上下関係

『上下関係』。犬に関する問題がこの一言で説明できちゃう便利な言葉。言うことを聞かない、リードを引っ張るといった行動は上下関係が崩れていることが原因。

飼い主が上位に立ち、犬を下位にすれば解決する、という説だ。

この説、実はウソ。犬の行動には理由があり、それぞれに合わせた対処をしなければ解決しない。

なぜ上下関係が人と犬の間に持ち込まれたのか。

根拠となる説のひとつは、祖先のオオカミの生態だ。オオカミは群れを作り、強い者がリーダーになって統率する。子孫の犬も同様だろう。飼い主に反抗する犬はリーダーの地位を狙っている、という考え方だ。

これもウソだ。現在は研究や調査によって、犬とオオカミの生態は異なることが明らかになっている。

また、オオカミの群れは主に家族で構成され、リーダーは横暴なボスではなく、頼れる「お父さん」的な存在であることもわかった。

 

なぜ“上下関係”のように見えてしまうのか?

■犬×犬の場合

犬の上下関係

犬は優位行動と劣位行動で譲り合い、上手にコミュニケーションを図っている。社会的な上下関係とは限らないが、もしかしたら誤解されてしまうのかもしれない。

▼争いを起こしやすい犬 ケンカランキング

1位 去勢していないオス

2位 不妊したメス

3位 去勢したオス

4位 不妊していないメス

犬はケンカを避けたい平和主義者。しかし、時にはお互いに資源を譲らず、衝突してしまうこともある。犬同士のケンカを調査した結果が上のランキングだ。去勢手術と不妊手術の有無のデータがある以上、男性ホルモンのテストステロンや女性ホルモンのエストロゲンの影響も考えられるのだが、詳しいことは分かっていない。ホルモンの影響よりも、性格的に強い犬同士、大きさが同じくらいの犬同士の方がケンカしやすいことが明らかになっている。
 
関連記事:【柴犬喧嘩道】飼い主には分からない俺たちが喧嘩する理由

 
▼社長・部長・係長のような社会的上下関係はあるかも?

人も犬もオオカミも、同種の仲間と複雑な関係を築いている。

関係性は個々のコミュニケーションで作られるもの。私たちも家族、友人、同僚など、相手によって接し方を変えるように、犬やオオカミも接し方を変える。社会性のある動物は、『資源(価値があるもの)』を巡ってケンカを避けるために関係性を築く。

犬同士の場合、多くは食べ物などの資源を巡って、譲り合いのコミュニケーションを図る。それが譲る『劣位行動』と、譲られる『優位行動』だ。劣位行動を示した方が2匹の関係性を決めるが、上位や下位ではなく、譲った犬にとって大切な資源ではなかった可能性が高いと考えられる。

例えば、食べ物は譲るけどオモチャは譲らない、日中はベッドを譲るけど寝る時は譲らない、という犬もいる。資源や状況によって犬たちの行動や関係は変わるので、順位ではない。

ただし、社会的な上下関係はある。会社に社長、部長などという地位があった方が、仕事をするうえでわかりやすく、安定しやすい。オオカミの群れも、アルファ、ベータ、ガンマと続き、ビリのオメガまで順位がある。犬は半野良のグループはあっても群れは作らないので、社会的な関係はオオカミと違う。

上下関係のホントを読み解く鍵は、優位行動と劣位行動の理解にあり。

 
■犬×人(異種動物)の場合

犬の上下関係

犬が上位を狙っている、人に反抗している、と思われてしまう行動のホントの意味は、個々のコミュニケーションと学習の結果が多い

例えば、言うことを聞かない場合は、無視したらやらなくても済んだ。抱き上げたらうなる場合は、うなったら降ろしてもらえた。このような学習をしたから繰り返すようになっただけで、社会的な地位とは無関係。

ということは、犬は人の家族を群れや上下関係の対象と思っていないのだろうか?種が違う動物同士が群れを作り上下関係を築く、という発想は猫とウサギが群れを作って上下関係を築き、互いに上位を狙って反抗している、と言っているようなもの。人と犬の関係に群れや地位を持ち込む説は、動物行動学的に正しいとは言えない

ただし、共に暮らす仲間とは認識でき、絆を結ぶこともできる。

また、人と犬は上下関係を築くべし! という説はいつどこで生まれたのか。軍隊のような縦社会の構造なので、軍用犬が活発に使われ始めた第一次世界大戦頃かもしれない。発祥は日本ではなく、犬を作業犬として重用していた海外のようだ。ドイツという説もあるが、はっきりしていない。

日本に上下関係に基づくしつけが入ってきた時期も不明だが、かなり前のようだ。その後、ペットブームが起きたこともあり、広く知られるようになった。
 
 

犬の上下関係に関するウワサ

Q.お腹を見せる動作は服従の証拠らしい?
劣位行動に含まれる。犬に対してお腹を見せた場合は敵意がないことを表すが、人に対して行う場合は、お腹を見せると良いことがあると学習して繰り返している可能性の方が高い。

 
Q.犬を肩より高く上げるのはだめ?
動物を人より高くすると上下関係が崩れるという説は誤り。ただし、人の肩まで上げられると犬は怖いと思う可能性があるので避けよう。最近は人と鳥の間にまで上下関係が持ち込まれ、人より高く飛ばせてはいけないという珍説も登場。うーむ。

 
Q.叱る時には親犬のように首を噛むと良い?
種が違う人が犬と同じ叱り方をしても意味が通じるのか甚だ疑問。犬は痛いだけ、人は口の中が毛だらけになるだけ。コミュニケーションの一環でふざけるくらいなら、まぁ……。

 
関連記事:【柴犬のしつけ】人間社会に言い伝えられてきた6つの都市伝説

 

お国柄で人と犬の関係は変わる?

犬の上下関係

日本のさまざまなしつけ方法はアメリカから輸入されたものが多く、比較的近い国かもしれない

ヨーロッパは飼育税を導入している国もあり、本当に犬が好きな人が飼っている。

ドイツは日本より飼育頭数が少ないが、レストラン、デパート、電車などどこにでも犬がいる。それが当たり前なので誰も気にせず、かまうこともないらしい。

オシッコは水で流す、ウンチは持ち帰る、といったマナーは珍しく、「ゴミを持ち帰る」というのは、日本のカルチャーのようだ。

 

犬種別の関係性の特徴

犬種によって得意技が異なるので、交流の際の行動や家族との関係性もそれぞれ特徴がある。

ラブラドール・レトリーバーは、おとなしくてよく言うことを聞き、来客にも吠えず子供が抱きついても平気、というタイプ。

一方、柴犬は番犬の歴史が長いので、自立心が高く他者に警戒しやすいので、子供や来客が苦手なタイプもいる。

犬を飼う時点で好みの犬種を迎える人が多いので、その後の関係性にも影響するだろう。

 

日頃からしておきたい3つのこと

犬の上下関係

■散歩
習慣のひとつである散歩を見直してみよう。犬にとって散歩は運動に加え、飼い主さんとのコミュニケーションや、さまざまなものに触れて社会性を身につけるための大切な時間。散歩の時にもオヤツをごほうびとして持ち歩こう。自転車で引いて走らせる散歩は交流が図りにくい。事故の危険もあるので避けた方が安心だ。

 
■オヤツ
動物はがんばったごほうびにもらえる食べ物が好き。主食や3時のオヤツとして与えるよりも、犬が良いことをした時にごほうびとして与えよう。ごほうびは主食のドッグフードでもよいが、時にはとっておきの肉やチーズのオヤツもあると、犬のやる気がアップするはず。一日のエネルギー量を超えないように、体重は管理して!

 
■ほめ言葉
ごほうびを無言で投げ与えられてもなんかむなしい。そう思うのは人も犬も同じだ。目が合った時や呼んで来た時など、ささやかでも良いことをしたら、しっかりほめよう。ほめ言葉は犬に伝わればなんでもOK。日本犬は感情表現が地味だけれど、気持ちはちゃんと伝わるはず。シッポを振らなくてもガッカリしないで!

 

人と犬の関係は強制されるものではない

犬の上下関係

オオカミの生態と混同されたり、優位行動と劣位行動を勘違いされたり、上下関係を押し付けられたり、犬は大変そうだ。内心では人とのコミュニケーションに悩んでいたりして?

動物同士は異種であっても、魅力を感じ合う『バイオフィリア』という本能がある。ロボットやぬいぐるみに対する愛情とは違うものだ。犬も人と一緒にいてうれしいと思うはずなので、その気持ちを互いに支えていくことが理想的。

日本犬は感情表現が地味で無愛想。だから「おぬし、下克上を企んでおるな」とか思われやすいのだろうか? でも相撲でガッツポーズが厳禁とされるように、日本は礼儀や奥ゆかしさを重んじる文化。日本犬だって表に出さないだけで、内心はうれしくてシッポを振りまくっているはず。

また、日本犬と暮らすためには、コミュニケーションや運動のためにも、散歩は大切

犬の上下関係

さらに、あらゆる動物は、『ただ飯よりも報酬が好き』。犬も良いことをしたりトレーニングをがんばったりして、ごほうびをもらうことが楽しいと感じる。日本犬を飼っている人は厳しい方が多くて、ほめることやごほうびが媚びや賄賂だと思う傾向がある。

しかし、給料や賞賛だと思って、自分の身に置き換えてみよう。無言で給料だけ渡されるのは嫌ではないだろうか。また、犬がたまにはチーズが食べたいと思うように、人間もボーナスもほしい。ほめてごほうびをあげることは大切だ。

愛犬との関係はさまざま。親子、親友、きょうだい、主従、中には「オヤツATM」なんて自虐的な例えも……。

最後は人と犬の理想の関係について。人と犬の関係は、何をせねばならぬ、こういう関係でなくてはならぬ、と強制されるものではない気がする。

犬が幸せに暮らせるように飼い主がさんがケアしてあげて、犬がいることで飼い主さんも幸せ。そういう関係が一番では?

犬は人が家畜化した最初の動物なので、人と一緒にいて幸せであってほしい。

飼い主さんと犬がどんな関係であっても、互いの幸せがいちばん。これホント。どっちが上位でどっちが下位か、そんなことよりはるかに大切。

理想の関係を目指して、まずは隣にいる犬を愛でることから始めよう!

 
人気のキーワード:
#しつけ #ごはん #シニア犬 #健康管理
#性格 #散歩 #気持ち #病気 #おでかけ
#ケア #子犬 #性別
 
Shi‐Ba vol.84『親子みたい?友人みたい?理想の犬と飼い主とは!?上下関係 ウソ・ホント』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。

facebookでシェア ツイートする LINEで送る
pick up!