飼い主さんが、良かれと思ってやりがちだけど実はストレスを与えてしまっている行動ってあるのでは? よく見られるケースや、ストレス解消法など知っておこう。
実はストレスを与えている行動
まず前提として、人から受ける行動に対してチワワがストレスを感じるケースや度合いは個体差があることを知っておきたい。
人間でも、マッサージされるのが好きな人もいれば、体を触られること自体にストレスを感じる人もいる。
どんなことにストレスを感じるのかは、相手との関係性、性格、経験などによっても大きく違う。
とは言っても、一般論として、犬のストレスにつながりやすい人間の行動はある。
例えば、「チワワは体が小さいし体力がないから散歩は必要ない」という話を飼い主さんからよく聞く。
しかし、これは勘違いの場合も多い。その子が好奇心旺盛な性格ならば、室内に閉じ込めていることは大きなストレスになっているのかもしれない。
大型犬のようなガシガシ歩く必要はないが、においを嗅いだり、いろいろな物を見たりすることは、知的好奇心を満たしてストレス軽減につながる。散歩は社会化の重要な手段だ。
社会化ができていないと許容範囲が狭くなり、ちょっとしたことで驚いてしまったり、ストレスに弱くなる。
他にも、むやみに抱っこしたり、ぶしつけに目を合わすことがストレスになりうることもある。
ストレスにつながりやすい行動1
・上から触る
初対面の人でも「撫でていいですか?」と聞いてくることがあるが、威圧感からストレスを感じる場合がある。
・大声を出す
大きな声を出されると驚く。それは人間でも同じだから、なぜストレスになるかは理解しやすいだろう。
・覆いかぶさる
後ろから抱きしめる飼い主さんも多いが、犬にとっては恐怖。マウンティングされているような気分になることも。
・叱る
叱るよりも、犬が好ましい行動をとったときにほめることを繰り返していこう。良い行動を自発的に行うようにしてあげたい。
・強引に犬友達を作る
他犬との社会化ができていなければ、知らない犬との触れあい自体がストレスになることも。ある程度の友達犬がいるなら、社会化期以降は友達犬の数を増やす必要はない。愛犬が嫌がっているなら、無理に作らなくてOK。たとえ友達犬がいなくても、飼い主さんとの関係がしっかりしていていれば、犬は幸せ。それを忘れないでおこう。
▼犬は高度に言葉を理解できない。好ましい行動を教えるほうが良い
叱ることで、行動を正そうとする飼い主さんがいる。だけど、叱ることは、嫌な刺激を与えること、精神的な苦痛を与えることにつながる。
犬は基本的に言葉を操る動物ではない。言葉からでは自分が叱られている原因がわからず、どうしたらいいか不安になり、ストレスを感じてしまいがちだ。叱るよりも好ましい行動を教えよう。
前述した通り、散歩に行かないのもストレスになる可能性が高い。だが、外に慣れさせずに社会化ができていない犬、外で怖い思いをしたことがある犬は、散歩がストレスになることも。
その場合は、あまり怖がらない場所に連れて行き、ごほうびを与える。その状況が平気になってきたら、他の場所でもごほうびをあげる。これを続けていき、許容範囲を広げていく。
よくやってしまいがちなのが、犬の上から手を伸ばして頭を撫でようとすること。しかし、これもストレス原因になっている可能性が。突然、上から手を出されれば、人間でも怖い。ましてや体が小さいチワワなら、なおさらだ。他人の手に慣れていない犬がいることも忘れてはならない。
知らない人が愛犬の頭を撫でたいと言ってきたなら、しゃがんで体勢を低くしてもらい、まず体のにおいを嗅がせてもらうようにしよう。
ストレスにつながりやすい行動2
・正面から近づく
相手の周りを回るのは、相手のストレスを軽減する行動。逆に正面から近づくのは威圧のように感じる。
・目を見る
良い関係ではない場合、目を見られると威嚇のように感じる。好ましい関係では、目を見ることはいいこと。
・いつもべったり
愛犬といつも一緒にいたいのは、飼い主さんの常。でも、それでは飼い主さんがいない状況になると、ストレスに。
・怖いものに近づける
怖がっているものに近づけて対象物を見せることで安心させようとすることがあるが、それはストレス。
・2匹目を迎える
愛犬が寂しそうだからといって2匹目を迎えることがある。しかし、社会化ができていない犬の場合、先住犬が2匹目に対しストレスを感じることもあるので注意が必要だ。1匹目と飼い主の間に、好ましい信頼関係ができていて、他の犬との社会化ができているなら、新たに子犬を迎えても、さほど先住犬のストレスにはならない。
▼特定の人に依存することは大きなストレスを生むことも
その小さなサイズもあって、人に抱かれることに慣れているチワワは多い。しかし、抱かれることに慣れていなければ、または抱かれる相手を信頼していなければ、動きが制約されて不安を感じ、ストレスになることも。嫌がっている場合は、むやみに抱くのはやめてあげよう。
キャリーバッグやカートに入れて人混みに出かけるのも、社会化ができていなければストレスになることも。キャリーバッグや人混みに慣れさせてあげる必要がある。
また、愛犬への接し方に一貫性を持たせることも重要。「昨日はソファに乗っても怒られなかったのに、今日は怒られた」など、家庭でのルールの基準がブレてしまうと、愛犬は混乱してしまい、不安感が増してしまう。ストレスにつながるはずだ。
愛犬が喜ぶからといって、いつもべったり一緒にいると、相互依存のような状態になり、飼い主さんがいないと極度の不安に陥る「分離不安」になってしまう可能性がある。その結果、飼い主さんがいないとストレスを感じてしまうようになる。1匹でいる時間を作ってあげたり家族で世話を分担して、特定の人への依存は避けよう。
ストレスを感じている時のしぐさ
・対象から視線を反らす
・対象から顔を背ける
・対象に背を向ける
・自分の鼻を舐める
・舌を出す
・体が硬直してしまう
・小刻みに震える
・あくびをする
・体をかく
・地面などのにおいを嗅ぐ
しつけは結果的にストレスを軽減させる
犬がストレスを感じている時に見せるしぐさは一般的には、上のしぐさがそうだと言われている。
こういった行動は、犬の感情を知る目安にはなるだろう。しかし、状況によるので、一部分ではなく、表情や体全体から判断する必要がある。
ここで挙げた例は基本になるので、覚えておくといいだろう。
ここまで飼い主さんがついやってしまいがちだけど、ストレスにつながりやすい行動を挙げてきた。
反対に、ストレスを感じそうだと思って飼い主さんが避けていることもある。 家庭犬に必要なトレーニング項目すべてだ。
ブラッシングなどのお手入れ、オイデなどの必要なコマンド、他の犬とすれ違う時に平常心を保つマナー、クレートでの待機など、これらができていれば、人間社会の中でも犬は比較的自由に暮らせる。結果的に、生活のストレスは軽減する。
日常生活でストレスを感じないようにするのがしつけ。内容的には、社会化と好ましい行動をたくさん教えることがメインとなる。教えている最中は若干のストレスを与えることになるかもしれないが、犬の一生から考えると、成し遂げた方が段違いにストレスは減る。
人間社会の中で生活をしている以上、最低限のルールを覚える必要はある。しつけは犬のストレスになっていると思わず、適切に、ゆっくり取り組もう。
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Shi‐Ba vol.27『チワワが陥りやすい ストレスと対処法』より抜粋
※掲載されている写真はすべてイメージです。